先進国に新興国を加えた20か国・地域(G20)は、6月8から9日の福岡市にて財務相・中央銀行総裁会議を行う。議論では、仮想通貨のマネーロンダリング対策に焦点が当たる。5月31日、日本経済新聞が報じている。
仮想通貨は個人間での国際送金を簡単にできる利便性があるが、その反面、不正送金や資金洗浄などに悪用されやすく、規制やルールには各国と温度差がある状態だ。今回のG20では仮想通貨悪用防止のための監視を強化するため、足並みを意識したルール作りを目指すとしている。資金洗浄やテロ資金調達防止のための規制強化には、各国のマネロン対策を審査する国際組織「金融活動作業部会(FATF)」のルールを基準にするとしている。
議長国を務める日本は、仮想通貨交換業者に免許制または登録制を導入してマネロンを監視できる措置を取るべきだと各国に勧告した。この背景には、各国によって仮想通貨に対する規制の度合いが異なるため、監視の緩い国が不正送金の温床となる懸念が指摘されていることがある。G20は、6月下旬に大阪で開催されるG20首脳会議に向けてさらなる検討を進め、2020年には最終報告書をまとめると明らかにしている。また金融安定理事会(FSB)は各国で仮想通貨行政を担う当局をまとめた「窓口リスト」を作成し、G20に提出する見通しだ。
日経新聞によると、今後はマネロン対策以外にも取引ルールの整備など利用者保護に向けた対応も課題になると指摘している。ようやく各国が仮想通貨の規制に対して協調性を見せ始めた中、仮想通貨投資家は海外の取引所を利用しているケースもあり、まだまだ規制が現状に追いついているとは言えない状況だ。ルールがないからこそすべてが自己責任として問われる仮想通貨投資。世界共通のルール作りが進められていくことで市場の健全化が進むことを期待したい。
【参照記事】仮想通貨の業者登録制で足並み G20が資金洗浄対策
立花 佑
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