日本の金融庁が、金融活動作業部会(FATF)の定めるトラベルルールに関する要請を出したことが、3月31日に明らかとなった。要請先は一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)会長となっており、2022年4月を目処に導入を目指すよう求めている。
「暗号資産の移転に際しての移転元・移転先情報の通知等(トラベルルール)について」と題した通知で、金融庁は国内の認定自主規制団体であるJVCEA宛に、トラベルルールへの対応を実施するよう要請を出した。
トラベルルールは、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)の一環として定義されたFAFTからの事実的な強制力を持つ勧告だ。各国の暗号資産関連事業者(VASP)を対象に発布され、暗号資産の送金時に送り手と受け取り手の個人情報をそれぞれ記録するよう求めている。
トラベルルールの対応には膨大なコストが発生することから、特に中小の交換業者を中心に対応が遅れており、今回FATFがこれを催促した格好となった。2022年4月を目処に対応を行うよう要請されている。
金融庁は、国内の認定自主規制団体であるJVCEAに対し、以下のように要請事項を説明している。
「技術面や運用面での課題を解決し、速やかに暗号資産の移転に係る通知等(トラベルルール)を実施するために必要な体制を整備していただきたいので、貴協会会員宛に周知徹底をよろしくお願いしたい。また、貴協会においても、貴協会会員の取組のサポートをお願いしたい。」
FATFは特定の国による影響を受けない国際団体であり、その影響力は絶大だ。FATF勧告は実質的な強制力を持っており、FATFの言動には毎回注目が集まっている。
2月に発表したFATFガイダンスの修正案では、トラベルルールへの対応促進やステーブルコイン規制の導入などが定義されており、プライバシーやイノベーションを阻害するとして各国業界段階から問題点を指摘する声があがっていた。
【参照記事】暗号資産の移転に際しての移転元・移転先情報の通知等(トラベルルール)の公表について
株式会社techtec リサーチチーム
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