「イーサリアム2.0」によってPoSへの移行が予定されているイーサリアムが、PoSへ移行した場合に削減される消費電力に関する調査を行なった。5月18日に、99.95%もの電力を削減できる可能性があるとの結果が公表されている。
イーサリアムの開発を主導するイーサリアム財団は、現状のPoWに必要なマイニングによる電力消費と比較する形で、PoSへ移行した後のイーサリアムが消費する電力の概算値を算出した。
今回の調査は、2020年12月より稼働を開始しているイーサリアム2.0チェーン(ビーコンチェーン)におけるアドレスとバリデータの数を参考にしたという。アドレス数は16,405、バリデータ数は140,592になるとし、ここから取引所とステーキング関連サービスを除いた87,897のバリデータが自宅でステーキングを行なっていると仮定している。
1人(アドレス)あたり5.4のバリデータを実行している計算だ。今回のデータはあくまで大まかな見積もりであるとした上で、5.4のバリデータノードを実行する際に必要な消費電力が算出されている。
今回の調査を担当したイーサリアム財団のCarl Beekhuizen氏は、自身が行なったバリデータノードのセットアップ経験を元に、消費電力が15Wであると仮定。これを5.4台分とした上で誤差を考慮して、1人あたり100Wの電力が必要になると結論づけた。
この数値に対して87,897のバリデータ数を掛けると、約1.64MWとなる。これは自宅でステーキングを行うバリデータの消費電力であるため、ここに取引所やステーキング関連サービスの分も考慮すると、合計で2.62MWの電力が必要になるとした。
これは、米国の一般的な家庭が消費する電力の約2,100戸分に過ぎないという。イーサリアムの現在のマイニング消費電力が中規模の国全体と同程度であることを考えると、非常に大きな削減になると言えるだろう。
イーサリアム2.0の主要目的の1つである環境負荷の軽減については、あくまで試算値ではあるものの概ね達成できることが判明した。
今回の調査レポートでは、現在のビットコインとイーサリアム、PoS移行後のイーサリアムが1回のトランザクションあたりに消費する電力を、現実世界の建築物に例えたユニークな比較が示された。
ビットコインの消費電力は、世界一高いドバイのブルジュハリファに相当すると仮定した場合、PoWのイーサリアムはイタリアのピサの斜塔、PoS移行後のイーサリアムはネジに相当するという。
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【参照記事】A country’s worth of power, no more! | Ethereum Foundation Blog
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