SBINFTの事業内容と特徴について解説

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今回は、SBINFTについて、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. SBINFTとは
    1-1. SBINFTの概要と沿革
    1-2. 親会社のSBIホールディングス
  2. SBINFTの事業内容と特徴
    2-1. NFTマーケットプレイス「SBINFT Market」
    2-2. NFT Consulting
    2-3. DApps Service
  3. SBINFTの今後の展開
    3-1. LAWSON TICKET NFT
    3-2. AIを用いた技術の研究開発
  4. まとめ

近年、クリプト業界の盛り上がりとともに「NFT(非代替性トークン)」にも大きな注目が集まっており、その保有者はますます増加しています。

そんな中、日本国内の金融大手である「SBIホールディングス」においてNFT分野を担当している「SBINFT」をご存知でしょうか。SBINFTはSBIホールディングスが持つノウハウを活かし、ブロックチェーン技術を用いた多岐にわたる事業展開を行っており、すでにクリプト業界における重要な存在となっています。

そこで今回は、SBINFTについてその事業内容や特徴などを解説していきます。

①SBINFTとは

1-1.SBINFTの概要と沿革

SBINFT
SBINFTとは、15年5月1日に設立された日本国内のWeb3企業で、ブロックチェーンテクノロジーを活用したプラットフォーム事業を展開しています。元々は「株式会社スマートアプリ」という社名でしたが、21年9月に「SBIホールディングス」によって連結子会社化が行われたことを受け、社名を「SBINFT株式会社」へ変更した形となっています。SBINFTは「ブロックチェーンサービスで革新的な経験を世の中に」という理念のもと、ブロックチェーンおよびNFTに特化したさまざまなサービスの提供を行っています。

代表取締役を務める高長徳氏は、「GMOグループ」や「Yahoo!JAPAN」、「ドリコム」や「モブキャスト」といった大手企業においてプラットフォーム事業責任者やゲームプロデューサーなどを経験し、18年からはブロックチェーン分野でプラットフォーム事業の展開を行っている、業界に深く精通した人物となっています。

1-2.親会社のSBIホールディングス

SBIグループは、北尾吉孝氏をCEOとする金融コングロマリットです。金融サービス事業、バイオ関連事業、アセットマネジメント事業の3つを主要事業としています。元々はソフトバンクの子会社である「ソフトバンク・インベストメント」が前身でしたが、現在は金融グループとして独立しています。

SBIグループは特に、ネット銀行やブロックチェーン、私設取引システムの運営といった新興市場における事業開発を得意としています。また、新生銀行に対するTOB(株式公開買付け)を宣言するなど「第4のメガバンク」の座を目指して規模の拡大を図っています。

②SBINFTの事業内容と特徴

SBINFT株式会社は、NFTの発行や販売、購入を行うプラットフォームを運営しています。NFTによって、世界に新たなサービスを提供することを企業理念として掲げています。

SBINFTはNFTマーケットプレイスのほか、技術支援やコミュニティビルディング、販売戦略立案といったコンサルティングも行っています。SBINFTでは、大きく分けて3種類の事業を手がけており、それぞれの特徴は下記の通りとなっています。

2-1.NFTマーケットプレイス「SBINFT Market」

Visual
SBINFT Marketは日本国内初となるクリプトアーティスト登録制によるNFTマーケットプレイスです。SBINFTは21年に株式会社スマートアプリが提供していた「nanakusa」というNFTマーケットプレイスを買収しており、「SBINFT Market」にリブランディングした格好です。

22年3月17日からサービスの提供が開始されたSBINFT Marketは、パブリックチェーン(ETH、Polygon)によるNFTの発行や販売、二次流通機能を備えたマーケットプレイスとして多くのユーザーを獲得してきました。そんなSBINFT Marketの特徴は下記の通りです。

①クリプトアーティスト登録制

SBINFT Marketでは国内初となるクリプトアーティスト登録制を採用しており、公認アーティストまたは提携事業者である場合は、専用ページにおいてNFTを発行することが可能です。

デジタルアートや写真、音楽といったNFT作品や、チケットやゲームキャラクターおよびアイテムなどのユーティリティがあるNFTが販売可能で、一般のユーザーはそれを購入したり、二次流通機能を利用してユーザー同士で取引することが可能となっています。

②2種類の販売方法が選択できる

SBINFT Marketでは、自身が設定した価格でNFT作品を販売できる「通常販売」と、オークション形式で販売できる「オークション販売」という、2種類の販売方法が選択可能です。

そのため、クリプトアーティストは自身のニーズに合わせた柔軟な出品が可能なほか、通常販売の場合はクレジットカード払いおよび仮想通貨(ETH、MATIC)払いに対応しているため、利便性の高い出品システムとなっています。

また、二次流通において取引が成立した場合、発行者である公認アーティストまたは提携事業者に対して一定割合のロイヤリティが還元される仕組みを採っているため、発行者は継続して報酬を得ることができます。

③対応言語が多い

SBINFT Marketでは日本語のほかにも英語、中国語、韓国語に対応しており、より国際色の強いNFTマーケットとなっています。

④パブリックブロックチェーンを採用

SBI NFT Marketは、パブリックブロックチェーン(イーサリアム、ポリゴン)に対応したNFTマーケットプレイスとなっています。

日本の国内企業が運営するNFTマーケットプレイスでは一部の機能をオフチェーン(ブロックチェーンの外)において展開しているケースが多いのですが、SBI NFT Marketはパブリックブロックチェーンを採用している点で世界標準のプラットフォームとなっています。そのため、決済は暗号資産(ETH、MATIC)払いに対応しており、クレジットカードも使用できます。

また、二次流通が可能なため、ユーザーはNFTの販売や購入が可能です。取引が成立すると、発行者である公認アーティストや提携事業者にロイヤリティが還元される仕組みです。

⑤「Startrail」を搭載

「Startrail」とは「スタートバーン株式会社」によって提供されているアート流通・評価システムです。SBINFT Marketはこの技術を搭載しています。

スタートバーンは21年9月にSBINFT Marketとパートナーシップを締結しており、アート作品に対してブロックチェーン証明書(NFT)が発行できるようになっています。これにより、作品の売買や贈与が行われる度に、その情報が自動で記録されるようになっています。

SBIグループは仮想通貨取引所事業やeスポーツ事業、アートオークション事業などを実施しています。それらの既存事業との相性が良いため、NFT事業への参入を決断したと述べています。

2-2.NFT Consulting

Consulting
SBINFTでは「NFT Consulting」としてNFTに関する戦略立案やリリース後の運用など、一貫したコンサルティングサービスを提供しています。SBINFTはSBINFT Marketの開発および運営を行っているため、そこで利用しているNFTの発行や出品、購入や管理機能といったあらゆる機能を提供し、クライアントのNFT事業発展をサポートしています。

またこのほかにも、比較的複雑な仮想通貨による売上の管理や会計処理についても、手厚くサポートするということです。

2-3.DApps Service

SBINFTではDApps(分散型アプリ)サービスとして、アイドルや有名人といった「推しメン」のNFT版トレーディングカードが購入できる「NFTトレカ」の提供を行っています。NFTトレカはNFTテクノロジーを利用することによってカード一枚一枚に固有のデータを付与しており、デジタルデータであるにも関わらず、従来のトレーディングカードと同様に唯一無二の価値を有しています。

DApps「NFTトレカ」では、人気アイドルグループ「SKE48」のコンサートの様子を納めたトレカシリーズのほか、同じくSKE48の荒井優希さんの「プロレス本格デビュー戦 in 後楽園ホール」におけるハイライトシーンを納めたコレクション、VTuberである「キミノミヤ」および「大蔦エル」のトレカシリーズなど、幅広い商品を取り扱っています。

③SBINFTの今後の展開

3-1.LAWSON TICKET NFT

SBINFTは「株式会社ローソンエンタテインメント」と提携して、「LAWSON TICKET NFT」と呼ばれるサービス展開を進めています。

LAWSON TICKET NFTとは、現在ローソンチケットで販売されているコンサートやスポーツなどのイベントチケットを、保管が可能な記念NFTチケットとして販売するというサービスです。NFTとして発行されたチケットにはレアリティの高い画像のほか、イベント当日の会場における座席情報なども記録されるため、自分だけの記念チケットとして残すことが可能です。

【関連記事】ローチケ(ローソンチケット)利用者向けの「LAWSON TICKET NFT」とは?

3-2.AIを用いた技術の研究開発

SBINFTは22年5月から、ブロックチェーンとAI(人工知能)を用いた技術の研究開発を行うことを発表しました。特に、現在ブロックチェーン業界で大きな課題となっている、他者の権利を侵害したNFTの流通を食い止めるため、高精度且つ半自動的な真贋判定技術の開発に取り組んでいくということです。

④まとめ

SBINFTはSBIホールディングスの技術力を活かして、NFTに特化したさまざまなサービスを展開しているほか、NFT業界の課題を解決するための技術開発も積極的に行っています。

NFT業界は今後さらに規模を拡大していくと見られているため、その中核を担っているSBINFTの動向にも、引き続き注目していきたいと思います。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12