英歳入関税庁(HMRC)が、暗号資産に関する新たなガイダンスを3月30日に発表した。中でもステーキングについて特筆しており、英国では初めての試みとなっている。
ステーキングとは、プルーフオブステーク(PoS)のアルゴリズムを採用しているブロックチェーンネットワークにおいて、暗号資産を預け入れる(ステーク)ことでネットワークのセキュリティに貢献する仕組みだ。暗号資産をステークすることで、報酬として当該の暗号資産が付与される。プルーフオブワーク(PoW)におけるマイニングから派生した仕組みとなっている。
PoWと違い、PoSではマイニングが不要となるため膨大な電力消費が発生しなくなる。そのため環境問題を解決することができ、イーサリアム2.0でPoWからPoSへの移行が進められるなどしてきた。
今回発表されたガイダンスによると、ステーキングが課税対象となるかどうかは「活動の程度」「組織」「リスク」「ビジネス性」といった要素を考慮する必要があるという。
通常、英国ではマイニングによって得た利益は雑収入として課税される。また、一定期間の保有後に売却する場合、キャピタルゲイン課税または法人税の課税となる。このあたりは、日本の税制とも大差はないだろう。
ステーキングについて重要な観点は、ステーキングが課税対象となる取引に該当するかどうかになるという。ステーキングが課税対象となる取引に該当しないと判断される場合、マイニングと同様に雑収入として課税される。
HMRCは、2019年に暗号資産の課税に関する最新情報を公表していた。それ以降、同国におけるアップデートは起きていない。
なお、ガイダンスは法律そのものではない点には注意が必要だ。以前の情報を元に作成されてはいるものの、あくまでHMRCの解釈であり法的な効力は有していないという。
暗号資産に関する税制は各国で様々な状況となっており、日本でも複雑さが年々増しているように感じる。この状況については、業界団体より提言が行われているものの、当局からの目立った動向は出てきていない。
【参照記事】CRYPTO40250 – Cryptoassets Manual – HMRC internal manual
株式会社techtec リサーチチーム
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