クリーンテック分野のスタートアップAiraは1月16日、シリーズB(資金調達ラウンド)で1億4,500万ユーロ(約232億万円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、欧州における住宅暖房の電化を更に加速させ、家庭のエネルギー料金の削減、脱炭素化の推進、天然ガスの輸入依存度の低減に貢献する方針だ。
欧州では、化石燃料を使用したボイラーがまだ1億3,000万台も使用されている。その結果、住宅暖房は3番目に大きな二酸化炭素(CO2)排出源となっており、欧州全体のCO2排出量の10%を占めている。ガスボイラーから空気源ヒートポンプ(ASHP)に切り替えることで、家庭の暖房費を最大40%削減し、CO2排出量を75%削減することができる。
Airaは2022年にスウェーデンで設立され、インテリジェント・ヒートポンプなどを提供するクリーンテック分野のスタートアップだ。ストックホルムに本社を置き、既にイタリア、ドイツ、英国に進出している。Airaによると、同社製インテリジェント・ヒートポンプを活用することで、電力源に応じて住宅暖房のCO2排出量を75~100%削減できるようになるという。
Aira傘下のAll Seasons Energyは、ソーラーパネルやヒートポンプなど13,000の省エネ設備を導入し、2億6,000万ポンドの省エネをもたらした英国で最も信頼されている家庭用再生可能エネルギーのスペシャリストの1社となる。
今回の資金調達により、Airaは欧州における住宅暖房の電化を推進する戦略を加速させる意向だ。
具体的な施策としては、インテリジェント・ヒートポンプ、ソーラーパネル、蓄電池、電気料金プランを含む製品とサービスにより、Airaのクリーンエネルギー技術ポートフォリオを拡大させる。そして、イタリア、ドイツ、英国で急速な市場拡大を続け、今後10年間で欧州の500万世帯にクリーンエネルギー技術ソリューションを提供する。
また、手頃な月払いモデルを導入し、欧州の住宅所有者が家庭用エネルギーソリューションを利用できるようにする。使いやすく顧客中心のクリーンエネルギー技術ソリューションを提供するための研究開発や技術にも資金を投じる。
さらに、ポーランド・ヴロツワフで製造能力を増強し、2024年前半にインテリジェントなコネクテッド・ヒートポンプの生産を開始する。
今回の出資に加え、ポーランド政府が、ヒートポンプを生産する最新鋭の製造拠点を同国に設立するために1,500万ユーロをAiraに供与した。同社はこれらに加え、シリーズAで調達した3,500ユーロと合わせて総額1億9,500万ユーロを確保したことで、野心的な長期成長目標を支える強固な基盤を確立した。Airaは欧州全域の家庭の暖房費とCO2排出量の両方を大幅に削減する取り組みを加速させる。
今回の投資ラウンドは、Altor、Kinnevik、Temasekが主導した。
【参照記事】*1 Aira「Aira raises €145 million in Series B financing」
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