機関投資家も利用するビットコイン・トレードのリスクコントロール手法とは?

今回は、暗号資産のリスク管理について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 暗号資産投資におけるリスク管理の必要性
  2. 投資家の常とう手段「許容できる1日の変動幅」でリスクを管理
  3. 「縦軸」と「横軸」を活用してさらにリスク管理をしやすく
  4. 安定した資産形成のためにリスク管理方法を身につけよう

暗号資産(仮想通貨)市場は2020年を通して上昇傾向となりましたが、年明けから大きな調整を迎えており、2017年末から2018年1月のバブル相場とその崩壊を連想させるような動きにも見えます。

1月15日現在にビットコインは約39,000米ドル(4,077,244円:ビットフライヤー)となっています。10%の値動きで4,000米ドル近くも変動するという新境地に、ベテラン投資家や暗号資産FXトレーダーでも苦戦を強いられていることでしょう。

この値幅は筆者にとってもあまり経験したことのない水準であるため、適正ロットを探りながら保守的にトレードしています。ここでは値幅が大きくなったときの投資の考え方や対応策について筆者の考えを交えながら解説したいと思います。

①暗号資産投資におけるリスク管理の必要性

2020年にビットコインやイーサリアムが300%近く上昇する反面、リップルがSEC訴訟で急落するなど、暗号資産価格は上下に激しい動きを見せました。

特に2020年10月以降の値動きは凄まじいもので、以前からトレードしていた人の中には恐怖感に苛まれた方もいるのではないでしょうか。値幅や値動きの大きい市場環境では、トレーダーにとって適切なリスク管理がより重要になります。

暗号資産の値幅が大きいと、利益幅が拡がる利点がありますが、反対に損失金額も大きくなります。レバレッジを掛けてトレードしていると損益は2倍にも3倍にも影響するため、トレード資金をいかに管理するかが重要になります。そこで、現在の暗号資産の値幅に対して適正なリスク管理について検証してみましょう。

②投資家の常とう手段「許容できる1日の変動幅」でリスクを管理

暗号資産トレードにおけるリスクコントロールはまず、証拠金として預けている金額に対して「許容できる1日の変動幅」を考えるところから始めましょう。

私は最近、最大損失額を証拠金の5%以内に収まるようにしています。5%の変動幅はリスクを大きめに取っている方です。これが基本というわけではなく、市場環境やトレーディングスタイルに合わせて設定することになります。

例として過去1ヶ月における変動幅が大体300ドル程度とします。1日の元金や証拠金の変動幅の許容範囲を3%と設定したとすると、100万円元金を預けている場合が300ドル(約3万円)の変動幅となります。証拠金が50万円程度だった場合の取引数量は半分にするということになります。

おそらく個人投資家の皆さんは、過去の値幅をあまり意識せずにトレードしてきいるのではないかと思います。しかし、今後どの程度変動するのか予測する際に役立つので、過去の値動きをチェックする癖をつけましょう。

さて、過去の1ヶ月の値動きが1,200ドルまで上昇したとします。証拠金の許容範囲は3%で固定すると、取引できる数量は四分の一になります。0.25 × 1,200ドル = 300ドル になるためです。それでは、証拠金が50万円の投資家ならどうなるでしょう?答えは0.125BTCとなります。

このように取引数量を過去の値動きから考えて調整することで、値幅が拡大しても焦らずトレーディングを行うことができます。値動き(ボラティリティ)からリスクを管理するということは、機関投資家の常とう手段です。彼らはヒストリカルボラティリティやインプライドボラティリティを利用してリスクを定量化しています。

個人投資家が機関と同じことをするのは困難なので、今回は簡単にリスク管理ができる方法をご紹介しました。値動きの計測期間は、直近1ヶ月だけでなく1週間など、多面的に見ることも重要です。暗号資産FXでは、可能な限り保守的な運用が大切なのです。

③「縦軸」と「横軸」を活用してさらにリスク管理をしやすく

先ほどの説明では便宜上、一回のトレード戦略においてエントリーのタイミングを一回に絞っていましたが、実際には複数回に分けてエントリーします。

相場には縦軸と横軸の考え方があります。縦軸とは価格のことで、上下の値動きで資産を分散することができます。横軸とは時間のことで、時間経過を待って資産を分散することを意味します。

時間ともに相場の方向性がより明確になるため、筆者は10回以上に分けてポジションを作ることもあります。前回のエントリーポイントから価格下落したところで購入できれば、損益分岐点が低下するため、よりリスク管理が行いやすくなります。ただし、予期せぬ方向に相場が動き、予め決めた水準に達したら、それまでのポジションの損切りを行います。

このようにマーケットの動きを考えながらポジションを構築することもリスク管理の一つとなります。

④安定した資産形成のためにリスク管理方法を身につけよう

ビットコインが3万ドルを超え、値幅も大きくなっています。だからといって、値動きの許容範囲を変更して、大きなリターンを狙うことは危険です。2017年のバブル相場が脳裏をよぎり、強気にレバレッジをかけて大きなロットでトレードする人もいるしれません。大きなリターンを狙った行動はより投機的になり、高いリスクを伴います。何度か上手く行ったとしても、最終的には大きな失敗をして、マーケットから退場することになるでしょう。

投資はギャンブルではありません。資産運用のポートフォリオの一つとして暗号資産を見る場合、着実にトレードする方が理に適っていると私は考えています。大切な資産を使ってギャンブルはせず、淡々と資産を殖やすことに集中しましょう。そうした運用において、リスク管理は必須となります。リスク管理方法の基本だけでも身に付けて頂き、安定した資産形成に役立てて頂けると幸いです。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12