一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は10月27日、「2022年度版インパクト投資に関する消費者意識調査」の結果を発表した。インパクト投資は、社会や環境における課題の解決を図りながら経済的な利益を目指す投資行動。今回の調査で、認知度は全体の7.1%で、前年度の調査の 6.6%から0.5ポイント増となった。認知度は、投資経験のある20代、30代の層で高く、特に20代男性に約3割の認知度があった。
調査期間は今年8月8日から9日、インターネットで20歳から79歳までの全国の一般消費者を対象に、4414人(昨年4127人)から回答を得た。
投資経験者は46%で昨年度から1.6%減少し、過去4年連続で半数を下回る結果となった。(21年度47.6% 、20年度45.2%、19年度44.8%)。しかし、投資意欲を測るインパクト投資の関心度は、昨年度から0.5ポイント増加し全体の17.7%となった。17.7%は認知度(7.1%)より高いため、SIIFは「社会・環境課題解決の機会があれば活用してみたい層が一定規模いる」と分析し、実際に行ったことはないが関心がある層を、「潜在顧客層」として分類する。また、インパクト投資に関心ある人が「投じてもよい」と考える投資金額は「50 万円以上」が例年通り約3割だった。
潜在顧客層に関心のあるインパクト投資に社会・環境課題のテーマを聞いたところ「再生可能エネルギー、環境、医療、介護」と、前回と同様の回答となった。年齢別では20代、30代は性別にかかわらず子育て分野への関心が高く、20代、30代の男性はインフラや都市開発への関心が高い。
今回の調査では、新たな設問「インパクト投資を行うことに関心があるのはなぜか?」を設けた。回答は「インパクト投資を通じて社会課題の解決に貢献できそうだから」が8.7%で、一定の割合を占めた。公的年金、企業年金、生保がインパクト投資を行うことに対しては、インパクト投資関心度と同程度の約20%が肯定的に捉えている。
一方、「投資リターンが期待できそうだから」という選択肢には、 20代、30代の肯定的な回答の割合が約20%と最も高かった。この傾向について、SIIFは「多くの金融機関がインパクト投資に参入する中、インパクト投資が経済的なリターンも同時に追求するものであると若年層にも認識され始めている」と読み取る。
ほか、ターゲットセグメントとしては、投資経験ある20代及び30代、加えて個人金融資産を多く有する60歳以上の世代が有望としている。また、投資リターンを重視する20代、30代には「他投資商品と遜色ないリターンを訴求することが効果的」と付言している。
【関連サイト】一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)

HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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