【トレーダーが実践中】テクニカル指標に“頼らない“仮想通貨の取引方法とは?

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FXや株、仮想通貨のトレードにおいて、必勝法を探している人が多いのではないでしょうか。筆者もトレーダーとして駆け出しの頃は、そうした「おいしい手法」に重きを置いて勉強したり、色々と試したりしました。「聖杯探し」と言い換えることもできますが、マーケットにおいて聖杯のようなものはありません。

取引手法の学習自体は有意義かもしれませんが、もっと大事なことがあります。それが「リスクコントロール」です。今回は、筆者が現在、実際に仮想通貨取引で行っている方法について解説します。

目次

  1. 筆者が仮想通貨取引で見ている2つのポイント
    1-1. ローソク足の形状
    1-2. FR(資金調達率)
  2. リスク管理の方法とトレードの時間軸の徹底
  3. エントリー時のリスクコントロール
  4. 難しい分析よりもトレードに重要なこと

①筆者が仮想通貨取引で見ている2つのポイント

筆者は現在、RSIやボリンジャーバンド、移動平均線等のテクニカル指標を利用せずに仮想通貨を取引しています。*あくまで仮想通貨トレードのみに限った話で、FXや先物等ではテクニカル指標を利用しています。

それでは、何を参考に取引しているのか気になる方も多いでしょう。それは主に2つあります。

  1. ローソク足の形状
  2. FR(資金調達率)

この2つのみをチェックして日々トレードを行っています。それではなぜ、この2つでトレードで利益を出すことができるでしょうか。まずは2つのポイントについて解説します。

1-1. ローソク足の形状

ローソク足の形状とは、チャートパターンとも言われるもので、相場に繰り返し現れるローソク足のパターンのことです。代表的なものに「ダブルボトム(二番底)」や「ダブルトップ(二番天井)」、「三角保ち合い」、「ヘッドアンドショルダー」等があります。

どのような投資商品でも上記のチャートパターンは現れるものです。なぜなら、「相場を動かしているのは投資商品ではなく投資家だから」という点で共通しているからです。

投資対象の値動きを予測して、投資家は売買を繰り返しています。投資対象が違えど、人間の審理と投資行動は同じようなものになります。「ある一定のラインに到達したら売る」、「ここを目安にしているから買いたい」など色々な予想があります。そうした投資行動が集約されて現れるのがローソク足でありチャートです。

そして、ローソク足は今後の値動きを予測する上で、大きなヒントを与えてくれます。そのためローソク足で構成される普遍的なチャートパターンを覚えておくことは必須とも言えます。筆者はその考えを大事にしており、典型的なパターンはほぼ頭に入れてトレードしています。重要なチャートパターンについては、以前にもまとめているのでご覧ください。

【関連記事】:ビットコイン投資初心者が最初に覚えたいチャート形状3選【ヘッドアンドショルダー、ダブルトップ、トライアングル】

1-2. FR(資金調達率)

FR(資金調達率)とは仮想通貨のデリバティブ取引で使用される指標で、その取引所の市場参加者の短期的なポジションのバランスを示していると考えてください。これはFXや株取引にはなく、仮想通貨特有の数字になります。

ポジションバランスとは、ロング(買いポジション)が多いのか、ショート(売りポジション)が多いのかを意味します。海外の仮想通貨取引所では、ポジションの多い側がポジションの少ない側に手数料を支払うシステムを導入しているところが多いです。日本の仮想通貨取引所では一部ですが、レバレッジ取引の主要な指標なので覚えておくといいでしょう。

FR(資金調達率)には、「価格が一方方向に動かないための調整弁として機能している」という背景があります。

仮にロングポジションを保有していて評価益が出ているとしても、4時間毎にFR:0.10%分のコストが発生すると考えたら、ポジションの解消を検討するでしょう。そのまま長期的に保有していてもモメンタムが失われていれば、コストと引き換えにポジションを保有し続けるインセンティブが薄れてしまうからです。一方、ショートポジションを保有していると、4時間置きにFR:0.10%分の金利が付与されるため、大きく損失を被らない限りポジションを保有し続けるインセンティブが働きます。

この例では、FRがどこかでロングポジションを清算するよう促し、一方でショートポジションを増加させるよう機能するため、上昇圧力が弱まることになります。

これがFR(資金調達率)を使った相場の捉え方です。

ここまで読まれた方は、本当にこの2つだけでトレードが上手くいくのかと、疑問に感じると思います。この2つは基礎的なものであり、ニュースなどで聞いたこともあるでしょう。しかし、筆者が考える一番重要なポイントは、これらにリスク管理を組み合わせることにあります。

②リスク管理の方法とトレードの時間軸の徹底

筆者が上記の2つだけで利益を出している理由というのは、徹底したリスク管理にあります。

レバレッジは最大でも3倍程度しか利用しません。エントリーは段階的に行い、まずはレバレッジ0.3倍~0.5倍でポジションを構築していきます。

そしてトレードの時間軸も重要です。デイトレードや中期的なトレードなど、種類に応じてロット数を設定します。そして、時間分散で段階的にエントリーを行っています。

【関連記事】:仮想通貨トレードで「時間軸を間違える」とは?投資初心者が陥りがちな失敗例を解説

ポジションを積み増すタイミングも重要です。筆者は最初のエントリーから利益が出ていること、予想通りのチャート形状になっていること、といった条件に沿ってポジションを積み増します。

また損切りラインは最初のエントリーの段階で決めています。損切りラインまでの間に2回目のエントリーポイントを設けていることもありますが、エントリー時点で想定される損失の金額は決まっているのです。

これだけリスク管理を徹底してエントリーポイントのタイミングも時間分散することで、勝率を高めているのです。

③エントリー時のリスクコントロール

次にエントリーのコツについて詳しく解説します。

仮にビットコインのチャートが下落トレンドを示している時に、資金調達率がプラス方向(ロングポジションの保有者がショートポジションの保有者に金利を支払う)に推移した場合、皆さんはどのような動きを予想しますか?

この動きを理解しないと負けてしまいます。

逆張りの投資家がロングポジションを作っている中、価格が下落し続けているため、ポジションを解消しないといけない投資家が増えていることを意味します。つまり、潜在的な売り圧力が増加していると解釈します。

次にビットコインが上昇方向で推移している中、資金調達率がマイナス方向(ショートポジションの保有者がロングポジションの保有者に金利を支払う)に推移した場合はどうなるでしょうか。

この場合は逆張りで下落に賭けた投資家が多くのショートポジションを積み上げていることになります。やがてはショートポジションを買い戻して決済するハメに陥る可能性が高く、潜在的な上昇圧力を蓄えていることになります。

次々とショートポジションが強制清算されて価格が上昇し続ける事象を「ショートカバー」と呼びます。仮想通貨の世界では、こうした損切りの連鎖のために相場が大きく動くことが度々見受けられます。

このように値動きと資金調達率が逆を向いている時に相場が動く可能性が高まるので、エントリーしやすいタイミングとなります。

筆者はこのタイミングを狙って日々トレードをしており、ローソク足の形状を参考に利益確定のポイントを調節しています。

④難しい分析よりもトレードに重要なこと

この記事で皆さんに理解して欲しいことは「トレードでは難しい分析をしなくとも勝つ方法はある」ということです。裏を返せば、知識があっても相場では負けることがある訳です。

知識があって勝てるなら経済のアナリストはなぜトレードで勝てないのでしょうか?

その辺りを考えてみると、自分なりのルールを作って、守り、リスク管理を心がけながらトレードすることが最も重要です。言い換えれば、初心者でも簡単なルールを守ることでトレードで負ける確率を減らすことができます。

相場では勝者が1割、敗者が9割と言われます。しかし、筆者から見ると、損失を出している人は欲に負けて自分のルールを破っているだけのことです。

皆さんも仮想通貨トレードで、今回ご紹介したポイントにトライしてみてください。良い結果が出ることを祈っています。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12