Ubisoftと提携したへデラ・ハッシュグラフ(HBAR)とは?

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今回は、Ubisoftとへデラ・ハッシュグラフ(HBAR)の提携について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. Ubisoftとは?
    1-1.Ubisoftの概要と沿革
    1-2.仮想通貨関連事業
  2. へデラ・ハッシュグラフとは?
    2-1.へデラ・ハッシュグラフの概要
    2-2.へデラ・ハッシュグラフの特徴
    2-3.へデラ運営審議会とHBAR財団
    2-4.仮想通貨HBAR
  3. Ubisoftとヘデラ・ハッシュグラフの提携
  4. まとめ

22年2月、フランスの大手ゲーム開発企業Ubisoft(ユービーアイソフト)が、分散型パブリックネットワークHedera Hashgraph(ヘデラハッシュグラフ)を設立したHBAR財団とパートナーシップを締結しました。Ubisoftは次世代ゲームの開発などをHedera上で促進していくということです。今回はUbisoftと提携したHedera Hashgraphについて解説します。

①Ubisoftとは?

まずは、Ubisoftについての基本事項を解説します。

1-1. Ubisoftの概要と沿革

Ubisoft(ユービーアイソフト)は「アサシンクリード」や「レインボーシックス」などのシリーズで知られる世界的に有名なゲーム開発・販売会社です。1986年に設立されたUbisoftは、2015年時点に世界96ヵ国にて事業を展開、19ヵ国に29の開発スタジオを所有しており、開発スタッフ約7,800人を含む約10,000人のスタッフを抱える世界3位のパブリッシャーとなっています。Ubisoftの特徴として、アクションゲームやFPS(ファーストパーソン・シューティング)、オープンワールドの分野で国内外から高い評価を得ています。

1-2. 仮想通貨関連事業

Ubisoftは以前から仮想通貨やブロックチェーン、NFT関連の技術を積極的に取り入れています。
19年には、EOSブロックチェーンを基盤とする次世代型のゲーム配信プラットフォーム「ウルトラ(Ultra)」と提携し、テストネットのブロックプロデューサーとして、トランザクション(取引)を検証するインフラを提供しました。

2021年にはTezosブロックチェーンでトランザクションの検証者(ベーカー)として参加しました。またTezos上で「Ghost Recon:Breakpoint」のゲーム内アイテムのNFT化に乗り出し、NFTマーケットプレイス「Ubisoft Quartz」もローンチしています。

②へデラ・ハッシュグラフとは?

次に、Ubisoftがパートナーシップを締結したHedera Hashgraph(ヘデラハッシュグラフ)について、解説します。

2-1. へデラ・ハッシュグラフの概要

Hedera Hashgraph(ヘデラハッシュグラフ)とは、dApps(分散型アプリケーション)を構築するためのプラットフォームです。Hederaの特許取得済みのコンセンサスアルゴリズム「hashgraph」は、従来のブロックチェーンとは異なり、独自のDAG(有向非巡回グラフ)モデルを採用した分散型台帳技術(DLT)と説明されています。

Hedera performance

公式サイトより引用

ヘデラ・ハッシュグラフの処理能力は 10,000TPS以上にも上り、ビットコインが約3TPS、イーサリアム1.0が約12TPSであることを考えると各段に速いことが分かります。パフォーマンスに加えて、セキュリティ、ガバナンス、安定性、規制遵守の5つの点で、既存のブロックチェーンを大幅に改善していると説明されています。

2-2. へデラ・ハッシュグラフの特徴

①高速処理・低コスト

ヘデラ・ハッシュグラフは処理速度が速く、1秒あたりの処理件数10,000件以上を誇っています。また、送金コストも0.0001ドルと、非常に低くなっています。

②複数のサービスを提供

ヘデラ・ハッシュグラフは、JavaScript、Java、Goなどの言語で接続でき、分散型ネットワーク上で高速、公平、かつ安全なアプリケーションを起動できます。開発者はプラットフォームで提供されている以下の様なサービスを利用できます。

  • 各種トークンの簡単な作成・管理が可能な、トークンサービス(HTS)
  • サプライチェーン上の資産・知的財産・ID追跡データを不変で検証可能な形で記録する、コンセンサスサービス
  • イーサリアム仮想マシン(EVM)互換を備えるスマートコントラクト
  • GDPRに準拠し、有効期限の付加など弾力性のある分散型ファイルストレージ

ヘデラ・ハッシュグラフは企業レベルのニーズに応える機能を備えており、ユーザーにとって利便性が高いプラットフォームと言えます。

③サステナブル

ヘデラ・ハッシュグラフは、国連で採択された「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」に代表される、「環境の持続可能性」をコア・バリューとして掲げています。四半期ごとにカーボンオフセットを購入することで、カーボン・ネガティブなネットワーク運営になるよう、公式に取り組んでいます。

また、へデラネットワークの1取引あたりの平均消費電力量は僅か0.00017kWhで、1分間の動画再生時に使われるサーバーの電力消費量とほぼ同じとされ、二酸化炭素排気量は0.0000205494552kgと推定され、車で約50cm走行した場合のCO2排気量と同様ということです。

2-3. へデラ運営審議会とHBAR財団

Hedera council


グーグル、ボーイング、IBM、ドイツテレコム、野村ホールディングス等が参加するHGGC。現在のところ、 Hederaのメインネットノードは評議会メンバーが運用するノードに制限されているが、将来的にパーミッションレスとなる予定(公式サイトより引用)

ヘデラ・ハッシュグラフは「へデラ運営審議会(Hedera Global Governing Council)」によって統治されており、単一企業、開発者グループ、またはノードオペレーターが、ネットワークに過度な影響力を持つことを抑制しています。

そしてHBAR財団はへデラ運営審議会が2021年に設立した組織です。HBAR財団では、DeFi(分散型金融)・NFT(非代替性トークン)・CBDC(中央銀行デジタル通貨)・ESG(環境・社会・ガバナンス)・ゲームなどの分野において、分散型アプリケーションの立ち上げを目指している開発者・スタートアップ・組織などに対して助成金などを提供し、ヘデラエコシステムの発展を後押ししています。

2-4. 仮想通貨HBAR

仮想通貨HBARは、ヘデラ・ハッシュグラフのネイティブトークンです。分散型アプリケーション使用の燃料(ガス)となり、悪意のある攻撃者からネットワークを保護するためにも使用されます。開発者はトークンの管理、データの記録など、スマートコントラクトのデプロイなど、ネットワークサービス使用の対価としてHBARを使用します。ネットワークに送信された各トランザクションに対して、HBARはネットワークノードの帯域幅、計算、ストレージを確保するために使用されます。ヘデラ・ハッシュグラフのネットワークノードはHBARをステークする必要があり、合意形成時に取引に対する投票の重み付けに使用されます。

③Ubisoftとヘデラ・ハッシュグラフの提携

UbisoftとHBAR財団は22年2月3日に提携を発表しました。両社は共同で、分散型台帳技術とゲームを組み合わせたエコシステムを成長させるべく、へデラネットワーク上で次世代ゲーム開発・成長・立ち上げをサポートするイニシアチブを設立するとしています。

Ubisoftは今回の提携の一環として「へデラ運営審議会」のメンバーに加わっています。Ubisoftはヘデラネットワークのノードを運営するほか、ネットワークのガバナンスと今後の製品の方向性を考慮する議論に参加し、ゲーム業界についての専門知識や洞察も提供するとしています。

これ以外にも、Ubisoftが運営している「Ubisoft Entrepreneurs Lab(ユービーアイソフト・起業家ラボ)」に、へデラ・ハッシュグラフ専用コーナーを設置することも発表されています。Ubisoft Entrepreneurs Labは、エンターテインメント分野に特化して、世界規模でスタートアップ企業を支援しています。

④まとめ

ヘデラ・ハッシュグラフの分散型台帳技術はブロックチェーンとは異なる種類のコンセンサスアルゴリズムを搭載しており、セキュリティの安定性と合意形成スピードの速さを両立します。さらに機能性を備え、規制・環境性能の面でも企業ニーズに応えるため、様々な領域でユースケースが拡大しています。今回の提携により、ヘデラ・ハッシュグラフのゲーム分野での活用も促進され、実用性がますます拡大していく可能性があります。

ヘデラ・ハッシュグラフの仮想通貨HBARに投資したい方は、まず国内取引所でビットコインやイーサリアムを購入し、その後にHBARを取り扱っている取引所(BinanceやOKExなど)に仮想通貨を送付する必要があります。HBAR投資への玄関口となる国内取引所としては、アプリが使いやすいコインチェックや出庫手数料が無料のGMOコインの利用を検討してみることをおすすめします。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12