持続可能な航空燃料(SAF)スタートアップSkyNRGは6月5日、米マイクロソフトと協働し、「プロジェクト・ランウェイ」と呼ばれるブック&クレームを開始した(*1)。この取り組みを通じ、航空会社と企業を結びつけ、SAFへの容易なアクセスを提供する。
ブック&クレーム手法は、エネルギー自体の価値と環境属性を切り離し、環境属性の部分のみを証書化して取引する手法を指す。
同手法を用いることで、世界中からSAFの環境属性のみを購入することができる。これにより、SAFを調達できない空港を利用する場合であっても、証書を購入することにより、SAFを利用したのと同等の温室効果ガス(GHG)削減量を主張することが可能となる。
プロジェクト・ランウェイは、航空会社がSAFを容易に調達し、GHG排出を削減する効果的な方法を提供する。業界全体でより多くの利害関係者が参加することが、市場の発展や強靭性に不可欠とSkyNRGは見ている。マイクロソフトが立ち上げメンバーとして参加することは、両社の長年の関係を築くものである。
SkyNRGは、SAFへのアクセスとキャパシティの拡大は密接に関係していると考えている。プロジェクト・ランウェイは、SAF市場をさらに拡大し多様化するための手法を提供することになる。
ブック&クレーム手法により、航空会社にSAFへのアクセスを提供するだけでなく、航空分野におけるスコープ3の排出量削減を目指す意欲的な企業と、SAFに対する価格プレミアムを共有することもできる。
SkyNRGがSAFを提供し、マイクロソフトが最初のバイヤーを務めることで、航空会社は自主的なSAF目標を達成するために必要なすべてのリソースと情報にアクセスし、安心してSAF取引を進めることが可能だ。
SkyNRGのチーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)を務めるテー・ヴィーン氏は「プロジェクト・ランウェイは、弊社が市場をリードし続ける取り組みを継続し、2050年にネットゼロを達成するために、航空会社のSAF能力を高めるための次のステップとなる」と述べた(*1)。
同社は10年にオランダ・アムステルダムで設立されたSAF分野におけるグローバルリーダーだ。
2011年には、共同創業者兼株主でもあるKLMオランダ航空が運航する便に世界で初めてSAFを供給した。現在までに、世界中の40社以上の航空会社にSAFを供給しており、SAF転換を強力にサポートするため、専用の生産施設も開発中である。
SkyNRGはB Corp認証を取得し、SAFの責任ある製造に取り組んでいる。高い持続可能性基準を設定し、食品や飼料と競合する原料、パームや大豆の代替品、他の市場で使用されGHGが排出される可能性のある原料からのSAFは販売しない。
【参照記事】*1 SkyNRG「SKYNRG LAUNCHES PROJECT RUNWAY WITH MICROSOFT AS A FOUNDING MEMBER」

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