イーサリアムの開発企業ConsenSysが、2021年夏のWeb3レポートを公開した。DeFiやNFTをはじめ、Web3と呼ばれる領域の数値の変化やトレンドなどが解説されている。
ConsenSysはまず、Web1およびWeb2とWeb3の違いを次のように説明した。
- Web1:TCP/IP、HTTPなどの70~80年代のオープンソースインターネットプロトコルを指す。誰もが許可なくそれらを使ってサービスを開発できる
- Web2:OSSの収益化が課題として浮上。Web2のビジネスモデルはオープンなプロトコルの上にクローズドなサービスを構築することに限られる。利用者は、自らのデータを提供する代わりにサービスを無料で利用できる
- Web3:オープンなプロトコルが暗号経済学によって分散的に構築。オープンソース、プライバシー、パーミッションレスを重視したサービスが軸となる
現状、多くのWeb3サービスを利用するにはConsenSysの提供するウォレットであるメタマスクが入り口となっている。ConsenSysは、メタマスクのユーザー数がDeFiとNFTの盛り上がりに比例する形で増加したことを強調した。
DeFiの中でも多くの資金が供給されているのがレンディング市場だ。DeFiレンディング全体では、今年の9月に過去最高額を更新し、約247億ドルが供給されていたという。このうち、Aave、Compound、MakerDAOが市場の大部分を占めている。
レンディングに限らず、DeFiプロトコル全体の収益は急増しており、特にUniswapやSushiSwap、PancakeSwapなどのDEXが顕著のようだ。いずれも年間収益が1億ドルを超えるペースで成長している。
レポート内では、DeFiガバナンスについても触れられた。2021年に入り、多くのDeFiプロトコルでガバナンストークンが発行されている。レポートで取り上げられたのは、Synthetix、Aave、AirSwap、Uniswap、Compoundだ。これらのプロトコルが、ガバナンストークンによって長期的に分散化された組織運営ができるのか注目が集まっている。
2021年の夏までに、Web3領域で最も大きなトレンドとなったのが、マルチチェーン化の加速だろう。イーサリアムのスケーラビリティ問題により、Binance Smart ChainやSolana、Terra、Polygonといったチェーンが台頭してきている。依然としてイーサリアムが最大のシェアを有しているものの、DeFi市場に供給されている資金は少しずつ散らばるようになってきた。
レポートではそれ以外にも、レイヤー2ソリューションの状況やガス代の推移、NFT市場の概況などについて紹介されている。
【参照記事】Web3 Report Q3 2021
株式会社techtec リサーチチーム
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