世界経済フォーラム、グローバルリスク報告書2024年版を発刊。「誤報・偽情報」がリスクとして初の上位に

世界経済フォーラムは1月10日に発行した「グローバルリスク報告書2024年版」で、「誤報と偽情報」を最大の短期的リスクとして指摘した。また、「異常気象と地球システムの危機的変化」を最大の長期的懸念として指摘。「地球規模の喫緊の課題への協調が不足する可能性があり、新たなアプローチと解決策の構築が必要」と警告している。

同報告書は、経済的・社会的・環境的・技術的緊張から生じる主要なリスクを分析しており、初刊は2006年。2024年版は、1,400名超のグローバルリスクの専門家、政策立案者、業界リーダー(グローバルリスク・コンソーシアム)を対象に、2023年9月に実施した調査をもとに制作された。

同報告書の調査によると、今後2年間に予想される短期リスクの上位5位として、①誤報と偽情報、②異常気象、③社会の二極化、④サイバー犯罪やサイバーセキュリティ対策の低下、⑤国家間武力紛争、が挙げられた。

特に「誤報と偽情報」について、「今後2年間で、主要経済国で選挙が実施される中、誤情報や偽情報が広範に使用された結果、改ざんされた情報と社会不安が結びつくリスクがある」と指摘している。

(出典:世界経済フォーラム)

また、今後10年間で最も重要度の大きなリスクの上位5位として、①異常気象、②地球システムの危機的変化(気候の転換点)、③生物多様性の喪失と生態系の崩壊、④天然資源の不足、⑤誤報と偽情報、が挙げられた。

グローバルリスクの現状について、「人間開発が徐々に削ぎ落とされ、国家や個人が、新たなリスクや再燃するリスクに対して脆弱なままになっている」とし、「世界のパワーダイナミクス、気候、テクノロジー、人口動態のシステミックな変化を背景に、グローバルリスクは世界の適応能力の限界まで来てしまっている」と警鐘を鳴らす。

同報告書は、国際協調を積極的に展開することを推奨している。例として、紛争の意思決定におけるAIの統合に取り組む協定や、誤報や偽情報に関するデジタル・リテラシー・キャンペーンを通じた個人や国家のレジリエンスの強化、気候モデリングやエネルギー転換を加速させる可能性を秘めた技術に関する研究開発の促進などを挙げている。グローバルリスクの軽減のために、国境を越えた協調的な行動と、地域に根差した戦略と取り組みが求められる。

【プレスリリース】グローバルリスク報告書2024年版:環境の脅威が激化する中、「偽情報」がトップに
【参照記事】グローバルリスク報告書2024年版(英語)
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※画像の出展:世界経済フォーラム

※本記事は、世界のサーキュラーエコノミーが学べるメディア「Circular Economy Hub」世界経済フォーラム、グローバルリスク報告書2024年版を発刊。「誤報・偽情報」がリスクとして初の上位により転載された記事です。

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