日本銀行が、今春にも中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験を開始する方針であることが明らかとなった。2月20日にNHKが報じている。
NHKによると、今回の実証実験はCBDCの機能を確かめるための第一弾に位置付けられているという。各国の中央銀行が研究を進める中で、日銀としても国際的な環境変化に対応する準備をしておきたい構えだ。
今回の実証実験では、民間の事業者とも連携しながら、取引履歴を記録する台帳を作成するなどCBDCの流通および発行に関する基本的な機能を確認する計画だという。第一弾は1年程かけて行われるといい、結果を踏まえて第二弾への移行を検討する。
日銀は現状、CBDCを発行する計画はないという方針を明確にしている。しかしながら、中国をはじめとして世界的にCBDCの発行計画が進む中、将来的な国際動向の変化に迅速に対応できるよう準備はしておく構えだ。
2020年10月には、「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」を公表し、CBDC導入に際して期待される機能や役割、考慮すべき点などを次のように定義していた。
- 中央銀行と民間事業者の協調役割分担のあり方
- CBDCの発行額・保有額制限や付利に関する考え方
- プライバシーの確保と利用者情報の取扱い
- デジタル通貨に関連する情報技術の標準化のあり方
CBDCの各国情勢としては、中国で既に実用化が進んでいることや、バハマで発行されているCBDCにマスターカードが対応するなど急速に対応が進められている。
これに対して日銀では、現時点で次のような機能をCBDCは有している必要がある、という段階にまで研究が進められていた。
- CBDCの利用対象者が制限されないこと
- 子供から高齢層まで幅広い世代が利用できること
- 訪日外国人観光客も利用できること
- 個人から法人への送金(店舗決済など)で利用できること
- 個人間も含めた双方向の送金(P2P取引)で利用できること
- ユーザーのプライバシーを確保すること
- AML/CFTへの対応といったコンプライアンス上の課題を解決すること
これらの機能が果たせない限り、先述の通りCBDCを発行する計画はないという方針であり、今回の実証実験を通して確認していく計画だ。
【参照記事】日銀 「デジタル通貨」の実証実験へ
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株式会社techtec リサーチチーム
「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル) 」を運営。日本発のブロックチェーンリーディングカンパニーとして、世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業も展開している。Twitter:@PoL_techtec
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