クボタのESG・サステナビリティの取り組みは?株価や配当推移も

産業機械メーカーで知られる株式会社クボタは、食料・水・環境という生活に欠かせない事業をグローバルに展開しており、世界各国の食料生産、水インフラ、産業発展を支えています。特にクボタの「スマート農業」は、農作業の自動化による安定的な食料生産により、国際的な問題である飢餓や農業の生産性向上に大きく貢献しています。

この記事では、クボタのESG・サステナビリティの取り組み内容を詳しく紹介します。なお、株価動向や配当情報なども解説しているので、ESG投資に興味のある方は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2023年1月16日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. クボタの特徴
  2. クボタのESG・サステナビリティの取り組み
    2-1.食料分野での取り組み
    2-2.水環境分野での取り組み
    2-3.環境分野での取り組み
    2-4.環境保全への取り組み
    2-5.持続可能な社会の発展に向けた取り組み
    2-6.活気に満ちた職場づくりに向けた取り組み
    2-7.ガバナンスへの取り組み
  3. クボタのESG・サステナビリティに関する外部評価
  4. クボタの業績・株価動向
  5. クボタの配当推移
  6. まとめ

1 クボタの特徴

クボタは、100年以上の歴史を持つ老舗の産業機械メーカーです。トラクタなどの農業機械をはじめ、建設機械や鉄管、産業用ディーゼルエンジンなどの製造・販売を行っています。国内においては、農業の機械化を推進し、農機メーカーとして国内首位となっているほか、国内初の水道管の量産化を行った企業としても有名です。

クボタの中心事業は、大きく分けて「機械事業」「水・環境事業」の2つです。機械事業では、トラクタなどの農業機械をはじめ、小型建設機などの建設機械や産業用エンジンの製造・販売を行っています。中でも、クボタのトラクタは、稲作が主体のアジアでトップシェアであり、農業の機械化・自動化に貢献しています。

水・環境事業では、社会インフラを支えるダクタイル鉄管等の水道管をはじめ、空調機、民需向けバルブなどを提供しています。中でも、クボタのダクタイル鉄管は、耐久性や性能が評価され、70カ国以上が納入するなどの実績があります。

2 クボタのESG・サステナビリティの取り組み

クボタは、食料・水・環境の分野を中心とした「事業そのものを通じたサステナビリティ」と環境・社会課題解決に向けた「事業の土台を担うサステナビリティ」で、多角的な活動を推進しています。

それでは、クボタのESG・サステナビリティの具体的な取り組みについて見ていきましょう。

2-1 食料分野での取り組み

人口増加に伴う食料不足や農業の高齢化・農業就業人口の低下などの食料課題に対して、クボタでは、食料の安定生産と農作業の効率化に向けた取り組みを実施しており、具体的には「スマート農業」が挙げられます。スマート農業は、ICT(情報通信技術)やロボット技術などの先端技術を活用した農業で、農業の効率化・精密化に貢献しています。

クボタのスマート農業では、GPS自動走行システムによる農業機械の自動走行が可能になるので、農作業の効率化、農業従事者の軽労化に貢献しています。クボタのGPS搭載農機は、トラクタ・田植機・コンバインの全3機種が製品化されています。

また、営農支援システム「KSAS」では、農地管理・肥培管理・作業計画・作業記録・作業進捗状況などがクラウドで一括管理できるほか、KSAS対応農機と連動することで、品質・収量の向上や農機の稼働等の管理が可能になります。

2-2 水環境分野での取り組み

世界では、3人に1人が安全な飲み水にアクセスできないと言われており、特に途上国では水を供給するインフラが整っておらず、不衛生な水で病気にかかるケースもあります。また、自然災害等で発生する洪水や水道の老朽化による漏水・被災リスクも水の重要課題とされています。

このような課題に対して、クボタでは、長年の水インフラ事業で培った技術を活用し、安心・安全な水を世界中に提供しています。具体的な取り組みとして、水インフラの整備が遅れている途上国や自然災害が多い国に対し、耐震型の水道管である「クボタダクタイル鉄管」の布設を行っています。排水問題に対しては、クボタの排水処理技術の提供により、地球環境や生活環境の改善に貢献しています。

また、クボタが独自開発した水環境プラント・機器向けIoTソリューションである「KSIS」は、水環境インフラ施設・設備の遠隔監視や不具合の事前予測を可能にしており、運用の効率化をサポートしています。

2-3 環境分野での取り組み

国連によると、急速な人口増加により、2050年までに世界人口が97億人に達すると予測されています。人口増加に伴って都市化が進み、社会・産業基盤整備の需要が高まっています。

クボタでは、これらのインフラ需要に対し、建設機械や環境保全に配慮した産業エンジン等の提供により、持続可能な都市や産業構造の構築を支えるとともに、快適な生活環境の創造と保全にも取り組んでいます。

クボタの小型建設機械では、コンパクトサイズのボディにより、都市部での建設工事や歴史ある古い町並みが多い一部の都市などで、文化的建造物に配慮しながら工事を行うことが可能になり、その機動性や扱いやすさによりトップシェアとなっています。

産業の動力源として欠かせないクボタの産業用エンジンは、高効率化・省エネルギー・省力化が強みであり、世界の産業基盤を支えています。また、自然豊かな緑を維持するための芝刈り機や快適な空間を整える空調機は、快適な生活環境の創造と保全に貢献しています。

2-4 環境保全への取り組み

クボタは、持続可能な社会に向けて、気候変動対策や環境汚染防止など、様々な環境保全活動を実施しています。気候変動対策の取り組みでは、農機の自動化によるCO2排出削減や、省エネ・節電などによるエネルギー使用の効率化、再生可能エネルギーの使用拡大などに取り組んでいます。

環境汚染防止に対しては、ペーパーレス化やプラスチックごみの削減、梱包材の省資源化により、資源のムダやロスを削減するとともに、再利用可能な樹脂パレットの導入など廃棄物の再利用・再資源化を実施しています。

水使用に関しては、自社技術を活用した排水再生システム導入による水の循環利用、節水、法令基準より厳しい自主管理値による排水管理などを通じ、水環境の負荷低減に努めています。

化学物質の管理においては、生産過程において必要な化学物質を削減することはもとより、化学物質を含む塗料の使用効率向上、環境影響の大きい揮発性有機化合物を含まない塗料への代替などに取り組んでいます。

また、環境配慮の製品ライフサイクルでは、設計・開発の段階で環境配慮に向けた調査を実施しているほか、環境配慮性の高い社内認定製品である「エコプロダクツ」製品の拡充に努めています。

2-5 持続可能な社会の発展に向けた取り組み

クボタは、持続可能な社会の発展に向けた取り組みとして、社会貢献活動や高品質な製品を提供する品質保証体制の構築に努めています。

クボタでは、食料・水・環境分野を中心とした社会貢献活動「クボタeプロジェクト」を発足しており、地産地消を通じた農家への支援や農業・水環境技術の教育をはじめ、被災地域への義援金やクボタ製品の寄与等を通じた被災支援、フードドライブを通じた食料支援、安全な水供給のための井戸建設などの取り組みを世界中で行っています。

クボタの品質保証体制では、Quick DR(設計・開発において起こりうる問題を予想して事前に対処する未然防止手法)の教育を実施し、導入しています。また、品質に関する社内監査の制度化により、強固な品質保証体制を構築しています。

2-6 活気に満ちた職場づくりに向けた取り組み

活気に満ちた職場づくりは、持続可能な事業成長には欠かせない重要課題となります。クボタでは、活気に満ちた職場づくりに向けた取り組みとして、ダイバーシティの推進、人材育成、健康経営など、従業員の多様性・飛躍推進・健康維持に努めています。

ダイバーシティ推進の取り組みの一つとして、仕事と生活の両立支援制度があります。具体的には、育児(男性含む)・看護休暇のほか、クボタ独自の看護・介護・学業サポートの事由で取得が可能な「ファミリーサポート休暇」を利用することができます。

また、グローバル人材の活躍推進のため、外国籍社員への語学支援や、障がい者の雇用促進にも積極的に取り組んでいます。

人材育成の取り組みでは、役割と職務が異なる「エキスパート職(管理職クラス)」「スタッフ職(事技一般クラス)」「テクニカル職(技能職クラス)」のコースごとに教育研修が設けられています。また、従業員の能力・意欲に基づいて、コースを変更することが可能となっており、従業員の働きがいを創出しています。

健康経営の取り組みでは、健康診断の実施や健康指導の拡充、健康相談体制の構築のほか、年休取得の促進、過重労働の防止など、従業員が取り組みやすい健康づくりをサポートしています。

2-7 ガバナンスへの取り組み

コーポレート・ガバナンスとは、企業経営を管理・監督する仕組みのことで、不正防止や適切な企業判断、経営の効率化を目的としています。クボタのガバナンス体制は以下の通りとなっています。

取締役会 戦略的な意思決定と執行役員による業務執行の監督
監査役会 取締役の業務執行の監督・監査
執行役員会 執行役員の業務執行状況の確認、迅速かつ適切な経営の判断の実施
KESG経営戦略会議 中長期的な企業価値の創出に向けた方針の策定や主要施策検討・評価行う
経営会議・審議会 特定の重要課題について意思決定や審議を行う
指名諮問委員会・報酬諮問委員会 取締役候補者の選任、取締役の報酬等に関する審議を行う

クボタのガバナンス強化では、法令違反等の早期発見・未然防止を目的とした内部通達制度「クボタホットライン」の運用や個人情報保護・精密情報流出の防止、ステークホルダーとのコミュニケーション活発化など、内部統制のほか、社外との協力強化も図っています。

2-8 クボタのESG・サステナビリティに関する外部評価

クボタのESG・サステナビリティの取り組みは、外部から高い評価を受けています。構成銘柄として選定されているESG指数と受賞実績などを一部紹介していきます。

ESG指数/受賞実績 概要
FTSE4Good Index 英FTSE Russell社のESG評価に基づいて、優れた企業を選定するESG指数
FTSE Blossom Japan Index 英FTSE Russell社のESGについて優れた対応を行っている日本企業を選定するESG指数
MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数 米MSCI社のESG格付けが相対的に高い企業を選定するESG指数
Dow Jones Sustainability Index 米S&P Dow Jones Indices社のESGの取り組みや持続可能な成長が期待できる企業を選定するESG指数
S&P/JPY カーボン・エフィシエント指数 米S&P Dow Jones Indices社の環境情報の開示、炭素効率性の水準より構成銘柄の投資ウェイトを決定するESG指数
MSCI ESG格付け 最上位ランク「AAA」獲得 米MSCI社のESG総合評価・格付
CDPウォーターセキュリティ2021 最高評価の「A」リスト企業に選定 英NGOのCDPが主宰する企業の水リスクに関する国際的な情報公開プログラム
次世代認定メーク「くるみん」を取得 厚生労働省が主宰する「子育てサポート企業」を認定する制度

3 クボタの業績・株価動向

クボタ(6326)は、農業・建設機械メーカーなので、需要が景気に大きく左右される傾向があり、景気敏感株に該当します。また、海外売上比率が高いことから、海外の経済状況などにも注意を払う必要があります。

2020年(12月期)は、農機や芝刈り機などの機械事業が好調でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、フランスの工場や販売店が業務停止したことなどから、純利益は前期比-13.8%の減収減益となりました。それでも底堅い業績推移を好感し、株価は年中盤から盛り返し、1年を通じて30.4%の大幅上昇となっています。

2021年(12月期)は、米国、タイ、インドで農業機械の販売が好調だったほか、オーストラリアでは、建設需要増により、建設機械の販売が順調に伸びたことで、純利益は前期比37%増の1,756億円となりました。株価は1年を通じて13.4%の上昇となっています。

2022年(12月期)は、部品不足により、米国でトラクタに装着する農機具の出荷が遅れ、販売が低迷したほか、タイで洪水被害による販売減、原材料高が響き、純利益は前期比-1.5%の1,730億円となり、株価は1年を通じて-28.8%の大幅下落となっています。

2023年度は、米国をはじめとする先進国の景気減速懸念がある中、堅調に業績を伸ばせるかが課題です。2023年1月16日時点の株価は1,860円台で推移しています。

4 クボタの配当推移

クボタは、配当の維持及び向上を利益配分に関する基本方針としており、総還元性向40%以上を目標とし、将来的には50%を目指すとしています。

クボタの過去5年の配当推移は以下の通りです。

年度 配当額(円) 総還元性向(%)
2017年12月期 32 39.3
2018年12月期 34 32.3
2019年12月期 36 42.7
2020年12月期 36 49.4
2021年12月期 42 40.3

2021年12月期は、好調な業績を背景に増配を決定しています。2022年12月期では、2円増配の44円となる見込みです。

まとめ

クボタは、食料の安定生産に欠かせない農業機械を提供することで、世界中の食料課題に貢献しているほか、都市化を支える建設機械、生きていく上で必要な水インフラなど、人々の生活に直結する分野で、幅広く事業を展開しています。

また、先端技術を駆使したスマート農業は、農機の付加価値増加により、長期的な成長が見込める分野といえます。一方、目先は海外の景気減速の影響が需要を押し下げる可能性もあるため、投資を行う際には、リスクを十分に把握した上で、慎重に検討することが大切です。

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