今回は、コスモス(ATOM)の最新動向について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- コスモス(ATOM)とは?
1-1.コスモスの概要
1-2.コスモスの仕組み
1-3.仮想通貨ATOMのユーティリティ - 4つのインセンティブ付きプラットフォーム
2-1.Archway
2-2.Celestia
2-3.Tgrade
2-4.Umee - まとめ
コスモス(ATOM)は、2022年上半期に4つの新しいプラットフォームのテストネットローンチを控えています。コスモスは異なるブロックチェーン間の相互運用(インターオペラビリティ)の実現を目指しており、dAppsの連携など様々な場面で活用されています。そこで今回は、これからローンチされるコスモスのインセンティブ・プラットフォームについて解説します。
①コスモス(ATOM)とは?
まずは、コスモス(ATOM)についての基本事項を解説します。
1-1. コスモスの概要
コスモスは相互運用可能なブロックチェーンを構築するためのネットワークとツールからなるエコシステムです。プロジェクトは2014年に米国のTendermint社の創設者Jae Kwon(ジェ・クォン)氏が発足し、2017年のICOで約1,700万ドル(約18億円)を調達しています。
コスモスのビジョンは、開発者がブロックチェーンを簡単に構築できるようにし、ブロックチェーン同士が取引できるようにすることで、ブロックチェーン間の相互運用を可能にすることです。最終的に、ブロックチェーンのネットワークである「Internet of Blockchains」の実現を目指しています。
コスモスが公開しているオープンソースツール「Tendermint」、「Cosmos SDK」、「IBC」により、カスタム可能、安全性、スケーラビリティ、相互運用性を備えたブロックチェーンを迅速に構築できるようになっています。
2022年2月現在、コスモスエコシステムは260を超えるプロジェクトで構成されており、それらのトークンの資産総額は1,500億ドルに上ります。
1-2. コスモスの仕組み
Cosmosネットワークは、Proof of Stakeブロックチェーンのメインネットと、Zone(ゾーン)と呼ばれるカスタマイズされたブロックチェーンで構成されています。メインチェーンであるHubは接続されたZones間で資産やデータを転送する中継レイヤーのセキュリティを維持します。
各ZoneはCosmos SDKを使用して作成された独立したブロックチェーンです。CosmosSDKには、標準化された基本モジュールが用意されているため、そこにプラグインを使って必要な機能を追加していくことで、ゼロから作らなくとも容易に新たなブロックチェーンの開発が可能です。すべてのZoneは独自のトークンを持ち、独自のトランザクションを処理し、独自の開発環境を実装できます。そしてCosmosネットワーク内の他のZoneと相互運用が可能です。
代表的なHubは「Cosmos Hub」ですが、他のHubも存在します。なお、ネットワークは完全にパーミッションレスであるため、誰でもHubとなるブロックチェーンやゾーンを作成できます。ただし、各ゾーンやHubには、他のブロックチェーンの接続を選択する機能があります。つまり、各Zoneは同じHubに接続されている任意のZoneに接続することができます。
1-3. 仮想通貨ATOMのユーティリティ
ATOMはコスモスのネイティブコインで、3つの主要なユースケースを持っています。
- コスモスネットワーク上では取引手数料を支払う際に、ATOMが使用されます。
- Cosmos HubはATOMをステークするバリデーターにより維持されています。バリデーターはコンセンサスアルゴリズムに参加して、報酬としてATOMを獲得します。
- Cosmos HubのガバナンスシステムにATOMが使用されます。ATOMを多く保有するほど、より多くの投票権を持つことになります。
②4つのインセンティブ付きプラットフォーム
次に、2022年上半期にテストネットのローンチが予定されている4つのインセンティブ付きプラットフォームについて解説します。*テストネットとは、開発者が新しい機能を追加してその挙動を検証する試験環境のことを指します。
2-1. Archway
Archwayとは開発者に報酬を与えるスマートコントラクト・プラットフォームです。デベロッパーへの報酬メカニズムが組み込まれているため、次世代のDApps(分散型アプリケーション)を誘致するのに役立ちます。デベロッパーは、自身が開発したDAppsがネットワーク上で利用されると、その量に比例して報酬を受け取ることができます。
コスモスは従来のネットワークオペレーターや初期貢献者だけでなく、デベロッパーにも報酬を与えることで、エコシステムを強化しようとしています。Archwayは2022年3月に「Augusta」と呼ばれるインセンティブ付きテストネットをローンチする予定です。ネットワークの様々な側面をテストすることを目的に、段階的に機能が実装されます。
2-2. Celestia
Celestiaはモジュール型のブロックチェーンネットワークで、コンセンサスとアプリケーションの実行を別々のレイヤーに分離して処理するという特徴があります。
開発者は、独自のコンセンサスネットワークを構築する必要がなく、バーチャルな実行環境で簡単に開発することができます。構築されたアプリケーションは、高い独立性を維持しながらCelestiaのコンセンサスのセキュリティを継承・共有することができます。
現在、Celestiaの開発チームは「devnet」という予備的なテストネットを運用しており、最初のパブリックテストネットは2022年第2四半期にローンチする予定です。テストは数カ月間実施され、第3四半期に公開予定のインセンティブ付きテストネットのベースになります。Celestiaのメインネットは第4四半期にリリースされる予定です。
2-3. Tgrade
Tgradeとは、ソフトウェア開発キット「CosmosSDK」上で動くスマートコントラクトモジュールの開発チーム「Confio」が手掛けるDeFi(分散型金融)プラットフォームです。
TgradeはPoS(プルーフ・オブ・ステーク) とバリデータの協調を重視したモデルPoE(プルーフ・オブ・エンゲージメント)を組み合わせることで、プロジェクト初期段階におけるPoEの欠点を解消することを目的としています。
現在、Tgradeは、パブリックテストネットにて、メインネットのリリース後に機能するゲーム・オブ・エンゲージメント関連のテストを実施しています。メインネットのローンチ時期はまだ公開されていません。
2-4. Umee
Umeeはブロックチェーン間を相互接続するクロスチェーンDeFiハブを目指す、Cosmos SDKブロックチェーンです。Umeeブロックチェーンは、Cosmosエコシステム、イーサリアムメインネット・サイドチェーン・レイヤー2等のプロトコル間で相互運用性を促進し、クロスチェーン流動性提供やポジションにレバレッジを掛けることができます。
Umeeは今後、Webアプリ「Umeeverse Party」にてインセンティブ付きのテストネット「Umeeverse Party」をローンチする予定です。これはUMEEトークンのTGE(トークン生成イベント)時のUmeeブロックチェーンのTVLに対するDeFiプロトコルの貢献度を競うものです。
発表によるとUmeeverse Partyは、ランダムな時間にDeFiプロトコルに預けられたデジタル資産の総価値「total value locked(TVL)」のスナップショットを記録し、レンディングとボロイングの両方からのTVL貢献度をランク付けします。投資家は任意のDeFiプロトコルの利用を通して、Umeeverse Partyに自由に参加できます。
③まとめ
コスモスは、そのブロックチェーン開発機能の利便性の高さと、クロスチェーンでの応用力が高いため、BinanceやCrypto.com、Terraなどの主要な組織のブロックチェーンにも使用されています。2022年上半期には4つのインセンティブ付きプラットフォームのテストネットがローンチ予定であり、コスモスの注目度はさらに高まると考えられます。コスモス(ATOM)は国内の仮想通貨取引所GMOコインで投資することができるので、関心のある方は口座開設を済ませておきましょう。
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中島 翔
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