ブルックフィールド、オーステッドより英国で3.5GWの洋上風力発電所の株式取得。3,500億円投資

カナダの投資ファンドのブルックフィールド・アセット・マネジメントは10月30日、デンマークのエネルギー大手オーステッドより、英国で発電容量3.5ギガワット(GW)規模の洋上風力発電所4か所の株式12.45%を取得すると発表した(*1)。取引額は23億ドル(約3,500億円)。

4件の洋上風力発電所は、ホーンシー1、ホーンシー2、ウォルニー・エクステンション、バーボ・バンク・エクステンションとなる。ブルックフィールドは、世界最大級のインフラファンドであるブルックフィールド・インフラストラクチャー・ファンドVを通じて、今回の取引を進めている。規制当局の承認を得て、2024年末までに完了する予定である。

オーステッドは、事業計画の見直しの一環として24年2月に発表したファームダウン(最終投資決定後1~2年でインフラ投資家やインフラファンドに一部権利を売却)を大きく進展させる。

ブルックフィールドにとっては、今回の投資により、世界最大級の洋上風力発電大手オーステッドと提携し、規模が大きく、完全に稼働している洋上風力発電ポートフォリオに投資する機会を得ることになる。ブルックフィールドの洋上風力発電部門の拡大に向けた新たな一歩であり、太陽光発電や陸上風力発電を補完するものだ。

オーステッドは4つの資産の37.55%の所有権を維持し、現行のサービス契約に従って、風力発電所の運営と保守を継続する。4つの資産はすべて、再生可能エネルギー支援スキームの差額決済契約(CfD、#1)制度に基づき、完全に稼働している。

今回の契約にはコールオプションが含まれており、オーステッドは取引完了より2年から7年の間に、事前に合意した価格で資産を買い戻す権利を得ている。

ブルックフィールドグループの資産運営会社ブルックフィールド・リニューアブルのコナー・テスキー最高経営責任者(CEO)は「我が社にとって初の洋上風力発電への投資であり、今後もエネルギーミックスの重要な一部であり続けるとともに、クリーンエネルギーに対する需要の高まりを支えていくだろう」と述べた(*1)。

オーステッドは現在、5GW超の洋上風力発電を導入しており、さらに5GWの洋上風力を建設中または開発中である。CfDを導入したホーンシー3およびホーンシー4プロジェクトも含まれる。

世界全体では、洋上風力、陸上風力、太陽光発電、バッテリー貯蔵の分野において15.4GWの再エネを導入しており、さらに7.7GW規模のプロジェクトを建設中である。

#1CfD…英国政府が実施する再エネ電源を対象にした入札制度。政府が落札価格と電力市場価格の変動する差額をプレミアムとして補填する。事業者が発電するクリーン電力に対して保証された価格を提供する仕組みとなる。

【参照記事】*1 ブルックフィールド「Brookfield Acquires Share of Four UK Offshore Wind Farms from Ørsted

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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