2021年に暗号資産を通じて86億ドルが資金洗浄されていたことが明らかになった。ブロックチェーン分析企業Chainalysisが1月26日に報じている。
レポートによると、暗号資産を通じて資金洗浄された総額は、2020年の66億ドル(約7,600億円)から2021年には86億ドル(約9,900億円)に増加している。1年間で約30%増加したことになるが、資金洗浄が多発していた2019年の数字には及んでいない。2019年には約109億ドル(約1兆2,600億円)の資金洗浄があったとされており、2017年以来累計で334億ドル(約3兆8,600億円)が資金洗浄されたと推定している。
Chainalysisは、麻薬取引などのオフライン犯罪や、毎年洗浄されている推定2兆ドルの法定通貨に比べれば微々たるものだと指摘。オフライン犯罪では追跡不可能な現金が使用されるため、資金洗浄された法定通貨の金額を評価するのは暗号資産よりも困難であるとした。
今回のレポートでは、法定通貨と暗号資産それぞれの資金洗浄の違いにも触れている。「暗号資産ベースの資金洗浄は、ブロックチェーン特有の透明性により犯罪者が資金を現金に換えるためにウォレットやサービス間でどのように移動させるかをより簡単に追跡できる」と説明している。
従来、資金洗浄には中央集権取引所(CEX)が多く利用されてきた。しかし、サイバーセキュリティ分析プロバイダーによると、2021年は2018年以来初めて、CEXを使っての資金洗浄が全体の半分以下(47%)になったという。これはサイバー犯罪者の行動の潜在的な変化を示すとしている。
犯罪者はCEXの代わりに分散型金融(DeFi)を使う割合が高まってきているようだ。Chainalysisのデータによると、2021年にDeFiプロトコルへ送金された不正資金は9億ドル(1,000億円)で、2020年の2%から大きく増加している。
また、犯罪行為に使われたアドレスのうち、保有資産の最も大きい20個のアドレスを見てみると、アルトコインが多く使われていることが判明したという。不正に利用されたイーサリアム(ETH)の63%とステーブルコインの57%が上位20のアドレスに送られているが、ビットコイン(BTC)は19%しか上位のアドレスに送られず、犯罪者が好んでアルトコインを利用していると説明している。
仮想通貨取引を始めるなら
株式会社techtec リサーチチーム
最新記事 by 株式会社techtec リサーチチーム (全て見る)
- 米Coinbase、NFTマーケットプレイスのβ版をリリース - 2022年4月25日
- イーサリアムが初の年間レポートを公開、16億ドルの財源やETH総発行量の0.3%を保有していることが明らかに - 2022年4月21日
- Meta、メタバースでのクリエイター向け販売手数料を47.5%に設定 - 2022年4月20日
- イーサリアム「The Merge」の実施が2022年後半に延期 - 2022年4月19日
- 「フォートナイト」運営のEpic Gamesにソニーが大型出資、メタバース事業に注力へ - 2022年4月15日