コスメメーカー大手3社のESG・サステナビリティの取り組みは?展開中のコスメブランドや化粧品メーカーに投資する方法も

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グローバルなSDGs重視の流れが加速しており、企業も環境や社会に関する課題解決への貢献が求められています。

ドラックストアで手軽に購入できるコスメのメーカーは、ESGや女性活躍の推進を積極的に行っています。今回は資生堂、コーセー、ポーラ・オルビスHDの3社のESGの取り組みを紹介します。

※2023年6月27日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 資生堂
    1-1.資生堂について
    1-2.女性活躍の推進
    1-3.サステナブルな製品の開発
  2. コーセー
    2-1.コーセーについて
    2-2.多様な個性への対応
    2-3.雪肌精のCO2排出量の削減
  3. ポーラ・オルビスHD
    3-1.ポーラ・オルビスHDについて
    3-2.経営のダイバーシティ
    3-3.働き方の多様化実現
  4. 化粧品メーカーに投資する方法
  5. まとめ

1.資生堂

1-1.資生堂について

資生堂は日本を代表する化粧品メーカーであり、創業は1872年で長年の歴史のある老舗企業です。連結の売上高は1兆674億円(2022年度)、従業員数は33,414人(2022年12月31日時点)の規模です。

資生堂が展開している化粧品ブランドのうち、ドラッグストアでもおなじみのものは下記のとおりです。

  • マキアージュ
  • インテグレート
  • エリクシール
  • dプログラム
  • アクアレーベル
  • ベネフィーク
  • HAKU
  • マジョリカマジョルカ
  • グレイシー
  • プリオール
  • アネッサ

資生堂はこの他に高級ブランドも数多く展開しています。その中でも「クレ・ド・ポー ボーテ」は最高級ブランドです。

1-2.女性活躍の推進

資生堂ではイノベーションを生み出す組織風土づくりのため、ダイバーシティ&インクルージョンを経営戦略における重要な柱としています。その中でも積極的に取り組んでいるのが、女性活躍の支援です。

資生堂はもともと女性社員の比率が多く、80%以上を占めています。女性管理職はグローバルで58.3%、取締役・監査役の女性比率は46.2%、国内の女性管理職比率は37.3%と、いずれも国内企業としてはかなり高い水準となっています。さらに2030年までに、女性管理職比率を50%に上げる目標も立てています。

女性が活躍できる環境を実現した背景として、同社が実施してきたさまざまな施策があります。育児休業制度や育児による短時間勤務制度を、世間よりいち早く導入し、女性のライフイベントと仕事を両立できる体制を構築しています。2017年には女性リーダー育成塾を立ち上げて育成強化を進めた結果、女性管理職比率が37.3%に向上しました。

2022年5月には、女性活躍推進の取り組みが評価され、「企業の女性活用度調査」において「女性が活躍する会社BEST100」の総合ランキング1位に選ばれました。

参照:資生堂「資生堂の女性活躍・ダイバーシティ&インクルージョンの促進

1-3.サステナブルな製品の開発

資生堂は環境負荷の削減のため、サステナブルな製品の開発を推進しています。容器包装は2025年までに100%サステナブルな容器の使用にすることを目標にしています。処方や成分についても、安全性と環境への影響を配慮したサステナブルな原料を使用する方針です。

また原料調達に関しても、環境保全・生物多様性・人権評価に配慮した調達を、サプライヤーとともに実行します。2026年までに100%サステナブルなパーム油の調達、2023年までに100%サステナブルな紙の使用を目標としています。

2.コーセー

2-1.コーセーについて

コーセーは、国内の大手化粧品メーカーです。創業は1946年と70年以上の歴史のある会社です。従業員数は13,179名(2022年12月期末、食卓・パートを含む)、売上は約2,891億円(2022年12月期)となっています。

コーセーが販売している代表的なブランドは下記のとおりです。

  • ヴィセ
  • ファシオ
  • ネイルホリック
  • メイクキープミスト
  • スティーブンノル ニューヨーク
  • ソフティモ
  • サンカット
  • 雪肌精
  • ワンバイコーセー
  • ルシェリ
  • エスプリーク

近年ではスキンケアブランド「雪肌精」の広告に、メジャーリーガーの大谷翔平選手を起用したことでも注目を集めました。なお、ソフティモやサンカットなどのブランドは、子会社の「コーセーコスメポート」で展開しています。

2-2.多様な個性への対応

コーセーがサステナビリティで重視している項目の1つが、ダイバーシティ&インクルージョンです。多様な個性が会社で活躍できるよう、さまざまな取り組みを実施しています。

ジェンダーにとらわれずに活躍できるよう、女性活躍を含め、自分らしさを発揮できる環境を整備しています。介護・子育て・不妊治療・傷病など、どのようなライフイベントが発生した場合でも働く意欲を持ち続けられるようサポートする制度があります。子育てについては父親側の育児参加も重要と考え、男性育児休業制度も導入しています。

障がい者の方について、本人の意欲と適性をもとに部門配置を行い、健常者とともに活躍する環境づくりを進めています。国籍に関して、日本国内でも多様な人材を採用し、国籍を問わず活躍できる体制を整えています。

2-3.雪肌精のCO2排出量の削減

コーセーでも製品による環境負荷を削減する取り組みを複数行っており、スキンケアブランド「雪肌精」もその1つです。環境省の「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」に参画し、雪肌精のCO2排出量の可視化を行いました。

その結果、詰め替えタイプはボトルと比較してCO2排出量が約28%少なく、「原材料調達」と「廃棄・リサイクル」の過程において差がある事が数字で示されました。また、段ボール素材の採用や製造・生産工程での再生可能エネルギー導入などのサステナブル対応についても、その効果が確認されました。

参照:コーセー「~環境省「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」での取り組み~ コーセー、『雪肌精』のCO2排出量を可視化 レフィルはボトルに対し約28%少ないことを確認

3.ポーラ・オルビスHD

3-1.ポーラ・オルビスHDについて

ポーラ・オルビスHDも、資生堂やコーセーに次ぐ大手の化粧品メーカーです。ポーラは1929年に創業、1984年に「オルビス」を設立し、通販事業を開始して現在に至っています。連結の売上高は1,663億円(2022年12月期)、従業員数は221人(2022年12月31日時点)です。

ポーラ・オルビスHDで展開しているブランドの例は下記のとおりです。

  • リンクルショット
  • ホワイトショット
  • BA
  • オルビスユー
  • オルビスアクア
  • アクアフォース

独自の美白成分を配合した「ホワイトショット」、エイジングスキンケアの「オルビスユー」など有名な商品を数多く手がけています。

3-2.経営のダイバーシティ

同社では性別・国籍・年齢を問わず組織に参加し、業務に取り組めるような環境を整備。またダイバーシティがもたらす経営合理性の追求とマネジメントも重要であると認識しています。

経営ダイバーシティの実績・目標として、以下の指標を公表しています。

2022年実績 2029年目標
女性役員比率 22.9% 30~50%
女性管理職比率 47.8% 50%以上

すでに女性管理職は高い比率を実現しています。今後は女性役員比率の上昇も期待されます。

参照:ポーラ・オルビスHD「経営のダイバーシティ

3-3.働き方の多様化実現

従業員一人ひとりが個性を発揮した上で、組織として新たな価値を創造することを目指しています。そのため、従業員が柔軟に働けるよう、下記のような制度を用意しています。

  • フレックスタイム制度
  • 半日単位・時間単位での有給取得制度
  • リモートワーク制度
  • リフレッシュ休暇制度
  • サテライトオフィス
  • 育児時短・育児手当
  • 介護休業・介護手当
  • 副業制度

また、ポーラ・オルビスHDでは「FA制度」も導入しています。社員が一定の条件を満たすと、他のグループや他部門への移動希望が提出可能になり、グループ内転職ができる制度です。

4.化粧品メーカーに投資する方法

化粧品メーカーへの投資方法は主に、個別株と投資信託の2種類です。

4-1.個別株への投資

今回取り上げた3社は、いずれも証券会社で株式を売買できます。数千円~数万円程度の手ごろな資金で始めたい方は、1株単位で取引できる「単元未満株(ミニ株)」がおすすめです。

単元未満株サービスを提供している証券会社の例は下記のとおりです。

証券会社 サービス
SBI証券 S株
楽天証券 かぶミニ
マネックス証券 ワン株
auカブコム証券 プチ株
大和コネクト証券 ひな株

4-2.投資信託への投資

海外も含めて複数の化粧品メーカーに投資したいなら、投資信託を選ぶのもおすすめです。たとえば三菱UFJ国際投信の「ワールド・ビューティー・オープン」は、世界のビューティービジネス関連企業の株式を主要な投資対象としています。

主な組み入れ銘柄と構成比は下記のとおりです。

銘柄 組み入れ比率
LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUI 6.8%
COTY INC-CL A 6.2%
ESTEE LAUDER COMPANIES-CL A 5.8%
L’OREAL 5.7%
COLGATE-PALMOLIVE CO 5.3%

※2023年5月31日時点

5.まとめ

大手化粧品メーカーの資生堂、コーセー、ポーラ&オルビスHDについて、サステナビリティ関連の取り組みを紹介してきました。

いずれも従業員の女性比率が高く、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みも多いのが特徴的です。女性の管理職比率や、男女の育児休暇取得率などを上げる目標も見られます。

その他にも地球環境やガバナンスなど、幅広い取り組みを行っています。興味のある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

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安藤 真一郎

マーケティング会社に勤務した後、ライター・コラムニストに転身。 さまざまなジャンルの執筆を行う途中でマネーリテラシーの重要性に気づき、現在はマネー・金融分野を中心に執筆活動を行う。投資、資産形成、年金、税制度、ローン、節約、キャッシュレス決済など多数の執筆実績あり。投資に関しては中長期での利益獲得を目指し、米国株式や先進国株式を中心とする投資スタイル。ファイナンシャルプランナー資格保有。