DEX(分散型取引所)を利用する注意点とメリット【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】

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今回は、DEX(分散型取引所)を利用する注意点とメリットについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. DEXとは
    1-1.DEXの概要
  2. DEXを利用するメリット
    2-1.取引コストを抑えることができる
    2-2.誰もが簡単に利用できる
    2-3.取引量がCEXを上回っている
  3. DEXを利用する際の注意点
    3-1.取引が上位のDEXに集中している
    3-2.サポートを受けることができない
    3-3.規制や保証が整備されていない
    3-4.ウォレット管理の知識が必要
  4. まとめ

暗号資産(仮想通貨)取引所は、その仕組みの違いから大きく「DEX(分散型取引所)」と「CEX(中央集権型取引所)」の二種類に分類できます。

CEX(中央集権型取引所)は「コインベース(Coinbase)」や「バイナンス(BINANCE)」に代表される企業が運営する取引所を指します。一方、DEX(分散型取引所)とは「ユニスワップ(Uniswap)」や「dYdX」に代表される取引プラットフォームとしての管理者を持たない取引所のことを指します。

近年はDEXのシェアが拡大しており、22年6月6日にはついにDEXがCEXの取引量を上回っています。そこで今回は、DEXの概要や利用する際の注意点、メリットを詳しく解説していきます。

①DEXとは

1-1.DEXの概要

DEXとは「Decentralized Exchange」を省略したもので、日本語では「分散型取引所」と訳されます。

これまで金融商品の取引サービスは、証券会社やFX(外国為替証拠金取引)をはじめとする企業によって管理された「中央集権型」の仕組みが一般的でした。DEXはそうした仲介者を必要とせず、仮想通貨のトレーダー同士が直接、仮想通貨やトークンの交換を行うことができます。DEXでは、ブロックチェーンに配備されたプログラムコード「スマートコントラクト」を用いることで、企業や組織等の管理者(仲介者)が存在しなくとも資産の交換を行うことができる環境を構築しています。

また、仮想通貨の秘密キーは完全に自分自身で管理することとなります。通常、中央集権型の取引所である「CEX(Centralized Exchanges)」では、口座を開設する際に本人確認として個人情報の提出が必要となりますが、DEXではその必要がありません。アンバンクト(銀行口座を持たない人々)が利用できる点においても注目を集めているサービスとなっています。

②DEXを利用するメリット

2-1.取引コストを抑えることができる

前述の通り、DEXには仲介者が存在せず、ユーザー同士が直接取引を行うため、いわゆる「仲介料」を支払う必要がありません。そのため、手数料などの取引コストを最低限まで抑えることが可能です。

2-2.誰もが簡単に利用できる

DEXでは本人確認などの手続きがいらないため、個人情報を提出する必要もなく、世界中の誰もが簡単に利用することができるというメリットがあります。銀行などをはじめとするこれまでの金融機関では、口座の開設に審査があったり、国籍などの問題で取引を行うことができなかったりとさまざまな不便を抱えていました。DEXでは、インターネット環境さえ用意できれば、世界中の誰とでも仮想通貨の取引ができ、自身で資産を管理することが可能となっています。

2-3.取引量がCEXを上回っている

22年6月6日、アメリカのブロックチェーン分析企業として知られる「チェイナリシス(Chainalysis)」が、21年4月から22年4月にかけて、DEXにおけるオンチェーンでの取引量がCEXを初めて上回ったことを報告しました。この報告によると、DEXの取引量は21年6月時点でピークを迎えており、仮想通貨取引全体の約80%以上を占めるまでになったということです。

22年6月時点では、DEXの取引量が全体の55%、CEXの取引量は全体の45%という比率になっていると報告されています。また、21年4月から22年4月にかけて、CEXに対するオンチェーン送金は1,750億ドル(約23兆円)であった一方で、DEXに対するオンチェーン送金は2,240億ドル(約30兆円)と、CEXを大きく上回る結果となっています。

DEXはCEXに比べるとまだ新しい取引所の形とされており、流動性が低く価格が変動しやすいと懸念されていましたが、上記からも分かるように、DEXは取引量の面ですでにCEXを上回っており、流動性が低いわけではないということと理解していいでしょう。

③DEXを利用する際の注意点

3-1.取引が上位のDEXに集中している

22年6月6日に行われた報告においてチェイナリシスは、DEXの上位5社とCEXの上位5社を比較すると、取引量がDEXの上位5社にはるかに集中していることを指摘しています。

チェイナリシスはここまで取引が集中している理由の一つとして、DEXが比較的新しいサービスであることを挙げており、一部の取引所がベースを固めたことで、アクティブなユーザー基盤を維持することができたのではと分析しています。

このように、DEXはCEXに比べて取引所による規模の違いが顕著で、それに伴って流動性の高さにもかなりの差が生じているため、安定した価格でスムーズに取引を行うためにも、ユーザーが多く十分な流動性を有しているDEXを選択することが重要となってきます。

3-2.サポートを受けることができない

前述の通り、DEXは仲介業者を通さない取引所形態を採っており、CEXのような運営母体を持たないため、ユーザーはカスタマーサービスなどのサポートを受けることができません。また、取引開始から完結までのすべてをスマートコントラクト主導で行うため、詳しい利用方法やその他質問についての明確な答えを得ることもできません。

そのため、これまで仮想通貨取引の経験があまりない初心者にとっては、利用のハードルが高いと言えるでしょう。

3-3.規制や保証が整備されていない

CEXは金融庁による「暗号資産交換業者」としての登録など、行政面での整備が比較的進んでいますが、一方でDEXについての規制などは現時点ではまだ明確なものがないという状況です。そのため、万が一DEXでトラブルに巻き込まれた場合でも、法整備が進んでいないという理由から十分な補償を受けられない可能性が大きく、大部分が自己責任となってしまいます。

なお、金融庁は21年7月に初めて「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」を開き、その後も複数回にわたりDeFiなどの規制の在り方について議論を行っており、今後何らかの規制方針が発表されるのではと見られています。

3-4.ウォレット管理の知識が必要

DEXは上記のように各国の規制等もなく、中央集権型ではないため、ウォレット管理や利用については全て自己責任となります。

特にDEXを利用する際は通常Metamask等ウォレットアプリ等を利用する投資家が多いですが、これらをDEXにウォレットを連携することで利用することになります。この時、詐欺的なウォレットやDEXを使用してしまうと、ハッキングが発生する可能性もあります。

実際に、筆者自身も先日発生したソラナのハッキング問題に関連して、「slopeウォレット」でハッキングを受けたことがあります。むやみにプロダクトを使用してしまうと、ウォレットから資金を奪われるケースもあるため注意しましょう。

④まとめ

DEXはスマートコントラクトを用いた比較的新しい取引所の形態として、多くのトレーダーからの注目を集めています。インターネット環境さえあれば世界中の誰もが簡単に利用できるなど、メリットも多いDEXですが、その一方で規制や保証が追いついていないといった注意点もあるため、それらのリスクをしっかりと把握して利用することが大切です。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12