世界銀行(国際復興開発銀行、IBRD)は日本時間の5月11日、IBRDが発行するサステナブル・ディベロップメント・ボンド(約104億円相当)を第一生命株式会社が全額購入したと発表した。第一生命はESG(環境、社会、ガバナンス)投資を推進しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応も含む保健医療分野など、世界銀行が取り組む開発途上国支援に賛同し、購入に至った。
サステナブル・ディベロップメント・ボンドは、開発途上国の持続的発展を目的とするあらゆる分野の開発プロジェクトを支えるため、国際資本市場で発行される。世界銀行が注力する開発分野として、保健医療プログラムや開発途上国における感染症拡大防止と管理、非感染症予防と対処、すべての人たちが適切で支払い可能な費用で受けられる医療サービスの提供などに対する支援がある。
全世界に拡大したコロナ禍を受け、世界銀行理事会は今年4月、途上国の新型コロナウイルス感染症の対策強化に向けた初の緊急保健医療支援プロジェクトを承認。世界銀行グループは開発途上国の人的・経済的影響への対策として、今後15ヶ月間に最大1600億ドルの支援を行う用意があり、IBRDは融資を通じて加盟国である開発途上国の新型コロナウイルス感染症への対応を支援する態勢を整えた。支援の例として、アルゼンチンでは患者の特定、隔離、看護の提供等の保健システム強化支援に3500万ドル、エクアドルでは公衆衛生システムの強化を通じた国家計画の支援に2000万ドル、インドでは検査キット、個人用防護服、人工呼吸器、医薬品の購入と隔離病棟の新設、感染予防と管理対策強化の支援へ10億ドルなどが含まれる。
第一生命は、日本全国の約1000万名の顧客からの約36兆円の資金を幅広い資産で運用する「ユニバーサル・オーナー」を標ぼう、「QOL向上」、「地方創生・地域活性化」、「気候変動」を重点テーマとしてESG投資を推進中。国際開発金融機関などが発行するSDGs債にも積極的に投資している。今回の購入を、新型コロナウイルス対策の保健医療関連取り組みを重点テーマとした債券投資として位置付け、「本債券への投資を通じてパンデミック対策に向けたIBRDの取組みを資金面からサポートする。引き続き、運用手法の高度化・多様化によって資産運用収益の向上を図るとともに、責任ある機関投資家として持続可能な社会の形成に寄与すべくESG投資に積極的に取り組む」としている。
【参照リリース】第一生命がサステナブル・ディベロップメント・ボンドを購入
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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