IOSTは、2019年2月25日にメインネットをローンチしたブロックチェーンです。Javascriptネイティブで開発が可能なdApps(分散型アプリケーション)環境やPoB(Proof of Believability)という新しいコンセンサスアルゴリズムで他のブロックチェーンとは異なる特徴を持ち、スケーラビリティとブロックチェーンの公平性に注目を当てたプロジェクトです。国内でもIOSTに関する研究・開発が行われており、再生可能エネルギー電力の取引システム実証実験、精密医療や患者ケアに関するデータ管理の研究開発などに利用されています。
そこで今回はIOSTの現状と今後の動向について解説します。
目次
- IOSTとは?
1-1.IOSTの概要
1-2.IOSTの特徴 - IOSTの価格推移
2-1.これまでの価格推移 - IOSTの今後の注目ポイント
3-1.DeFiへの参加者の推移
3-2.医療分野での採用 - まとめ
①IOSTとは?
まず、IOSTについてその概要と特徴を解説します。
1-1. IOSTの概要
IOSTは2018年1月に中国人技術者のJimmy Zhong氏を中心に、Terrence Wang氏、Justin Li氏、Ray Xiao氏、Sa Wang氏、Kevin Tan氏によって開発され、2019年2月25日にメインネットをローンチしたブロックチェーンです。
IOSTは「Internet Of Service Token」の略で、ブロックチェーンインフラの提供を目的として作られました。次世代のコンセンサスアルゴリズム”Proof of Believability(PoB)”を基盤とする分散型ブロックチェーンネットワークであるIOSTは、独自のコンセンサスアルゴリズムであるPoBを採用し、最大TPS8,000をベンチマークとする処理能力と非中央集権性を特徴にしています。
仮想通貨IOSTは国内では2020年9月にCoincheckが取り扱いを始めることによって、初上場を果たしています。
1-2. 仮想通貨としての基本スペック
IOSTの仮想通貨としての基本スペックは以下の通りです。
ティッカーシンボル | IOST |
現在の価格(22年1月20日現在) | 0.02742ドル(約3.14円) |
時価総額 | 約4.9億ドル(約568.4億円) |
時価総額ランキング | 132位 |
循環サプライ | 約180.9億 |
発行上限 | 900億 |
1-3. IOSTの特徴
次にIOSTの特徴について解説します。
①コンセンサスアルゴリズム「PoB(Proof of Believability)」を採用
IOSTでは独自のコンセンサスアルゴリズム「PoB(Proof of Believability)」を採用しています。PoBでは、ノード(ネットワークに参加するコンピュータ)が保有するIOSTの量、SERVIと呼ばれるネットワークへの貢献度など、複数の要素によりブロック生成権を割り当てます。これにより、ブロックプロデューサノードの寡占化を防ぎ、ネットワーク自体の情報処理スピード を上げることができます。
ビットコインやイーサリアムは現在PoW(Proof of Work)を採用していますが、複雑な演算を処理するのに時間がかかるため「スケーラビリティ」に制限があります。それに対して、IOSTのPoBは分散型の処理によって不正がされにくく、なおかつ処理速度を獲得でき、これまでビットコインやイーサリアムが抱えていた問題を克服することに成功していると主張されています。
②JavaScriptで開発可能
IOSTはプログラミング言語の中でも簡単と言われているJavaScriptによって開発可能となっています。そのため他のブロックチェーンと比べて参入障壁は非常に低く、比較的簡単にスマートコントラクトを開発することが可能と言えるでしょう。
②IOSTの価格推移
次に、IOSTのこれまでの価格推移及び今後の価格予想について解説します。
2-1. これまでの価格推移
ここでは、2021年のIOSTの値動きを振り返ってみましょう。
年始に0.599ドルでスタートしたIOSTは、4月半ばにかけて上昇傾向を見せ、その後一旦は下降するものの、7月後半を起点に再び上昇傾向に転じ、9月9日には8.7952ドルという2021年の最高値を記録しました。
この上昇のきっかけとなったのが、9月30日に行われたIOSTのエアドロップです。
エアドロップとは、仮想通貨の知名度アップや資金調達のために新しくつくられたトークンを無料配布するイベントのことで、IOSTでは「IOSTを保有している投資家に対して、新しくつくられたトークンを配布する」というエアドロップが定期的に行われています。
エアドロップを受けるにはIOSTを持っていなければならないため、今回のエアドロップの前にも多くの投資家がIOSTを購入し、価格の高騰につながったというわけです。
しかし、IOSTはその後、仮想通貨市場全体の下落につれ安となり、2021年年末は3.5997ドルと年初から3.0007ドル、約500%の上昇で取引を終えています。
③IOSTの今後の注目ポイント
最後に、今後、IOSTの価格が上昇する要因として考えられる事柄を紹介します。
3-1. DeFiへの参加者の推移
IOSTは2019年からDeFi(分散型金融)市場に加わっており、スマートコントラクトをはじめとした複数の技術がDeFiに適していると言われています。
中央管理者が不要で、金融サービスを効率的かつ安価な手数料で利用できるため、近年はDeFiに参加するユーザーが増えています。今後、DeFiユーザーが更に増加し、その話題性が高まれば、IOSTの価格にもプラスに作用する可能性はあると考えられます。
3-2. 医療分野での採用
IOSTは医療分野でも実証実験が進んでおり、将来の成功次第で価値を大きく上げる可能性があります。
医療分野でIOSTを使用する主な目的は精密医療やヘルスケアに関係したデータ管理にあり、スマートコントラクトの技術によって医療関係のデータをひとまとめにできることがポイントです。
2021年3月には、ブロックチェーン技術を活用したアプリケーション開発を行う「エバーシステム株式会社」と大学発ヘルステックベンチャーの「プラクス株式会社」が、医療データ共有プロジェクト「プラクス」において、IOSTブロックチェーンのプライベート環境を採用したプロトタイプを開発しデータのハッシュ値を保存する技術的な検証を行いました。ブロックチェーン技術により、改ざんのない状態で医療・健康記録を保存でき、医療記録の相互運用時も正確な情報の利用ができるほか、医療健康データを個人が特定できないように加工した上で、ビッグデータとして研究目的で提供することも可能です。
このように、IOSTが金融の分野を飛び越え、医療現場でも役に立つと分かれば、その社会的な影響力は大きいと考えられ、価格の高騰にも繋がるでしょう。
④まとめ
IOSTは独自のコンセンサスアルゴリズムの採用で高速にトランザクションを行うことができ、手数料も安く抑えることが出来るため、今後も関連サービスやユースケースが増えていくことが期待されます。IOSTに投資したい方は、国内ではCoincheckとOkCoinJapanで購入できます。興味のある方は口座開設を済ませておき、検討やリサーチを進めていくと良いでしょう。
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中島 翔
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