証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。
目次
- 暗号資産におすすめの3つのテクニカル指標
1-1. RSI
1-2. MACD
1-3. ボリンジャーバンド - 3つの指標を組み合わせた分析方法
2-1. 買いのタイミング
2-2. 売りのタイミング - 使用上の注意点
- テクニカル指標の様々な組み合わせ
暗号資産(仮想通貨)のトレードする時、売買タイミングを図る上でテクニカル指標は有用です。しかし、あまりに多くのテクニカル指標があるため、初心者の中には苦労して学習しても勝率が中々上がらず、挫折してしまう方も多いと思います。
ここでは元証券会社トレーダーがおすすめする基本的なテクニカル指標と、各指標を組み合わせた分析方法について紹介していきます。暗号資産投資を検討している方にとって参考になると思いますので最後まで読んで頂けると幸いです。
①暗号資産におすすめの3つのテクニカル指標
筆者がおすすめするテクニカル指標は以下の三つになります。
- RSI
- MACD
- ボリンジャーバンド
これら三つのテクニカル指標の概要について説明した上で、それぞれを組み合わせた分析方法を簡単に説明していきたいと思います。それでは、各指標の概要について説明していきましょう。
1-1. RSI
まず一つ目の指標は「RSI」です。RSIとは、「買われすぎ」か「売られすぎ」かを判断するための指標になります。
一般的に、RSIが「30を下回る水準」が売られすぎで、「70を上回る水準」が買われすぎと判断できます。ただ、この説明は厳密には正しくありません。
正しい説明は、「RSIの値が70より上にあったものが70を下回った時が売りのタイミング」、逆に「30未満にあったものが30上回った時が買いのタイミング」です。
時々、「RSIが80付近にあるから買われすぎ/RSIが20付近にあるから売られすぎ」という解説を見かけますが、あまり参考にならないので注意するようにしましょう。
むしろ、暗号資産において70を上回る水準や30を下回っている水準では、過熱感や悲観が勢い増す場合があります。その結果、価格が上昇(下落)方向に継続する場合があるので、不用意に反対方向にポジションを持つと大きく負ける可能性が高くなります。後ほど、エントリーのタイミングについてご紹介しますので、そちらを参考にしてください。
1-2. MACD
次に紹介するのは「MACD(移動平均収束発散法)」です。少し分かりやすく言えば「直近の値を重視した移動平均線を用いた指標」と言えます。
単純移動平均線といえば、過去設定したN日間分の値を均等に表していますが、MACDで用いる移動平均線は直近の値に重みをつけています。これを指数平滑移動平均といいます。そのため、通常の移動平均線よりもより詳細な分析を行うことができます。
実際の画面では、二つの線と棒グラフが表示されますが、注目すべきは棒グラフです。この棒グラフが「負から正の値に入るタイミングが買い」、「正から負の値に入るタイミングが売り」として、エントリータイミングを探ることができます。
1-3. ボリンジャーバンド
三つ目に説明するのはボリンジャーバンドです。「ボリンジャーバンド」は、移動平均線の上下に描かれた、統計学の標準偏差の考え方を利用して示された線を指します。
いきなり標準偏差と言われてもピンと来ない方がほとんどだと思います。ここでは、「統計学的に線(ボリンジャーバンド)の中に収まる確率」と考えて頂いて構いません。
上下2本ずつ表示されるボリンジャーバンドですが、ここでは、中心線に近い上下1本ずつを「上下ボリンジャー①」、離れた上下一本ずつを「上下ボリンジャー②」と呼ぶことにします。統計学的に、「上下ボリンジャー①」の中に収まる確率が68.27%」、「上下ボリンジャー②」の中に収まる確率が95.45%」とされています。
他の方の説明では「上下ボリンジャー①」から外れているタイミングでエントリーを検討しても良いとしているのも見かけますが、私はこの方法にはあまり賛成できません。より勝率を上げるためには、「上下ボリンジャー②」を参考にして投資を行うのがおすすめです。
つまり、「上ボリンジャー②」を上回る価格帯で推移している時に売り、「下ボリンジャー②」を下回る価格帯で推移している時に買い、と判断するようにしてください。
②3つの指標を組み合わせた分析方法
ここまで筆者がおすすめする3つのテクニカル指標の概要と、それぞれの使い方について説明してきました。ここからは、それぞれを組み合わせた分析方法について紹介していきます。
考え方は、複数の指標がそれぞれ一定の条件を満たしたときに適切な方向にポジションをとることで、勝率を上げることが出来るというものです。それでは、買いのタイミングと売りのタイミングに分けて、それぞれ説明していきます。
2-1. 買いのタイミング
- RSIが30未満にあったものが30を上回った時
- MACDの棒グラフが負から正になった時
- 価格が「下ボリンジャーバンド②」を下回る水準にある時
これら三つを全て満たすタイミングが、最も買いに向いているエントリータイミングになります。ただ、3つ全てを満たすタイミングを見つけることはかなり難しいため、実際には2つ満たしていればエントリーをしても問題ないと思います。私自身も2つの時にエントリーすることがあります。
もちろん、堅実にトレードをしていきたいという方は、3つ全てを満たすときにエントリーをするようにした方が良いと思います。
2-2. 売りのタイミング
- RSIが70より上にあったものが70を下回った時
- MACDの棒グラフが正から負になった時
- 価格が「上ボリンジャーバンド②」を上回る水準にある時
これら三つを全て満たすタイミングが最も売りに向いているエントリータイミングになります。こちらについても、買いのタイミングと同様、三つ全てを満たす状況は稀です。よって、いずれか2つを満たす場合でエントリーをしても良いと思います。
③使用上の注意点
テクニカル指標を組み合わせた利用方法について解説しましたが、最後に、利用上の注意点について紹介します。
テクニカル指標を利用する際、「ファンダメンタルズ」に注意してください。ファンダメンタルズとは暗号資産市場の動向や情勢、経済状況のことです。これらの分析を怠ると、突然価格が変動した時に対処できない事態に陥ります。
テクニカル指標も万能ではありません。経済状況が大きく変動するとテクニカルを無視して価格が動く場合があります。例えば、新型コロナウイルスが拡大した2020年3月から4月にかけて、テクニカルが示唆する方向とは別の方向にビットコイン価格が上下動することが度々ありました。ですので、情報収集を怠らないようにしてください。
④テクニカル指標の様々な組み合わせ
ここでは暗号資産投資において基本的なテクニカル指標の解説と、利用方法、利用上の注意点について解説しました。トレードの勝率が上がらずに悩んでいる方や、これから投資を始めようという方の参考になると思うので、実際のチャート分析に利用してみてください。
そして、テクニカル指標はこのほかにも様々なものがまだまだたくさんあります。是非自分自身の組み合わせを見つけていただきトレードを楽しんでいただければと思います。
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中島 翔
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