米石油大手エクソンモービル(ティッカーシンボル:XOM)が2月1日に発表した2021年10~12月期決算は、最終損益が88億7,000万ドル(約1兆200億円、1ドル=115円換算)の黒字(前年同期は200億7,000万ドルの赤字)だった(*1)。原油や天然ガス価格の高騰が業績を押しあげた。良好な決算を受け、株価は1日に6%超上昇し、2019年4月以来の高値水準で推移(*2)。2月10日時点でも同水準となっている。
一時項目を除いた1株当たり利益は2.05ドルと、市場予想の1.93ドルを上回った(*3)。21年12月期通期の営業キャッシュフローは481億2,900万ドルと、2012年以来の高水準となった。
石油・ガス価格の回復が業績拡大に寄与している。WTI原油は約7年4ヶ月ぶりの高値を付けたほか、ブレント原油は一時、2014年10月以来となる90ドル/バレルを突破した。
負債に関しては、10~12月期に90億ドル、通期で200億ドル返済しており、債務残高はコロナ禍前の水準に減少した。財務体質の改善が進むなか、向こう1~2年で最大100億ドル投じる自社株買いを22年第1四半期より開始する。
1月31日には組織改編計画を発表したとCNBCが報じている(*3)。4月1日より石油・天然ガス開発、石油精製・化学、低炭素ビジネスという3つの事業部門に集約することで、業務効率化とコスト削減を図る。あわせて、テキサス州ダラス近郊のアービングから同州ヒューストンに本社を移転する。
ダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は新たに組織を集約することで、競争力を強化し、株主価値を高められると述べた(*1)。また、同社が示した計画を遂行することにより、キャッシュフローと利益の拡大に加え、エネルギー・トランジション(#1)の推進につなげられるとみている。なお、22年には210~240億ドルの投資を計画している。
サステナビリティの取り組みを進めている会社が多くあるが、石油大手であるエクソンモービルが組織改編を発表したことを受け、今後の動向に注目が集まる。
(#1)エネルギー・トランジション…従来の石炭や石油などの化石燃料を中心とするエネルギー構成から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを中心としたものに大きく転換していくこと。
【参照記事】*1 エクソンモービル「ExxonMobil earns $23 billion in 2021, initiates $10 billion share repurchase program」
【参照記事】*2 ヤフーファイナンス「エクソンモービル」
【参照記事】*3 CNBC「Exxon Mobil’s fourth-quarter profit tops estimates as oil and gas prices soar; shares rise」
【参照記事】*4 エクソンモービル「ExxonMobil streamlines structure to enhance effectiveness, grow value, reduce costs」
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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