クリーンテックスタートアップAiraは6月4日、仏BNPパリバとコミットメントライン(融資枠)契約を締結し、2億ユーロ(約337億円)を調達したと発表した(*1)。ヒートポンプの証券化という新たな資産クラスを創出した。
Airaはスウェーデン・ストックホルムを拠点に、インテリジェント・ヒートポンプを核とする家庭用省エネルギーソリューションを提供するクリーンテックスタートアップだ。業界内で欧州No.1の消費者直販ブランドを目指す中、インテリジェントなクリーンエネルギー技術で住宅暖房の電化を加速させ、ネットゼロ社会の実現に貢献する。
垂直統合型モデルと初期費用不要の月払いプランを採用することで、業界最高クラスの経済性とコスト・リーダーシップ戦略を実現している。ヒートポンプを活用することで、スカンジナビアは30年以上前にガスから脱却した。同社はそのクリーンエネルギー技術を欧州の他の国々にも手頃な価格で提供することを目指す。
すでにイタリア、ドイツ、英国にも進出しており、向こう10年間に欧州20市場でサービスを展開するとともに、2034年までに500万世帯にAiraのクリーンエネルギー技術の導入を図る。
すでにシリーズA、B、および政府支援の下で1億9,500万ユーロを調達した。
今回調達した資金を元手に、ドイツ全土の数千世帯にAiraのヒートポンプを設置する計画だ。
よりクリーンで、より効率的で、手頃な価格の家庭用エネルギーソリューションへの需要は明らかであるが、ガス価格の低迷、負担の大きい規制、高い初期費用といった課題は依然として残っている。
エネルギー転換を加速させるためには、政府のインセンティブ強化と革新的な金融ソリューションの両方が不可欠である。AiraとBNPパリバが組成した2億ユーロ規模のヒートポンプ証券化は後者を事例となる。Airaは先行投資ゼロの消費者向け金融モデルをさらに強化することで、住宅暖房市場をディスラプト(破壊)しようとしている。
住宅暖房の変革には、技術の開発と導入だけでなく、誰もが利用しやすく手頃な価格にするための多額の投資資金が必要である。BNPパリバが提供する2億ユーロの融資枠は、この資金ギャップを埋めることになる。
Airaのマーティン・ルワース最高経営責任者(CEO)は「BNPパリバのようなパートナーからの多額の融資により、ヒートポンプ導入の大きな障壁を取り除き、ヨーロッパ全域での展開を加速させることができる。ヒートポンプ証券化は、弊社の消費者金融事業の第一歩であり、化石燃料を使用したボイラーからヨーロッパを脱却させるための大きな飛躍を意味する」と述べた(*1)。
【参照記事】*1 Aira「Aira secures €200m in debt commitments from BNP Paribas for first heat pump securitisation」
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