NFTを深く理解するために知っておくべき5つの技術レイヤーとは?

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今回は、Web3.0とDAOをテーマに事業を行うFracton Ventures株式会社の赤澤直樹 氏から寄稿いただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. NFTを支える技術レイヤー
  2. NFTを支える5つのレイヤー
    2-1. Layer1:ベースレイヤー
    2-2. Layer2:L2(セカンドレイヤー)
    2-3. Layer3:発行流通プロトコル
    2-4. Layer4:金融化プロトコル
    2-5. Layer5:アグリゲータープロトコル
  3. まとめ

NFTを少し調べたことがある方であれば、「NFTはブロックチェーンを利用したトークンの一種」や「唯一性を持つトークン」というような説明を見たことがあるかもしれません。また、FLOWやPolygon、OpenSeaというワードもよく聞いたことがあるかもしれません。

では、それぞれがNFTを取り巻く地図の中でどのように位置付けられるでしょうか?プロトコルやサービスは互いに影響を与え合いながら発展しています。それぞれの関係性を理解することが、NFTをより深く理解するために必要なことでしょう。この記事では、NFTを支える技術レイヤーについて紹介します。

1. NFTを支える技術レイヤー

NFTはブロックチェーンを利用して発行されていることは多くの方が理解し始めているでしょう。しかしその土台となっているブロックチェーンや各種プロトコルは多様化しており、多くの選択肢が生まれています。当然多様化するに連れてブロックチェーン間やプロトコル間において競争が激化していきます。ユーザー視点から見ると、この状況はより良い体験をすることができるという意味でとても重要なことだと言えるでしょう。

このような背景から数多くあるプロトコルやサービスを整理して理解することが、NFTについて深く理解することに繋がります。特にNFTはブロックチェーン”技術”をベースにしていることからも、当然技術的なレイヤーを理解することでより解像度をあげることができます。

2. NFTを支える5つのレイヤー

NFTを支える土台には大きく分類すると5つの層(レイヤー)にカテゴライズできます。このような分類は着眼点によって様々に分けることができるのでこれに限りません。

また、多くのサービスは複数のレイヤーにまたがるようにして成立しているため、個別具体のサービスを各レイヤーにそのままあてはめることは難しいかもしれません。しかし、どのような範囲をカバーしているのかを整理することでサービスの特徴を浮き彫りにすることができるようになります。

Layer1:ベースレイヤー

ベースレイヤーとは、大元となるブロックチェーンプロトコルのことを指します。代表的なものとしてはEthereumが挙げられるでしょう。NFTブームの火付け役となったNBA TopShotはDapperLabs社が開発しているFLOW Blockchainをベースレイヤーとして利用しています。

ベースレイヤーはブロックチェーン基盤そのものであり、それがなければNFTの発行自体ができません。そのため最も基本的なパートであり、全体に影響を与える土台にもなります。ベースレイヤーの性能の向上や低下はその上に乗る全てのプロダクトやサービスに大きな影響を与えていきます。このような背景があるため、ベースレイヤーの性能を向上するための開発も積極的に進んでいます。

Layer2:L2(セカンドレイヤー)

L2はセカンドレイヤーとも呼ばれ、ベースレイヤーの拡張性を高めるために様々なソリューションが開発されています。代表的なところでは、PolygonやimmutableXというプロジェクトが存在します。

理論上、NFTはベースレイヤーのみでも成立しますが、高額なガス手数料や多くのNFTを同時に扱いたい場合に若干不利な場面があります。このような問題をスケーラビリティ問題と言いますが、この問題を解決するためのソリューションがL2です。

Layer3:発行流通プロトコル

ここまでに紹介したLayer1:ベースレイヤーやLayer2:L2があれば基本的にはNFTを使った様々な処理を行うことが可能です。しかし、そのためにはブロックチェーンを利用するための技術的なスキルが必要です。そのため、NFTをより多くの人が利用するためには簡単に利用できるようなツールに当たるものが必要です。

一般ユーザーがNFTを発行し流通させるために、そのプロセスを管理するプロトコルが多く利用されます。代表的な例として、RaribleやOpenseaなどが挙げられます。これらのソリューションはNFTの発行やその売買を簡単にするためのプロトコルが裏側で定義されおり、高度な技術スキルを持っていない人でも利用することが可能になっています。

Layer4:金融化プロトコル

NFTは一種のデジタルアセットであり、多くのバリエーション豊かなサービスが開発され始めています。例えば、NFT20が挙げられます。NFT20はNFT Liquidity Protocolと呼ばれるプロトコルで、NFTに裏付けられたERC20トークンを発行できるものです。これにより、NFTの流動性を向上したり、既存の分散型金融へ繋ぎこむことができるなど、NFTのより幅広い活用ができるようになります。また、NFTXというプロトコルもよく似た仕組みを備えており、同じくプールにNFTを預けることでERC20トークンを発行し、流動性を向上したりといった仕組みを備えています。

また、Axie Infinityというブロックチェーンゲームも分散型金融とうまく組み合わせた例と言えます。NFTに基づくPlay-to-Earnゲームと、ゲーム内アイテムの流動性プールを組み合わせたことで新しいNFTの使い方を提案しています。

このようにNFTの応用可能性を拡張するようなプロトコルが開発され始めています。

Layer5:アグリゲータープロトコル

ここまで見てきたように、それぞれのレイヤーにおいてたくさんの選択肢があり、一人のユーザーがその全ての選択肢をカバーするのは困難です。そこで、様々なプロトコルに分散している情報を集約するアグリゲーターという役割のプロトコルが存在します。

具体的には、ZapperやCryptoSlamというサービスがあります。これらのサービスは複数のベースレイヤーやセカンドレイヤーの情報を収集し一画面に整理してくれます。OpenSeaでもユーザーが持っているNFTを複数のブロックチェーンを横断して一覧として表示する機能があります。

まとめ

今回はNFTを支える技術レイヤーについて解説しました。NFTと一言に言っても様々なプロトコルやサービスが作られ、相互に影響を与え合いながらそのマーケットを広げています。今後も新しいプロトコル/サービスが開発されていくと思いますが、それらがどのような特徴を持つのか、どのレイヤーをカバーするのかを見ていくと「NFTを取り巻く地図」が朧げながらに見えてくるでしょう。

ディスクレーマー:なお、NFTと呼ばれる属性の内、発行種類や発行形式によって法令上の扱いが異なる場合がございます。詳しくはブロックチェーン・暗号資産分野にお詳しい弁護士などにご確認ください。

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Fracton Ventures株式会社

当社では世の中をWeb3.0の世界に誘うことを目的に、Web3.0とDAOをテーマに事業を行っています。NFT×音楽の分野では、音楽分野のアーティスト、マネジメント、レーベルなどとNFTを活用した新しい体験を図るプロジェクトを行っています。