米国の複数銀行は1月12日、ステーブルコイン「USDF」の発行に向けてUSDF Consortiumを設立したことがわかった。USDFは、銀行が発行体となる初のステーブルコインになるようだ。
USDF Consortiumは、FirstBank、Sterling National Bank、New York Community Bankなどの銀行から構成されており、USDFの導入と相互運用性を促進するためのネットワーク構築に注力するという。また、ブロックチェーンを利用することにより金融システムにおける障害を取り除き、デジタル取引をより多くのユーザーが利用できる機会を増やすことも目的としている。
USDFは米国の複数銀行によって発行され、コンソーシアム加盟銀行にて米ドルと1対1で交換可能になるという。USDF Consortiumによると、銀行がステーブルコインを発行することにより、ノンバンク発行のステーブルコインが抱えるユーザー保護や規制上の懸念に対応し、ブロックチェーン上でより安全な取引を行うことができるようになると主張している。
USDFは、Provenance Blockchainというパブリックチェーンを利用するようだ。パブリックチェーン上でUSDFが利用できることにより、P2Pや企業間送金に加え銀行とその顧客が、キャピタルコールやインボイス、サプライチェーンなど幅広い用途にUSDFを利用できるようにするという。
今回の発表に際し、Provenanceを開発したFigure Technologies社のMike Cagney CEOは「USDFは、拡大するDeFi取引の世界に無限の可能性を開くものである」とコメント。2021年秋頃に行った実証実験により、オンチェーンにおけるUSDFの使いやすさや取引処理の速さはすでに証明されているとし、USDFの規模拡大に期待を寄せている。
コンソーシアムに加盟するNew York Community BankのAndrew Kaplan氏は、USDFの安全性を強調した。USDFは、USDFコンソーシアムに参画する規制下の銀行によって発行、管理されるため、暗号資産業界全体の課題であるマネーロンダリング対策にも有効であると認識しているようだ。
日本では、ステーブルコインの発行体は銀行・資金移動業者に限定される予定であることを金融庁が2021年12月に発表している。規制の目的はユーザー保護に焦点を当てたものとなっており、ステーブルコインの発行体を顧客保護が義務付けられている銀行・資金移動業者に限定することで、ユーザーのリスクを抑えることができるという。また、ユーザーの本人確認や犯罪の疑いのある取引を監視することで、マネーロンダリング対策の強化も見込まれている。
【参照記事】USDF Consortium™ Launches to Enable Banks to Mint USDF Stablecoins
株式会社techtec リサーチチーム
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