グリーンボンドは2020年にさらに選好高まる、投資対象プロジェクトは多様化

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調達資金の使途を環境改善効果のある事業(グリーンプロジェクト)に限定して発行される債券「グリーンボンド」について、アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社は3月6日、市場の進化と2020年の見通しの解説を日本語版で発表した(英語版は2月18日付)。それによると、グリーンボンドの2019年の発行額は過去最高の1450億ドルで前年比76%増と大きく増加し、市場規模は3970億円に成長。発行体数も同50%増加した。同社は、20年も発行体が市場成長をけん引する形で、グリーン投資へのニーズは膨大、投資対象プロジェクトは多様化すると見込んでいる。

同社のポートフォリオ・マネジャーのヨハン・ プレ氏は「発行体がグリーンエネルギーへのコミットメントを強めることで、投資家のグリーンボンドへの選好が高まっている」とコメント。 背景として、環境ユニバースの透明性を高めるための規制要件や、EUグリーンボンド基準の公表、「欧州グリーン・タクソノミー(グリーン投資の分類基準)」といった複数の取り組みが、「この資産クラスに対する強い関心を喚起している」(同氏)と見る。

こういった動向は、既存の発行体 (国際機関や政府・自治体など) 以外にグリーンボンド市場への参入を決定した多くの新規発行体に反映されている。 19年には合計77の新規発行体がグリーンボンドを発行し、発行体数の合計は50%増加した。市場規模は4000億米ドルを超え、債券ユニバースの中で確立されつつある。

グリーンボンド市場の成長に伴い、発行体、セクター、地域の分散が進み、さらに投資対象プロジェクトの多様化も著しく進展すると同社は考えている。 「温室効果ガス排出量の削減目的に限定しない投資機会も、グリーンボンド市場拡大の恩恵を受ける」と、19年のトレンドが20年も続くと見る。 市場心理の改善傾向とマクロ経済指標の底打ち、さらにテクニカル要因は中央銀行の緩和により支援材料になるという予測に基づく。一方で、不確実性は依然高く、長期的な成長およびインフレに関する見通しも確固たるものではないため、「中央銀行の緩和スタンスが続き、長期金利の反発を抑える。多くのソブリン発行体がパリ協定で設定された目標を達成しようとしており、こうした発行体は今後数年間、グリーンボンド市場の成長に貢献する可能性が高い」という予測にとどめた。

拡大するグリーン投資の中でも特に気候リスクに対する関心が高まっている。欧州委員会の行動計画(18年3月公表)では、30 年までに温室効果ガス排出量目標を達成するため、年間1800億ユーロの投資が必要とされる。同社は「グリーンボンド市場は明るい将来をもたらすだけでなく、関連した新たな取り組みが投資を下支えする可能性がある」と示唆している。

【関連サイト】アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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