一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は7月7日、「機会格差」「地域活性化」「ヘルスケア」の3領域について「ビジョンペーパー」を公表した。SIIFは今年1月、この3領域で「課題構造マップ」を公開。それぞれの課題について「何がどのように複雑に絡み合っているか」の可視化を試みており、ビジョンペーパーは同マップを基に、SIIFとして目指すビジョンと変化の仮説をまとめている。
同ビジョンペーパーは「課題の構造分析」「変化の仮説(セオリーオブチェンジ)」「変化を促すためのアクション案」の3つパートで構成され、今後、ともに社会課題を解決するパートナーとの連携を視野に入れ、具体的な施策や事業の方向性を検討していくとしている。
制作のプロセスや気づきをまとめたガイダンス「ビジョンペーパーの制作過程と記録(VPログ)」も併せて公開した。SIIF以外の様々な組織においても、課題の本質的な追求と「社会変革(システムチェンジ)」が起きることを促していく狙い。
公開にあたって、SIIFは「17年の設立以来、『自助・公助・共助の枠組みを超えて、社会的・経済的資源循環のエコシステムをつくる』をミッションに、インパクト投資という『手法』の開発と普及を目指してきた」と設立6年をふり返り、「多様なプレーヤーの参画が急激に進みつつあるいま、インパクト投資のさらなる普及のためには、投資を含む取り組みは実際にどのような『社会変革=システムチェンジ』を誘発できるのかが問われることになる」と定義。SIIFとして注力する3つの社会課題テーマを決め、実践を通じたモデルの探索を開始したと説明する。
社会課題テーマの中でも「機会格差」に着目、課題の構造を可視化したうえで、課題解決のための変化の仮説 (Theory of Change)と必要なアクションの検討を行っている。今後はインパクト投資を含む具体的な事業の構想と実践、そこからの学びを通じてさらに探索を深めていく方針。
コンテンツは、SIIFの戦略/システムチェンジとは/SIIFが注力する3つの課題領域/ビジョンペーパーの制作プロセス/全体概要/各プロセスについて/課題構造分析/ToCの策定/変化を促すためのアクション/各プロジェクトの記録。付録に用語集、VP設計のためのテンプレートなど。
SIIFは「note」の公式ページで、それぞれのビジョンペーパーに関する記事を公開している。同ビジョンペーパーと併せて読むと、理解が深められる。
【関連レポート】SIIFが注力する3つの社会課題#01「地域活性化」 変化を起こそうとする「人」が新しい価値観を運び地域を元気にする
【関連レポート】SIIFが注力する3つの社会課題#02「機会格差」 格差のループを乗り越えるためにインパクト投資の世界でできることは
【関連レポート】SIIFが注力する3つの社会課題#03「ヘルスケア」 すべての人に訪れるものとして、老いと孤独、そして死を考える
【関連レポート】ビジョンペーパー制作過程と記録(VPログ)
【関連サイト】SIIF|note
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
最新記事 by HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム (全て見る)
- TBWA HAKUHODOが子会社「地球中心デザイン研究所」設立。マルチスピーシーズ視点で持続可能なデザインへ - 2024年10月5日
- 【9/19開催】サーキュラーエコノミー特化型スタートアップ創業支援プログラム「CIRCULAR STARTUP TOKYO」第二期説明会 - 2024年9月25日
- 【10/8開催】東京・赤坂からサーキュラーシティの未来像を模索するカンファレンス&ツアー「Akasaka Circular City Conference & Tourism」 - 2024年9月19日
- 【9/19開催】サーキュラーエコノミー特化型スタートアップ創業支援プログラム「CIRCULAR STARTUP TOKYO」第二期説明会 - 2024年9月10日
- PRI(責任投資原則)がインパクト志向金融宣言の賛同機関に参加 - 2024年8月5日