今回は、暗号資産のポートフォリオについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- SBIの暗号資産ファンドとは
1-1.SBI暗号資産ファンド
1-2.運用方針 - 仮想通貨のポートフォリオの組み方
2-1.ポートフォリオとは
2-2.ポートフォリオを構築する際の考え方
2-3.仮想通貨の銘柄選定の考え方
2-4.仮想通貨積立を利用する方法 - まとめ
近年、世界的に仮想通貨(暗号資産)を組み入れたETFが増えています。日本国内でもSBIグループが仮想通貨を組合せた投資商品「暗号資産ファンド」を販売しました。そこで今回は、SBI暗号資産ファンドと仮想通貨のポートフォリオの組み方について解説したいと思います。
①SBIの暗号資産ファンドとは
まず始めにSBI暗号資産ファンドについて解説します。
1-1. SBI暗号資産ファンド
SBI暗号資産ファンドは、一般的な投資信託ではなく、クラウドファンディングなどで使われる匿名組合の仕組みで実現します。これは、SBIオルタナティブ・アセットマネジメントの子会社となるSBIオルタナティブ・ファンド合同会社が匿名組合を作り、投資家はそこと匿名組合契約を結ぶ形で出資できます。
仮想通貨の売買・保管はSBI VCトレードが受け持ち、募集・契約取次に関してはSBI証券を通じてSBIマネープラザが再委託の形で受け持ちます。
投資対象は7つの仮想通貨(ビットコイン、XRP、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、ライトコイン、チェーンリンク、ポルカドット)で組成されたファンドです。このファンドでは、仮想通貨1銘柄当たりの組み入れ上限比率を20%とし、時価総額比率に応じた投資配分が行われます。
リスクの高い投資商品であることから、保有金融資産3000万円以上・投資経験が十分にあること等の参加要件があります。具体的には購入資格として、SBIは以下のように定めています。
年齢 | 20歳以上70歳未満 |
投資の方針 | 「利回り・値上り益重視」「値上り益視」「積極的値上り益重視」 |
主たる資金の性格 | 余裕資金 |
金融資産 | 職業区分に応じて金融資産3,000万円以上または5,000万円以上 |
投資経験 | 株式、上場投資信託またはデリバティブ取引の投資経験があること |
その他 | 暗号資産の性質、暗号資産への投資に関するリスクを十分ご理解いただける方 |
また、この商品の投資単位は500万円以上~、100万円単位で設定できます。そして最低1年間は中途解約ができないといった制限があります。
1-2. 運用方針
次にSBIの暗号資産ファンドの運用方針について解説します。
運用期間は1年とし、投資、売却タイミングのリスクを軽減するために、ファンド設定時および償還時に時間分散(3か月ずつ)を図る投資手法が活用されます。これは、購入時と売却時には3カ月の期間をかけて購入単価を売却単価の平準化をするというのです。
また、ポートフォリオの配分は毎月一度、投資比率の配分を自動リバランスされます。
1-3. ポートフォリオの組み方について
次に、SBI暗号資産ファンドのポートフォリオの組み方について解説したいと思います。
まず、ポートフォリオに組み込まれている仮想通貨7種類ですが、これは基本的にSBIグループの仮想通貨取引所である「SBI VC トレード」で取扱いのある仮想通貨(ビットコイン、XRP、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、ライトコイン、チェーンリンク、ポルカドット)が全て組み込まれている形になっています。
ポートフォリオ組成のポイントとしては、1仮想通貨あたりの組み入れ上限比率が20%になっていることです。また、時価総額比率に応じた投資配分を行います。参考までに、SBI暗号資産ファンドに組み込まれている仮想通貨の時価総額と市場シェアは以下の通りです(2021年12月18日時点)。
仮想通貨 | 時価総額 | 市場シェア |
ビットコイン | ¥99,702,964,112,661 | 61.32% |
イーサリアム | ¥52,596,214,344,294 | 32.35% |
XRP | ¥4,374,814,717,508 | 2.69% |
ポルカドット | ¥2,802,352,748,203 | 1.72% |
ライトコイン | ¥1,163,164,699,819 | 0.72% |
チェーンリンク | ¥1,033,104,440,704 | 0.64% |
ビットコインキャッシュ | ¥929,664,607,290 | 0.57% |
実際の市場ではビットコインとイーサリアムのシェアが突出していますが、20%の上限キャップを適用すると、その他の仮想通貨のシェアが増加します。結果、XRPが20%、ポルカドットが16%程度の比率となりそうです。
②仮想通貨のポートフォリオの組み方
次に仮想通貨のポートフォリオの組み方について解説します。
2-1.ポートフォリオとは
ポートフォリオとは長期投資をする際の銘柄の組み合わせのことを言います。
これは複数の金融商品や銘柄の組み合わせのことを指しますが、これは長期投資において値動きの異なるものに分散投資してリスクを軽減する考え方から来ています。
2-2. ポートフォリオを構築する際の考え方
ポートフォリオを構築する際の考え方に関しては、投資の目的や投資家の環境により異なりますが、一般的には、以下のような点を考慮して考えられます。
- 投資の期間
- 投資の目的と必要資金額
- 投資家の年齢
- 投資家の家庭環境
- 投資できる金額
また、銘柄はリスク資産と安全資産に分かれますが、投資期間が長ければリスク資産の割合も増えます。
ポートフォリオに組み入れるべき銘柄数とリスク量はトレードオフの関係にありますが、SBI暗号資産ファンドのように1銘柄の上限比率を20%以下とする事が望ましいため、最低でも5つの銘柄が必要となることになります。
2-3. 仮想通貨の銘柄選定の考え方
次に仮想通貨の長期投資ポートフォリオを組む際の考え方について解説します。
仮想通貨市場は、ビットコインとイーサリアムが時価総額の大半を占めるため、ポートフォリオにも組み込みたい仮想通貨となってきます。
海外仮想通貨取引所を利用するか否かで、選択できる仮想通貨が大きく変わってきますが、昨今の海外取引所に対する金融庁の対応状況を鑑みると長期投資をする上では、国内仮想通貨取引所で上場されている仮想通貨に限って考えた方がリスクが小さいと言えます。
また、通貨の選択の仕方は、現状の時価総額という考え方もありますが、DeFi、NFT、Metaverseなど仮想通貨が得意とする分野の将来性なども考慮に入れた選択をしてみるのも良い考え方だと思います。
2-4. 仮想通貨積立を利用する方法
仮想通貨の長期投資をする上では、余剰資金を一気に投資に回すこともできる一方で、給与所得等から毎月積み立てる方法でも利用できます。取引所によっては、100円単位で仮想通貨の積み立てをすることができるところもあるため、ポートフォリオの比率に基づいた割合で、積み立てをすることも可能です。
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また、仮想通貨積立を利用する際には月に一度はポートフォリオの確認と必要に応じた見直しをすると良いでしょう。
③まとめ
投資信託のように専門家が選んだ金融商品に投資するのも、自らがファンドマネージャーになったつもりでポートフォリオを組んだ投資をするのもどちらも投資には変わりません。普段からトレードをしている方であれば、長期投資に関しても自らの選択眼でポートフォリオを組んだ投資をしてみると投資の楽しみが一層増えると思います。まだ仮想通貨投資を始めて間もない方は、この機会に仮想通貨のポートフォリオの意識を持って、積立投資を組んでみたり、リバランスを含めた運用を検討してみましょう。
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中島 翔
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