ドラッグストアで買えるサステナブルな製品は？洗剤メーカー大手3社のESGの取り組みや業績、投資できるファンドも

グローバルなSDGs重視の流れが加速しており、企業や個人は環境や社会に関する課題解決への貢献が求められています。

SDGsは気になっているものの、ハードルを高く感じる方もいるでしょう。実はドラックストアで手軽に購入できる洗剤や化粧品の中には、利用するだけで節水やリサイクルに貢献でき、SDGsアクションに繋がる製品があります。

生活者にとってなじみのある洗剤メーカーや化粧品メーカーは、数多くの取り組みを行っています。今回は花王・ライオン・P&Gの3社の取り組みを紹介します。

※本記事は2023年6月25日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

1. 花王のESGに関する取り組みや業績
   1-1．花王について
   1-2．ユニバーサルデザイン
   1-3．容器包装における環境配慮
2. ライオンのESGに関する取り組みや業績
   2-1．ライオンについて
   2-2．節水に役立つ商品
   2-3．歯ブラシリサイクルプログラム
3. P&GのESGに関する取り組みや業績
   3-1．P&Gについて
   3-2．「SK-Ⅱ」ボトルリサイクルプログラム
   3-3．「ジレット」カミソリのプラスチック削減
4. 洗剤メーカーに投資する方法
   4-1．個別株への投資
   4-2．投資信託への投資
5. まとめ

1．花王のESGに関する取り組みや業績

1-1．花王について

日本を代表する日用雑貨品・家庭用品のメーカーといえば、花王がその1つです。洗濯用洗剤のアタックや洗顔料のビオレなど、ドラッグストア・スーパーでよく見かける商品を多数取り扱っています。

花王の代表的なブランドは下記のとおりです。

花王が取り扱う商品は非常に多く、カテゴリーも多岐に渡っています。「これも花王なの？」と驚いた方もいるかもしれません。

洗剤を中心とした家庭用品の他に、化粧品でも数多くの商品があります。カネボウ化粧品も花王グループの一員です。

1-2．ユニバーサルデザイン

SDGsでは「地球上の誰一人取り残さない」ことを基本理念の1つとして掲げています。ユニバーサルデザイン（以下UD）は、すべての人が使いやすい商品デザインにする活動のことで、この目標と深い関係があります。

花王ではUD視点に配慮したモノづくりを続けてきた歴史があります。代表的な事例を紹介すると、2009年には洗濯用の液体洗剤をサイズ・重さともに半分以下にコンパクト化しました。シニアなど体力的に不安な方の買い物の負担を減らし、収納もしやすくなりました。

2016年にはスプレー型の食器用洗剤を発売しました。スポンジでは洗いにくい箇所をスプレーの泡の力で落とす新しいタイプの製品です。ケガや病気などで指が不自由な方でも使えるとの評価を得ています。

2019年に販売した泡スタンプハンドソープは、片手でも適量を出せるため、小さな子供でも使いやすい商品です。泡の形が花で、家族で楽しみながら手洗いができます。

1-3．容器包装における環境配慮

花王では環境負荷の低減のため、容器包装の開発についてリデュース（減らす）を基本とし、リプレイス（置き換え）・リユース（再利用）・リサイクル（再資源化）を加えて、「4R」の観点で取り組んでいます。

たとえば洗濯用洗剤の「アタック ZERO」は、コンパクト化によって原材料資源を大幅に削減しました。従来の「アタック3X」と比べて、樹脂量を本品ボトルで約39%、詰め替え用パックで56%の削減を実現しました。

ヘアカラーの「ブローネ泡カラー」では、本体容器の泡を作る部分を工夫することで、約34%の樹脂量、CO2排出量の約35%を削減しました。

また植物由来の原料の使用も拡大しており、「メリットシャンプー/リンス」ではボトル重量の約30%について、植物由来ポリエチレンに転換しました。

参照：花王「容器包装における環境配慮」

2．ライオンのESGに関する取り組みや業績

2-1．ライオンについて

花王と並び、日本を代表する家庭用品メーカーの1社です。1891年創業で、石けんと歯みがきから事業をスタートしました。

ライオンは以下のブランドを展開しています。

ライオンは歯みがき・歯ブラシなど、オーラルケア製品のブランドが多いのが特徴です。その他に頭痛薬の「バファリン」なども有名です。

2-2．節水に役立つ商品

ライオンでは節水に役立つ商品を多数販売しています。国内の商品で例を挙げると下記のとおりです。

2-3．歯ブラシリサイクルプログラム

歯ブラシの主原料はプラスチックであり、ほとんどはゴミとして処理されているのが現状です。そこで歯ブラシのトップメーカーであるライオンは、使用済み歯ブラシの回収とリサイクルを行っています。

使用済み歯ブラシを回収し、植木鉢などのプラスチック製品に再生します。毛先の開いた歯ブラシを交換することで、人にとっても口の健康維持や健康寿命の延伸にも繋がります。

3．P&GのESGに関する取り組みや業績

3-1．P&Gについて

P&Gは米国を代表する家庭用品メーカーで、日本を含めあらゆる地域で展開しています。洗濯用洗剤ブランドの「アリエール」では、ジェルボールの商品を発売したことでも注目を集めました。

P&Gの代表的なブランドは下記のとおりです。

花王やライオンに劣らず、有名なブランドをいくつも展開しています。「ブラウン」や「ジレット」など、シェービング用品で強いブランドがあるのも特徴です。

また、スキンケア化粧品のSK-ⅡがP&Gであることを初めて知った方もいるでしょう。

3-2．「SK-Ⅱ」ボトルリサイクルプログラム

SK-Ⅱで使用しているガラスのボトルについて、リサイクルを推進するプログラム「CHANGE DESTINY for EARTH」を全国展開しています。

P&Gによると、化粧品業界では世界で毎年1,200億個以上の容器が生産されているものの、ほとんどリサイクルされていません。スキンケア業界のリーダーとして、地球に与える影響に責任があることからリサイクルを推進しています。

SK-Ⅱの容器の大半はリサイクルガラスであり、気候変動対策に貢献します。ガラスを1kgリサイクルすれば、2つの電球を1日中灯すことが可能です。

参照：P&G「ガラスボトルのリサイクルプログラム“CHANGE DESTINY for EARTH”を全国へ展開」

3-3．「ジレット」パッケージのプラスチック削減

男性用シェービングのジレットでは、替え刃交換式カミソリについて、2021年に商品機能とパッケージを一新。新パッケージでは、プラスチックを99%削減しました。

製品本体だけでなく、パッケージや包装に関しても、リサイクル素材の使用の動きは世界的に加速しています。P&Gの調査によると、世界の18～50歳までの男性の63%が、持続可能性が非常に重要で気にかけていると回答しました。

参照：P&G「ニュースリリース」

4．洗剤メーカーに投資する方法

今回取り上げた洗剤メーカー3社はいずれも株式を上場しており、個別株や投資信託で投資することができます。

4-1．個別株への投資

花王とライオンはともに東証プライム市場に上場しており、証券会社を通じて株式を売買できます。しかし通常は100株単位の売買となるため、資金が足りない方もいるかもしれません。

資金が少ない方におすすめなのは「単元未満株（ミニ株）」という仕組みで、1株から売買ができます。数千円程度でも株式を購入できるので、投資への最初の一歩におすすめです。

各証券会社は、さまざまな名称で単元未満株サービスを提供しています。

P&Gは米国株であり、日本国内のような100株単位の指定はありません。1株からでも購入・売却ができます。米国株が購入できる証券会社として、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などが挙げられます。

4-2．投資信託への投資

1つの銘柄だけでなく、多数の銘柄に同時に投資したいなら、投資信託を購入するという方法もあります。リスクを分散することができ、つみたてNISAやiDeCoといった非課税制度も活用できます。

投資信託で花王やライオンを組み込んでいる銘柄は非常に多数あります。日本国内のみ、全世界対象、株式のみ、債券も含むなど、投資方針もさまざまです。自分に合う銘柄を探してみてください。

一方でP&Gは、米国の代表的な株価指数である「S&P500」に含まれています。よってS&P500に連動する以下のような投資信託を購入するのが簡単でしょう。

5．まとめ

日本でよく知られた洗剤メーカーである、花王・ライオン・P&GのESGの取り組みを紹介してきました。各社ともサステナビリティを重視しており、節水や素材リサイクルなど、積極的な施策を実行しています。

今回は環境関連の施策を中心に取り上げましたが、ダイバーシティなど社会関連でも数多くの取り組みが見られます。興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。

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安藤 真一郎

マーケティング会社に勤務した後、ライター・コラムニストに転身。 さまざまなジャンルの執筆を行う途中でマネーリテラシーの重要性に気づき、現在はマネー・金融分野を中心に執筆活動を行う。投資、資産形成、年金、税制度、ローン、節約、キャッシュレス決済など多数の執筆実績あり。投資に関しては中長期での利益獲得を目指し、米国株式や先進国株式を中心とする投資スタイル。ファイナンシャルプランナー資格保有。

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