メルカリの仮想通貨・ブロックチェーン子会社「メルコイン」の特徴とビジョン

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今回は、メルコインの特徴について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. メルコインとは
    1-1.メルコインの概要
    1-2.メルコインの事業内容と経営陣
  2. メルコインの特徴
    2-1.メルカリグループの各サービスでの活用
    2-2.本格的なサービス提供への準備
  3. メルコインの目指す未来
    3-1.「メルカリ」における活用
    3-2.「メルペイ」における活用
    3-3.NFTに関連するサービスの展開
  4. まとめ

21年4月、日本最大手のフリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリ社の100%子会社として、仮想通貨およびブロックチェーン事業を行う「メルコイン」という新会社が設立されました。

メルコインは22年6月17日に金融庁による暗号資産交換業者としての登録を完了しています。今回は、株式会社メルコインについて、その事業内容や特徴、そして目指す未来を解説していきます。

①メルコインとは

1-1.メルコインの概要

株式会社メルコインとは、仮想通貨およびブロックチェーンに関するサービスの企画や開発を行う国内企業で21年4月に設立されました。日本最大手のフリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリの子会社です。

メルコインのCEOである青柳直樹氏は、メルカリと連動したスマホ決済サービス「メルペイ」を運営する株式会社メルペイにて代表取締役を務めました。

メルペイのウォレットと連動した資産運用に対するニーズが高まったことで、メルコイン設立に至ったとのことです。メルコインはミッションとして「多様な価値がめぐる新しい経済をつくる」ことを掲げています。

1-2.メルコインの事業内容と経営陣

株式会社メルコインでは、「モノや信用に加えて、あらゆる価値が交換できるマーケットプレイスへ」というコンセプトのもと、仮想通貨やブロックチェーン関連のサービスの企画および開発を行っています。メルカリやメルペイにおいて仮想通貨の利用を可能にするシステムの構築や、NFT(非代替性トークン)などが想定されています。

また、経営陣も精鋭揃いとなっており、グリー株式会社において取締役CFO、米国法人CEO、事業本部長を歴任した後、メルペイの代表取締役を経て、現在メルカリ上級執行役員 SVP Japanを兼任している青柳直樹氏が代表取締役CEOを務めています。このほかにも、シリコンバレーの「FluxFlex社」にてWebPayを立ち上げた後、「LINEグループ」に参画してLINE Pay事業を経験した曾川景介氏が取締役CISOを務めるなど、業界に深く精通したメンバーによって経営が行われています。

②メルコインの特徴

2-1.メルカリグループの各サービスでの活用

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出典:メルカリ

現在開発が行われている仮想通貨やブロックチェーンに関するシステムは、主にメルカリグループが展開している各サービスでの活用が予定されています。

ご存知の通り、メルカリはフリマアプリとして国内最大手の地位を確立しています。メルコインにより、メルカリを利用している膨大な数のユーザーに仮想通貨が利用可能になります。そのユーザー数は、21年9月に単月での月間利用者数が2,000万人を突破したことが報告されており、一般的な仮想通貨取引所のユーザー数と比べても圧倒的な数字となっています。

18年に実施された調査によると、メルカリユーザーの年齢層は10から20代が最も多く46%、そのほか30代から50代まで幅広く分布しているため、メルカリにおいて仮想通貨の利用がスタートした場合、これまでクリプト業界に接点のなかった層を取り込むことも可能となるでしょう。

このように、メルコインが実際に機能した場合、仮想通貨が現在よりもはるかに身近な存在として、普段の日常生活で広く使用されるようになることが予想されるため、仮想通貨の大衆化が実現されるのではと期待されています。

2-2.本格的なサービス提供への準備

メルコインは21年7月1日に「一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」への入会を果たしたほか、21年8月にはブロックチェーン分析技術の開発企業である「Basset」の全株式の取得を完了しました。

21年9月13日には「一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)」への第二種会員としての入会を果たしています。また、22年6月17日には金融庁で「暗号資産交換業者」としての登録を完了しています。今後の本格的なサービス展開に向けて、着々とその準備を進めています。

③メルコインの目指す未来

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出典:メルカリ

メルコインでは、仮想通貨やブロックチェーンの分野に関する新たなチャレンジをすることで、メルカリグループの新たな柱となりうるプロジェクトの企画および開発を行っていくとしています。

それでは、現段階でメルコインで開発が進められているいくつかのプロジェクトについて、その詳細を紹介していきます。

3-1.「メルカリ」における活用

前述の通り、22年6月17日、金融庁による「暗号資産交換業者」としての登録を完了しており、これを受けて、23年度中を目処として「メルカリ」に対する仮想通貨システムの導入を計画していることを明らかにしています。

メルカリは簡単な登録を行うだけで、誰もが不要となったものをフリマ形式で販売することができるというサービスですが、メルコインはこのメルカリにおける売上金やポイントを仮想通貨である「ビットコイン(BTC)」で受け取ることができるシステムの開発を行っています。

今後、現在のメルカリにこの機能が実装された場合、ユーザーはより気軽にビットコインに触れることが可能となり、仮想通貨取引に対する参入障壁を大幅に下げることができるのではと期待されています。

3-2.「メルペイ」における活用

メルコインは、フリマサービス「メルカリ」以外にも、決済サービスである「メルペイ」における活用も計画されています。

メルペイとは、メルカリで獲得した売上金を用いて購入したポイントや、売上金から自動でチャージされたメルペイの残高を、メルペイ加盟店における支払いに利用可能なサービスのことです。売上金を保有していないユーザーは、銀行口座などから直接メルペイ残高をチャージすることも可能で、現在多くのユーザーに愛用されている人気の決済サービスとなっています。今後は「メルペイ」での決済や送金、与信機能「メルペイスマート払い」との提携などを行うほか、仮想通貨の購入や資産運用システムなどを単一のウォレットで可能にするシステムの提供を予定しているということです。

また、メルペイにおける残高を使用して仮想通貨「ビットコイン(BTC)」の取引が可能なサービスも開発中だということで、早くも大きな注目を集めています。

3-3.NFTに関連するサービスの展開

メルコインでは今後、NFT技術を活用することによって、アートやエンターテイメント、ゲームやスポーツといった分野で新たなコンテンツを生み出し、クリエイター個人による価値の流通促進を行っていくということです。

④まとめ

メルカリグループは巨大なエコシステムを有しており、メルコインが参入することによって仮想通貨が今よりもはるかに日常的な存在になることが期待されています。

メルコインはサービスの提供開始に向けて着々と準備を進めており、今後随時新情報が明らかになっていくとみられているため、この波に乗り遅れないためにもまずは国内取引所で口座を開設し、メルコインのサービスを享受する準備をすることをおすすめします。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12