ESG債とは?投資するメリットや種類、販売先、商品選びの注意点も

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ESG投資は本来の財務諸表に加え、非財務情報である環境、社会、ガバナンスも取り入れて投資判断する投資方法です。

債券市場では、脱炭素化に向けた構造転換やサステナブルな経済社会のための投資を拡大するための手段として、ESG債の起債が増加傾向にあります。日本でのESG債発行額は2016年に450億円でしたが、年々増加し、2021年には約2.9兆円に成長しました。

そこで今回は、ESG債の種類やメリット、種類、販売先などについて解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品への投資を勧誘するものではございません。※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。

目次

  1. ESG債とは
  2. ESG債の種類
    2-1.グリーンボンド(環境債)
    2-2.ソーシャルボンド(社会貢献債)
    2-3.サステナビリティボンド(持続可能性債)
    2-4.サステナビリティ・リンク・ボンド
  3. ESG債に投資する際のメリット・デメリット
    3-1.ESG債投資のメリット
    3-2.ESG債投資のデメリット
  4. ESG債の取り扱い金融機関
  5. ESG債の商品選びと注意点
  6. まとめ

1 ESG債とは

ESG債は、環境や社会的課題の解決に向けた事業資金調達のために発行する債券のことです。日本では、2016年9月に国際協力機構(JICA)が初のESG債を発行し、2022年10月14日時点で659銘柄が発行されています(参照:ESG債情報プラットフォーム)。

2 ESG債の種類

ESG債は、発行目的・プロジェクトに応じて分類されています。グリーンボンド(環境債)、ソーシャルボンド(社会貢献債)、サステナビリティボンド(環境及び社会貢献債)、企業のサステナビリティ目標達成のために発行されるサステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)に分類されます。

国際資本市場協会(ICMA)がガイドラインを公表しています。ガイドラインは、資金調達額全額が適格なプロジェクトに充当され、かつ、資金使途、プロジェクトの評価と選定プロセス、資金の管理、レポーティングの4つの規定に適合する必要があります。

2-1 グリーンボンド(環境債)

グリーンボンドとは、企業や地方自治体などがCO2削減といった環境改善効果を目的としたプロジェクトの資金を調達するために発行する債券です。

なお、グリーンボンド原則が示す対象事業の例は以下の通りです。

  • 再生可能エネルギー
  • エネルギー効率
  • 汚染防止及び管理
  • 生物自然資源及び土地利用に係る環境持続型管理
  • 陸上及び水生生物の多様性の保護
  • グリーン輸送
  • 持続的な水資源及び排水管理
  • 気候変動への適応
  • 高環境効率商品、環境適応商品、環境に配慮した生産技術及びプロセス
  • 地域、国または国際的に認知された標準や認証を受けたグリーンビルディング

2-2 ソーシャルボンド(社会貢献債)

ソーシャルボンドとは、企業や公的機関が、社会開発(ソーシャルプロジェクト)のための資金を調達するために発行する債券です。

2-3 サステナビリティボンド(持続可能性債)

サステナビリティボンドは、環境的課題と社会的課題の双方に取り組むプロジェクトの資金調達のために発行される債券です。グリーンボンド原則(GBP)とソーシャルボンド原則(SBP)の両規定に適合している債券です。

2-4 サステナビリティ・リンク・ボンド

サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)は、起債した企業・団体が具体的な目標(SPT)を立て発行する債券です。具体的な目標例としては、オカムラ16回債のSPTは、2025度に温室効果ガス排出量を2020年度比25%削減、イオンモール30回債のSPTは、2025年度末までに国内全店舗で使用する電力をCO2フリー化する、などがあります。

目標が達成できなかった場合には、債券を発行した企業がカーボンクレジット(炭素排出枠)を購入するなどの条件が付いています。

最近では、2022年9月にバルブメーカーのキッツが5年債を発行しました。サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)は、2025年度にCO2排出量を81.7%削減(2013年度比)です。

年に一度、独立した第三者がターゲット達成度を評価し、評価指標(KPI)報告書が公表されます。この債券は、2025年度にSPTが達成できなかった場合には、達成状況に応じて、排出権の購入または寄付が義務付けられています。

3 ESG債に投資する際のメリット・デメリット

次にESG債に投資するメリットを挙げていきます。

3-1 ESG債投資のメリット

  • 資産形成しつつ、社会貢献ができる:ESG債への投資資金が環境問題や社会的課題の解決に使われるため、間接的な社会貢献につながります。発行企業・団体が定期的にSPT(目標)への進捗度が公表されるため、投資資金を通じてESGに貢献することができます。

3-2 ESG債投資のデメリット

  • 元本割れの可能性がある:普通の債券と同様、満期日以前に売却すると元本を下回ってしまう可能性があります。一度投資したら償還日まで保有するようにしましょう。個人投資家が投資する際には償還まで5年以内の銘柄を選ぶと良いかもしれません。
  • グリーンウォッシュ:グリーンウォッシュは環境やエコなイメージのグリーンと、ごまかしという意味のホワイトウォッシュを組み合わせた造語です。資金が本当に特定のプロジェクトにのみに使われているのかを投資家が判断するのは至難の業です。そのため、第三者機関から評価を得ているのかを確認してから投資するようにしましょう。
  • クーポンが低くなる可能性:ESG債は発行時にプレミアムが付く傾向があるため、利率が低く抑えられてしまうことがあります。2022年10月に三重県が発行した期間10年のグリーンボンドの利率は、他県が起債した地方債より0.01%低い条件で発行されました。

4 ESG債の取扱金融機関

ESG債の取扱金融機関は証券会社ですが、購入する際には注意点があります。債券(ESG債を含む)には、プライマリー(新発債)とセカンダリー(既発債)の市場があります。

新発債は引受証券会社のみが取扱えます。セカンダリーについては証券会社であれば取り扱えるので、各証券会社のHPなどで確認する必要があります。

個人投資家が投資する際には新発債が良いでしょう。セカンダリー市場では、個人投資家には不利な価格が設定される傾向があるためです。多くのESG債は機関投資家(ホールセール)向けですが、個人向け(リテール債)も起債されています。

新発債の起債情報は、情報会社CAPITAL EYEのHP上で銘柄、条件、幹事証券会社(新発債のとりまとめ証券会社)などが確認できるので、定期的にチェックするようにしましょう。新発債は、幹事証券会社など引き受け証券会社で購入可能です。

5 ESG債の商品選びと注意点

ここでは商品選びと注意点を見ていきます。

商品を選ぶ際には、自身が賛同できるプロジェクトを選ぶようにしましょう。そして購入した債券は償還まで保有するようにしましょう。償還を待たずに売却すると額面を下回ってしまうことがあります。

満期までの期間が長い債券ほど金利変化に対する価格変化が大きいため、中途売却をした場合、元本割れのリスクが高まります。そのため、満期まで5年以内の銘柄を選ぶようにしましょう。

まとめ

今回、ESG債について解説しました。ESG債の市場は拡大傾向にあり、今後も起債は増加する傾向にあるため、個人向けESG債の発行も増えることが予想されます。

ESG債投資のメリットは、社会貢献につながることです。投資した場合には、定期的に公表されるプロジェクトの進捗度合いを確認するようにしましょう。

注意点としては、債券であるため、株式のように価格が大きく上昇する可能性がほぼないことです。また償還前に売却も可能ですが、元本割れの可能性があります。投資する際には、満期保有を前提にしましょう。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。