AML/CFT(マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策)のために設立された国際組織として知られる金融活動作業部会(FATF)は10月21日、3日間にわたり行われた本会議にて、暗号資産や暗号資産サービスプロバイダー(VASP)に関するガイダンスの改訂版を10月28日に公開予定であることを発表した。
FATFは2019年6月に、VASPが取引参加者の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することを求める、通称「トラベル・ルール」などの暗号資産ガイダンスを発表していた。すでに一部の国や地域でこの規定の導入は進んでおり、2020年6月には、各国におけるルール遵守度の調査が行われていた。
FATFは今年3月に2019年版ガイダンスの修正案という形でVASPの定義を拡大し、分散型金融(DeFi)ネットワークの参加者にまで監視義務を課すなどの提案を出していた。しかし、実際にどのように適用されるのかが不明であるという意見が多く上げられ、プライバシーやイノベーションの観点で、暗号資産業界から問題点を指摘されていた。
このため、FATFは今年7月に行われた総会ではガイダンスの修正を見送っていたが、ここにきて改訂版が公開されることになっている。FATFの発表によると、改訂版ガイダンスの目的は、「各国や民間企業によるFATF基準の実施を支援することで、暗号資産分野にどのような形で適用されるかを説明するためのもの」とされている。
FATF会長のMarcus Pleyer氏は「VASPの定義、VASPのライセンスと登録、Peer-To-Peer取引、ステーブルコイン、トラベルルールの5つの分野の基準の明確化を約束し、改訂版ガイダンスはこれらの問題に対処するものになります。」と述べた。
改訂版ガイダンスには、トラベルルールに関する既定のアップデートや、DeFiにおけるVASPの適用、FATFのNFTに関する見解も含まれるという。Pleyer氏は、「改訂版ガイダンスが明確化されることで、各国の民間企業ができるだけ早くFATFの基準を実施することを期待しています。」とコメントした。
【参照記事】Documents – Financial Action Task Force
株式会社techtec リサーチチーム
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