【暗号資産取引所の元トレーダーが解説】移動平均線の種類と使い方

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今回は、移動平均線の種類と使い方について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 移動平均線の種類と違い
    1-1. 単純移動平均線
    1-2. 加重移動平均線
    1-3. 指数平滑移動平均線
    1-4. それぞれの移動平均線の比較・違い
  2. 移動平均線の使い方
  3. 移動平均線は方向性の理解のために利用しよう

仮想通貨に投資する投資家の中にはテクニカル分析をもとにトレードを行っている方も多いでしょう。ファンダメンタルズというのは実際まだ理解できない部分も多く、一体どのようなニュースがどのように仮想通貨(暗号資産)の価格形成に反映されるのか未知数な部分もあると思います。そのため、テクニカル分析を用いてトレードすることが行いやすいと言えるかもしれません。

そこで、ここではテクニカル分析の基本として移動平均線について焦点を当てて解説したいと思います。

移動平均線は世界の投資家が利用している重要なテクニカル指標であり、基本中の基本となるテクニカル指標の一つですが、その種類による違いというものって何があるのかという点に深く理解していない方もいるかもしれません。以下で詳しく説明していくので参考にしてみてください。

①移動平均線の種類と違い

移動平均線の種類は大きく3種類に分かれています。

  1. 単純移動平均線
  2. 加重移動平均線
  3. 指数平滑移動平均線

それぞれの移動平均線の種類について解説します。

1. 単純移動平均線

単純移動平均線は「SMA(simple moving average)」と表記され、設定したローソク足の一定期間を対象として算術平均して求めた数字を1つのラインで表示しています。

基本的な使い方としては方向感を掴むためのものや、トレンドがいつのタイミングで発生するのかという点を理解するために利用するものです。広く投資家に愛用されており、この単純移動平均線は使う機会が多くなるでしょう。

2. 加重移動平均線

加重移動平均線は「WMA(Weighted Moving Average)」と表記され、直近の値動きに対して計算の際に比重を高めて数値を計算し、計算された数値を1つのラインで結んでいるものです。

単純移動平均線と比較すると直近の値動きに比重を置いているため、値動きに敏感に加重移動平均線が反応します。そのためトレンドが出始めた時は早めに反応できるというメリットがある一方で、騙しも多くなりやすいことが特徴です。

加重移動平均線の計算式は下記のようになっています。

  • 加重移動平均(n)=n×価格(0)+(n-1)×価格(1)・・・+価格(n-1)/1+2+・・・+n
    ※ n:対象期間 価格(0):直近日の終値

計算式をご覧いただくと分かる通り直近の値動きに比重が置かれて計算されていることが分かるでしょう。3つの種類では一番利用者は少ない移動平均線です。

3. 指数平滑移動平均線

指数平滑移動平均線は「EMA(Exponential Moving Average)」を表記され、加重平均線と同様に、直近の値動きに比重を置いて計算しています。

指数平滑移動平均線は、単純移動平均線と比較しても直近の値動きに移動平均線が反応します。指数平滑移動平均線は累積加重平均線であるため敏感に反応するようになっています。

指数加重移動平均線の計算式は下記のようになっています。

  • 初日の計算 単純移動平均の値を採用
  • 2日目以降の計算 EMA(n)=EMA(n-1)+α×{レート(0)-EMA(n-1)}

指数平滑移動平均線は筆者はとても愛用しており、正確にチャートが止まる位置がわかりやすいと思っているため、とても便利な移動平均線です。

それぞれの移動平均線の比較・違い

それぞれの移動平均線について違いをチェックしましょう。


上記はGMOコインのビットコインの日足チャートです。移動平均線は赤色が加重移動平均線、緑色が指数平滑移動平均線、黄色が単純移動平均線です。

3つを比較すると加重移動平均線が一番敏感に反応していることが分かるでしょう。

②移動平均線の使い方

次に基本的な移動平均線の使い方と、筆者が利用している移動平均線の使い方をご紹介します。

ゴールデンクロスとデットクロス

移動平均線で一番一般的な使い方で大切な見方が「ゴールデンクロスとデットクロス」です。これはトレンド転換の時がいつなのかを把握するために利用します。


上記はGMOコインのイーサリアム円の日足チャートで、緑の○印がゴールデンクロスのポイントです。移動平均線は単純移動平均線2本利用しており、日数は25日と50日の2本を表示させています。この設定した日数は例として利用するだけのものであり、筆者が利用しているものではないためご理解ください。

25日単純移動平均線(短期の移動平均線)が50日単純移動平均線(中期の移動平均線)を上抜けしてくることを「ゴールデンクロス」と呼んでおり、上昇トレンドがスタートしたと考えることができます。一方、短期の移動平均線が中期の移動平均線を下抜けしてくることを「デットクロス」と呼んでおり、下落トレンドが発生したと考えるようになります。

注意点としてはゴールデンクロスやデットクロスが発生したからといって必ず上昇トレンドや下落トレンドが継続するわけではありませんので注意してください。

では次に筆者が利用している移動平均線を紹介します。筆者が利用しているのは62日指数平滑移動平均線と200日指数平滑移動平均線です。


上記が紹介した指数平滑移動平均線の2本です。

赤色が62日指数平滑移動平均線ですが、このラインでしっかりと止まっていることが分かるでしょう。このように止まる位置がはっきりと分かるため筆者は好んで利用しています。

そしてもう一つ工夫する点は「移動平均線を再度上抜け(下抜け)するタイミングでエントリー」という点です。

62日指数平滑移動平均線の水準まで戻ってきたタイミングでエントリーしてもいいですが、一旦62日を割れてしまうも、その後再度上抜けてきたタイミングでエントリーするというファクターをエントリー条件として入れることでより負けにくいトレードが可能となります。

是非2つのエントリーのタイミングを使い分けていただくといいでしょう。

③移動平均線は方向性の理解のために利用しよう

移動平均線の種類やその意味、そしてどのように利用するのかという使い方について説明しました。上記で筆者が利用している移動平均線の使い方が正解というわけではなく、人それぞれ使い方は異なります。移動平均線と併用して様々なテクニカル指標を利用することが良いので、いろいろな組み合わせを考えながら利用していただくといいでしょう。

移動平均線はテクニカル分析でも基本中の基本ですが、とても有効なテクニカル指標であり、使い方も人それぞれ異なったりもしますので、是非自分で基本的な使い方を身につけて、その後自身のトレードに応用してもらいトレードのスタイルを作っていただければと思います。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12