JPモルガンチェース(ティッカーシンボル:JPM)、H&M(HM.B)、オートデスク(ADSK)、ワークデイ(WDAY)は4月12日、メタ(META)やアルファベット(GOOGL)などが共同で立ち上げた炭素除去技術の開発を加速させるための新会社「フロンティア(Frontier)」に1億ドル(約134億円)を拠出すると発表した(*1)。
2022年4月、メタとアルファベットに加え、ストライプ(非上場)、マッキンゼー(非上場)、ショッピファイ(SHOP)の5社は、9年間で9億2,500万ドルを拠出して炭素除去技術の開発を支援する発表した(*2)。併せて、ストライプの子会社としてフロンティアを共同で設立した。フロンティアは事前買取制度(AMC)の下、普及拡大が進んでいない炭素除去技術を開発する企業と事前購入契約やオフテイク契約(長期供給契約)を締結し、二酸化炭素(CO2)削減量を購入する。債券や株式投資とは異なる革新的な資金調達手段を提供し、技術開発やコスト低下の加速を支援する方針だ。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は23年3月に公表したレポートで、気候変動のネガティブインパクトを軽減する上で最も重要なのは炭素を削減することであるが、炭素除去技術は地球温暖化を防止するためのツールとして必要性が増していると指摘した(*3)。一方、ダイレクト・エア・キャプチャ(DAC)やバイオ原油を用いた炭素隔離、海洋アルカリ度強化といった炭素を除去する取り組みも、ギガトン級のCO2除去に必要な規模拡大を図るためには、風力や太陽光といった低炭素ソリューションで見られるように、大幅なコスト低下が求められている。
そのような中、フロンティアは将来のCO2削減量の購入契約を締結することで、炭素除去技術を開発する企業に資金が流れる仕組みを構築し、イノベーションを促す考えだ。なお、フロンティアを傘下に収めるストライプは、炭素除去の取り組みで比較的先行しており、19年には少なくとも年100万ドルを投じて削減量の購入を始めている。
近年、炭素除去技術に対する需要は急増しており、他のプレーヤーも取り組みを活発化させている。英保険大手アビバ(AV)は自然を活用した解決策(NbS)を用いた炭素除去に1億ポンド投じるコミットメントしており、23年2月には英森林保護団体ウッドランド・トラストの炭素削減パートナーとして1,000万ポンドを寄付すると発表した。マイクロソフト(MSFT)は同年3月、米気候テック企業CarbonCapture Incと、DACによって生成された炭素除去クレジットを購入することで合意した。
【参照記事】*1 オートデスク「Autodesk joins Frontier to accelerate carbon removal」
【関連記事】*2 アルファベットやメタなど5社 炭素除去技術の開発支援に1,200億円投資
【参照記事】*3 IPCC「AR6 Synthesis Report: Climate Change 2023」
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