今回は、Ethereum Name Service(ENS)について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- Coincheck NFTとは
1-1.Coincheck NFTの概要 - Ethereum Name Service(ENS)とは
2-1.Ethereum Name Service(ENS)の概要
2-2.Ethereum Name Service(ENS)の特徴
2-3.Ethereum Name Service(ENS)の注意点 - まとめ
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「Coincheck(コインチェック)」が運営するNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」にて、「Ethereum Name Service(ENS)」の展開を22年9月27日からスタートしました。
ここでは新たに取り扱われる「Ethereum Name Service(ENS)」について、概要や特徴を詳しく解説していきます。
①Coincheck NFTとは
1-1.Coincheck NFTの概要
Coincheck NFTは、日本の仮想通貨取引所Coincheck(コインチェック)が運営するNFTプラットフォームです。21年3月にリリースされたCoincheck NFTは、Coincheckで口座開設することで利用可能で、出品および購入にかかる手数料(ガス代)もゼロで利用できます。
22年9月現在、Coincheck NFTでは「CryptoSpells(クリプトスペルズ)」や「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」、「Meebits(ミービッツ)」や「Otherside(アザーサイド)」といった人気のコレクションが展開されており、今回追加された「Ethereum Name Service(ENS)」を含めるとその数は全部で11種類にもおよびます。
Coincheckは引き続き取り扱いタイトルを拡大していくということで、その動向から目が離せなくなっています。
②Ethereum Name Service(ENS)とは
2-1.Ethereum Name Service(ENS)の概要
Ethereum Name Service(ENS)では、イーサリアムのブロックチェーンを用いることによって、従来のアルファベットと数字がランダムに羅列された複雑なウォレットアドレスを、「hedge.eth、beer.eth」といった短くて認識しやすい文字列に変換することができるようになっています。
ENSによって作成された文字列は、SNSのアカウント名やメタバースのアバター名などに設定している人も多く見受けられます。今後、Web3.0サービスにおけるユーザーネームとしても幅広く利用されるようになるでしょう。
このように、ENSは次から次へと展開されているWeb3.0サービスをより快適に利用するためのツールとして、業界から大きな期待を集めています。
2-2.Ethereum Name Service(ENS)の特徴
①仮想通貨の誤送金を予防できる
仮想通貨(イーサリアム)のウォレットアドレスは「0x787192fc5378cc32aa956ddfdedbf26b24e8d78e40109add0eea2c1a012c3dec」という具合に、42ケタの文字列で構成され、かなり複雑な構造であったため、入力ミスなどによって仮想通貨を誤ったアドレスに送信してしまうというケースも少なくありませんでした。
ENSはこれまでの複雑なウォレットアドレスを簡潔な文字列に変換することができるため、より扱いやすく、誤送信のリスクを格段に軽減することができると期待されています。
②Web3.0におけるドメインネームサービス
ENSはWeb3.0の世界における「ドメインネームサービス(DNS)」であると言われています。
DNSとは、インターネット上においてドメイン名とIPアドレスの対応付けを管理および運用するために開発されたシステムのことを指します。
ENSはWeb3.0上においてDNSの役割を担うとされており、ENSのユーザーは任意の文字列で構成された「◯◯◯.eth」という形式のアドレスを購入またはレンタルできるということです。
またこのほかにも、正規名やインターフェイスの説明といったメタデータを、ENSで作成されたイーサリアムアドレスに関連付けることも可能です。
③幅広いサービスに対応している
ENSは「OpenSea(オープンシー)」や「MetaMask(メタマスク)」、「Uniswap(ユニスワップ)」や「Etherscan(イーサスキャン)」といったイーサリアムアドレスを取り扱う主要サービスに幅広く対応しています。これらはどれも世界的に知名度の高いサービスとなっているため、今後これらのサービスにおいてENSを用いたアドレスが多く利用された場合、ENSのユーザーはさらに拡大していくと予想されています。
④大企業や著名人も利用している
ENSは、すでにいくつかの世界的な大企業や著名人にも利用されていることで話題となっています。
具体的には、アメリカの著名なビールブランドである「Budweiser(バドワイザー)」が「beer(ビール).eth」というアドレスを30ETH(当時のレートで約1,000万円)で購入したほか、世界的なスポーツブランドの「NIKE(ナイキ)」は「dotswoosh.eth」というアドレスを取得したことが報告されています。また、同じく世界的なスポーツブランドの「PUMA(プーマ)」も「puma.eth」というアドレスを取得し、その後公式Twitterのアカウント名を「PUMA.eth」に変更したことが確認されています。このほかにも、イーサリアムの創業者として知られるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏もENSによって自身のアドレスである「vitalik.eth」を取得しています。
このように、大企業や著名人が続々とENSでアドレスを取得しており、従来のドメインと同様、人気のアドレスは高価で取引されることとなるでしょう。
⑤ガバナンストークン「ENS」
ENSではガバナンストークンである「ENS」が発行されています。
なお、ENSは「DAO(分散型自律組織)」によって運営されていますが、ENS DAOでは21年11月9日の発足とともに、ENSトークンの25%をENSのホルダーにエアドロップしています。
2-3.Ethereum Name Service(ENS)の注意点
ENSの注意点として、購入しただけではイーサリアムアドレスと紐づけることができないという点が挙げられます。ENSをウォレットアドレスと紐付けるためには、ENSの公式サイトにアクセスし、自身が利用したいアドレスをメインアドレスとして設定する必要があるということです。
設定の際には手数料であるガス代がかかるため、注意が必要です。またこのほかにも、ENSには有効期限が設けられているため、知らないうちに期限切れになっていたなどという事態が起こらないよう、注意しましょう。
なお、ENSの詳しい価格は下記の通りです。
-
三文字:0.142ETH(一年)
-
四文字:0.036ETH(一年)
-
五文字以上:0.001ETH(一年)
③まとめ
ENSはWeb3.0の世界におけるDNSとして注目を集めており、すでに多くの大企業や著名人に利用されています。ENSで作成したアドレス(文字列)はNFTとして売買することもできるため、すでにウォレットを所有している方も、これから作成するという方も、この機会にENSを利用してみてはいかがでしょうか。
- 高機能取引ツールが利用できる仮想通貨取引所・販売所
- 取引手数料が安価な仮想通貨取引所5選
- 少額投資に適した仮想通貨取引所・販売所5選
- 投資初心者がビットコインをかんたんに購入できる仮想通貨取引所・販売所6選
中島 翔
最新記事 by 中島 翔 (全て見る)
- 脱炭素に向けた補助金制度ー東京都・大阪府・千葉県の事例 - 2024年10月22日
- 韓国のカーボンニュートラル政策を解説 2050年に向けた取り組みとは? - 2024年10月7日
- NCCXの特徴と利用方法|ジャスミーが手掛けるカーボンクレジット取引所とは? - 2024年10月4日
- Xpansiv(エクスパンシブ)とは?世界最大の環境価値取引所の特徴と最新動向 - 2024年9月27日
- VCMIが発表したScope 3 Flexibility Claimとは?柔軟なカーボンクレジット活用法を解説 - 2024年9月27日