金融活動作業部会(FATF)の定める国際規制「トラベルルール」に対応するための分散型コンプライアンスソリューション「Veriscope」が、8月17日にローンチされた。BinanceやDeribitなどを中心に、まずは試験導入が開始されるという。
暗号資産のコンプライアンスプラットフォームであるShyftの提供するVeriscopeは、トラベルルールへの対応を目的としたソリューションだ。トラベルルールは、国際的な金融規制を定めるFATFによって定義された勧告であり、事実上の絶対的な効力を有している。各国の暗号資産関連事業者(VASP)を対象に発布され、暗号資産の送金時に送り手と受け取り手の個人情報をそれぞれ記録するよう求めている。
しかし、トラベルルールへの対応は決して簡単なものではなく、特に中小の事業者にとってはハードルの高いものとなっていた。この状況下でShyftがVeriscopeを開発し、既に30以上の暗号資産取引所で導入が決まっている。具体的には、Binance、Deribit、Bitfinex、BitMEX、Tether、Huobiなどだ。
Shyftの発表によると、Veriscopeを導入することで必要最小限のデータのみを公開することで容易に取引所間のKYC情報を共有できるようになるという。またGDPR要件にも準拠しており、正しいトランザクションと不正なトランザクションを判別できる仕組みも備わっているとした。
今回のローンチに先立ち、Veriscopeを導入する事業者は共同でガバナンスグループとタスクフォースを制定している。これには約20の取引所が参画し、FATFの元事務局長Rick McDonell氏が議長に任命された。
Shyftの共同創業者Joseph Weinberg氏は次のようにコメントしている。「Veriscopeの目標は、グローバルなデータ共有要件に対応するための分散型システムを設計することでした。この目標を達成するために、VASPがビジネス上の権利を維持した状態で、それぞれの管轄を超えたカウンターパーティ要件を実現します。」
【参照記事】Global Crypto Exchanges Begin Phased Deployment of Veriscope: The Decentralized Solution to the…
株式会社techtec リサーチチーム
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