欧州委員会(EC)は10月2日、欧州連合(EU)市場に輸入または輸出される製品が森林破壊の原因にならないことを保証することを目的とした欧州森林破壊防止規則(EUDR)の施行を1年間延期することを提案すると発表した(*1)。欧州議会および理事会の承認が得られれば、同規則は2025年末より大企業に対し、26年6月末より小規模企業に対して適用される。
複数のグローバルパートナーが準備状況について繰り返し懸念を示していることを受け、欧州委は今回の決定を下した。直近では、米ニューヨーク市で開催された国連総会の期間中にも懸念が表明されていた。さらに、欧州各国の準備状況もまちまちであり、多くの関係者は入念な準備により期限までに準備を整えられる見込みであるが、懸念を表明している関係者もいた。
EUDRは当初、EU市場における森林破壊に関連するプロジェクトを効果的に禁止すべく、21年11月に欧州委によって導入された。パーム油、牛肉、木材、コーヒー、ココア、ゴム、大豆などの主要な商品や製品、およびそれらの派生製品の一部(皮革、チョコレート、タイヤ、家具など)を提供する企業や利用する企業に対して、厳格なコンプライアンス要件を確立することを目的とする。
新規則の下では、関連製品をEU市場に流通させたり、輸出したりする企業は、生産された土地まで遡って製品を追跡する必要がある。20年以降に森林伐採の対象とならなかった土地で生産された製品であること、および生産国のすべての関連法規に準拠していることを証明する義務を負うことになる。
EUDRは23年6月に発効し、企業には18か月の移行期間が与えられた。大企業には24年12月末、小規模企業には25年6月末から適用される予定であったが、1年間の追加期間を設けて段階的に導入することになる。すべての実施ツールの技術的な準備が整っている。
今回公表されたガイダンス資料は、法律の会社の一貫性を確保することを目的とする。ガイダンスは11章に分かれており、合法性要件、適用期間、農業利用、製品範囲の明確化など、多岐にわたる問題をカバーしている。
小規模および零細企業は、より簡素な規制の恩恵を受ける。
EUDRにおけるリスク評価に使われるベンチマーク手法の原則も公開した。原則は、各国を低リスク、標準リスク、高リスクに分類し、事業者のデューデリジェンスプロセスを促進し、管轄当局が効果的に監視およびコンプライアンスの実施を可能にすることを目的としている。
適用された手法に従うと、世界の大部分の国が低リスクに分類されることになる。これにより、森林破壊の課題がより深刻な地域に集中的に取り組む機会が得られることになる。欧州委は森林破壊が最も懸念される国々との対話を強化しており、25年6月末までに提案された実施法令に基づき国別のベンチマークシステムを早期に最終化する方針だ。
さらに、EUDRに関する戦略的枠組みに基づく国際協力の取り組みを提示した。デューデリジェンスステートメントの提出先となる情報システムは、12月に本格稼働する見込みである。
欧州委は今回の措置により、今後の進め方について確実性を担保し、EUの森林破壊という喫緊の世界的問題への貢献に対処する上で最も重要なEUDRの成功を確実にすることを目指している。
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