日本銀行は3月25日、現在実施されている中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験を4月からフェーズ2へ進めることを発表した。
CBDCは中央銀行が管理する法定通貨建てのデジタル通貨だ。アメリカや中国など、多くの国でCBDCに関する調査や研究が進行している。日本でも2020年10月に「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」が発表され、2021年4月から本格的な実証実験が進められている。日本銀行は実証実験を行う理由として、現時点ではCBDCを発行する計画はないものの、将来的に社会的ニーズが急増する可能性がある点をあげていた。
今回の日本銀行の発表によると、実証実験のフェーズ1を3月で終了し、4月からフェーズ2に移行するという。方針ではフェーズ1の期間は2022年3月までとしていたため、予定通りだと言えるだろう。フェーズ2のスケジュールについては未定となっている。
フェーズ1ではパブリッククラウド上に「CBDC台帳」を中心とする実験システムを構築し、発行や払出、移転などの決済手段としての基本機能について検証が行われた。フェーズ2では、「CBDC台帳」に発行や流通に必要となる様々な周辺機能が追加され、技術的な実現可能性や課題について検証されるとのことだ。
日本銀行はフェーズ2で検証する予定の項目として、「決済の利便性向上」、「仲介機関間・外部システムとの連携」、「経済的な設計(金融システムの安定確保など)」の3つをあげている。また、実験システムに「実験用のウォレットアプリを接続し、技術課題やユーザビリティを検証する」ことも検討しているという。
日本銀行の黒田東彦総裁は今年1月、「CBDCの発行可否については2026年までに判断する方針である」と発言している。また、黒田総裁は3月29日、フィンテックに関する国際シンポジウム「FIN/SUM 2022」に出席した。現時点でCBDCの発行予定はないものの、今後の様々な状況変化に対応できるよう準備することが重要との見解を改めて示したという。
【参照URL】中央銀行デジタル通貨に関する実証実験(概念実証フェーズ2)の開始について
株式会社techtec リサーチチーム
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