新型コロナウイルス給付金によるビットコイン市場への影響を調査した報告書を、米クリーブランド連邦準備銀行が7月16日に発表した。今回の調査は給付金のビットコイン市場への影響を示唆するCoinbase CEOのツイートやBinanceUSのレポートから着想を得たという。
2020年4月に米国政府は新型コロナウイルス感染拡大に対する景気対策として、米国市民および居住者へEIPという小切手を給付した。EIPによって1人あたりに給付される額は最大1,200ドルである。
クリーブランド連邦準備銀行による調査は、26の取引所で行われたビットコイン買い取引のデータを用いて実施された。1,200ドル以下の取引グループと1,200ドル以上の取引グループに対して回帰不連続デザインを用いた比較を行ったとのことだ。
調査結果によると、ビットコインと米ドル間での取引量は、2020年4月9日から6月9日の間に約3.8%増加しており、ビットコインの買い取引は増加していたという。またEIPによりビットコインの価格が0.07%増加したという調査結果も出ている。しかしその取引の増加量はEIPの総額の0.02%と全体の額に対して僅かであったとのことだ。
今回の調査で見られたビットコイン取引の増加は、家庭を持たない個人の取引やプロではない投資家による取引だった。調査結果に対してクリーブランド連邦準備銀行は、「今後同様の経済支援策を検討する際に、政策立案者は資金の暗号資産市場への流用を懸念する必要はないことを示唆している。」とコメントした。
クリーブランド連邦準備銀行は、類似する景気対策を行った日本やシンガポール、韓国でも同様の調査を実施し、日本や韓国でビットコインの買い取引が増加したことを確認した。シンガポールで取引量の増加が見られなかったことに関して、シンガポールドルは他通貨と比べ取引量が小さく、また調査期間中に規制変更があったことが原因であるとの見解を示している。
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