べイン、AQ Compute株の過半数取得。欧州でグリーンデータセンター開発推進

米投資ファンドのべイン・キャピタルは10月29日、独投資運用会社のAquila Group傘下のグリーンデータセンター開発業者であるAQ Compute株の80%を取得したと発表した(*1)。べインはAquilaとの戦略的提携を通じて、欧州全域でハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)および人工知能(AI)顧客向けの持続可能なデータセンターの開発・運営を大幅に加速させる。

AQ Computeは2020年に設立され、主にクリーンエネルギーを動力源とするモジュール式でAI対応のデータセンターとコロケーションサービスを提供している。多額の投資により、24年にオスロ近郊で最初の持続可能なデータセンターを立ち上げ、バルセロナやミラノなどでもプロジェクトを進行中だ。

Aquilaのロマン・ロスレンブロイ共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は「データ需要の急増は、課題であると同時にチャンスでもある。データセンターの増加は不可欠だが、持続可能でなければならない。20%の出資を継続することで、クリーンエネルギー分野の大手デベロッパー兼独立系発電事業者(IPP)であるAquila Clean Energyとのシナジーを発揮していく」と述べた(*1)。

ベインは、ポートフォリオ企業のBridge Data CentersによるアジアでのDC開発など、投資とデータセンター業界におけるグローバルな専門性を通じて、AQ Computeの成長をサポートする。Bridge Data Centersはアジア最大級のデータセンター・プラットフォームである。

べインは過去3年間、不動産に10億ドル(約1,500億円)以上を投資してきたが、欧州で初めてデータセンターに投資することになる。可能な限りクリーンエネルギーを活用し、欧州をリードするデータセンター・プラットフォームを構築することを目指す。

ベインのパートナーを務めるアリ・ハルーン氏は「欧州のデータセンター市場は、堅調なクラウド需要、高性能コンピューティング(HPC)とAI導入のニーズ、地域全体のデータ主権に後押しされ、魅力的な市場機会を提供している。Aquilaとの提携を通じて、再エネという切り口で差別化を図り、欧州の電力問題に取り組む」と述べた(*1)。

べインは世界有数のマルチアセットのオルタナティブ投資会社だ。1984年の創業以来、プライベート・エクイティ、クレジット、公開株、ベンチャー・キャピタル、不動産、ライフ・サイエンスなどの分野に投資、約1,850億ドルの運用資産を有する。

【参照記事】*1 べイン・キャピタル「Bain Capital and Aquila Group Partner to Build a Leading Sustainable Data Center Platform Across Europe

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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