Andium、シリーズBで33億円調達。遠隔フィールド監視プラットフォーム拡張して運用コストとGHG排出大幅削減に寄与

産業向けにあらゆるモノがネットにつながるIIoTプラットフォームを提供するAndiumは10月29日、シリーズB(資金調達ラウンド)で 2,170万ドル(約33億円)を調達したと発表した(*1)。遠隔フィールド監視プラットフォームを拡張し、エネルギーや鉱業会社の運用コストおよび温室効果ガス(GHG)の大幅削減に貢献する。

今回の投資ラウンドは、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)であるアラムコ・ベンチャーズが主導した。既存の投資家であるClimate Investment、Intrepid Financial Partners、および著名な個人投資家(元シタデルの最高投資責任者(CIO)トーマス・ミグリス氏など)なども参加した。Andiumは2021年にシリーズAで1,500万ドルを調達しており、今回の投資で資金調達総額は4,000万ドルを超えた。

Andiumは調達資金を元手に、米国および中東の石油・ガス田を含む、グローバルな事業拡大を加速させる。技術および設備コストの削減、進行中の研究開発の推進、産業オートメーションおよび排出ガスモニタリングのサービス拡充も図る。

同社のジョリー・シュワック創業者兼最高経営責任者(CEO)は「我が社のエンドツーエンドのオペレーティングシステムは、遠隔地からリアルタイムで検証可能な排出データを監視・提供する。すでに運用コストと排出量の削減、安全性の向上が実証されており、エネルギー、鉱業、廃棄物処理会社がネットゼロおよびゼロハームの目標を達成するのに寄与している」と述べた(*1)。

Andiumは、人工知能(AI)搭載のソフトウェアと現場に設置するセンサーやカメラを組み合わせ、遠隔地の現場監視のための包括的なリアルタイムソリューションを提供している。ESG(環境・社会・ガバナンス)の指標を正確にモニタリングし、メタン漏れ、火災、機器の故障などの問題を検出することができる。

同社のIIoTプラットフォームは、即座に洞察を提供することで、企業の石油・ガス資産のパフォーマンスの最適化と継続的な規制遵守に役立つ。複雑化する規制環境の中で野心的な排出量削減目標の達成を目指すエネルギー企業にとって、費用対効果の高い重要なツールとなっている。

Andiumのソリューションは、BPやコノコ・フィリップスなど大手エネルギー企業が、GHG排出量を1拠点あたり最大65%削減し、現場での運用コストを最大45%削減するという効果をすでに実証している。Andiumのリアルタイムの監視自動化により、現場での作業時間を80%以上削減し、労働力の問題に対処するとともに、作業員の能力を高め、遠隔地の効率性を改善する。

Andiumの資金調達は重要な時期に行われた。11月11日に開幕する第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)では、地球温暖化および気候変動に大きな影響を及ぼすメタン排出が中心的な議題となる。

メタンは強力なGHGであり、20年間にわたってCO2の80倍以上の熱を閉じ込める。メタン排出の約60%は人間の活動に起因しており、エネルギー部門、主に化石燃料が排出量の3分の1以上を占めている。

メタン削減が規制上の優先事項となる中、Andiumのソリューションは、企業が排出削減目標を達成する上で重要な役割を果たすことになる。産業施設から放出されるメタンが地球温暖化の要因の3分の1以上を占めていることから、規模が大きくなればなるほど、同社の技術は地球の温度低下に貢献する可能性がある。

【参照記事】*1 PR Newswire「Andium Raises $21.7 Million in Series B Funding Led by Aramco Ventures to Cut Greenhouse Gas Emissions

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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