メタやアルファベットなどが設立したフロンティア、同社初となるオフテイク契約を米チャームと締結

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メタ(META)やアルファベット(GOOGL)などが立ち上げた炭素除去技術の開発を後押しする新会社「フロンティア(Frontier)」は5月18日、同社初となる5,300万ドル(約7,300億円)規模のオフテイク契約(長期供給契約)を、米スタートアップ企業チャーム・インダストリアルと締結したと発表した(*1)。

2022年4月、メタとアルファベットに加え、ストライプ(非上場)、マッキンゼー(非上場)、ショッピファイ(SHOP)の5社は、9年間で9億2,500万ドルを拠出して炭素除去技術の開発を支援する発表した(*2)。併せて、ストライプの子会社としてフロンティアを共同で設立した。フロンティアは事前買取制度(AMC)の下、法的拘束力を持つ形で、普及拡大が進んでいない炭素除去技術を開発する企業(サプライヤー)と事前購入契約やオフテイク契約を締結し、二酸化炭素(CO2)削減量を購入する。サプライヤーにとっては、将来的に排出される炭素量の購入を約束される中で、規模拡大のための資金を確保でき、オフテイク契約を通じてコスト削減も図れる。

今回の契約を通じ、フロンティアの買い手は、24年から30年の間に、11万2,000トンのCO2を大気中から除去し、地中に永久貯留できる見通しだ。買い手は、CO2トン当たりの費用を払うことになるが、24年から30年の間に少なくとも37%削減される見込みであり、チャームの業容や政府のインセンティブ拡大によっては75%削減される可能性もある。CO2の除去に加え、測定・レポート・検証(MRV)も費用に含まれる。

チャームはパイロリシス(Pyrolysis)と呼ばれる熱分解により、廃棄物系バイオマス(農業残さなど)を高温無酸素状態で熱し、分解して得られたバイオ燃料油を、米国環境保護庁(EPA)が規制する井戸に注入する。パイロライザー(熱分解装置)は小型のモジュラーのため、トラックの荷台に乗せて植物原料を得る農場まで移動できる。チャームは21年に創業を開始して以来、大気中から炭素を永久に除去することに成功した最初の企業の一つであり、実証実験を通じて今日までに6,160トンの炭素を除去してきた。

チャームはバイオマス炭素除去・貯留(BiCRS)に注力する。複数の専門家は、50年までに年間にギカトン級の炭素を除去するのに十分な廃棄物系バイオマスを利用できると試算する。BiCRSは炭素除去に資する注目の手法の一つであり、フロンティアは23年末までに新たなオフテイク契約を締結する方針だ。フロンティアのテクニカルスタッフとバイオエネルギーや地球化学などの専門家50名が、オフテイク契約を締結するサプライヤーを精査する。

米IT大手は高度な炭素除去技術を用いて排出量の一部を削減する取り組みを推進している。米アップル(AAPL)は23年4月、CO2削減を目指す森林プロジェクトに直接投資するために立ち上げたファンド「Restore Fund(再生基金)」の規模を従来から倍増し、炭素除去の取り組みを推進すると発表した(*2)。

【参照記事】*1 フロンティア「Frontier buyers sign first $53M in offtake agreements with Charm Industrial
【関連記事】*2 アップル、森林再生ファンドの規模を540億円に倍増へ。炭素除去の取り組み推進

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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