ビットコインのオンチェーン分析項目「アクティブアドレス」と価格の関係から相場動向を予測しよう

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今回は、ビットコイン価格とアクティブアドレスの関係について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. ビットコインのアドレスの基礎知識
  2. アクティブアドレスとは?
  3. アクティブアドレスとビットコイン価格の関係
  4. トレードの環境認識として使う
  5. まとめ

仮想通貨(暗号資産)や株、FXなどのトレーディングをするにあたって、チャートに基づいたテクニカル分析は一般的です。しかし、ビットコインの場合は、ブロックチェーン上のデータを分析し、ユーザー数、保有量、トランザクション量などを測定し、ビットコインの資産価値や利用動向の観測に活用する「オンチェーン分析」が有名です。取引データが公開台帳に記録されている透明性の高いビットコインならではの分析方法です。

今回はオンチェーン分析指標の一つ「アクティブアドレス」と価格の関係から、相場の動向を予測する方法について解説したいと思います。

①ビットコインのアドレスの基礎知識

まずは、今回のテーマであるビットコインの「アドレス」についての基礎知識を解説します。

ビットコインを含む仮想通貨のアドレスは、よく銀行の口座番号のように例えられる様に、仮想通貨を保管するウォレットに紐づく文字列です。ビットコインアドレスは 27~34 文字の英数字からなっており、公開鍵から生成されます。

仮想通貨の購入や他者との転送、受け取りにはアドレスが必要となります。ビットコイン(BTC)の場合はマイニングによって新規発行されたBTCは、マイナーのウォレットアドレスに付与されます。

マイナーは受取ったビットコインを現金に交換するために、仮想通貨取引所のウォレットアドレスに送付します。その際に「いつ・どのアドレスが・どのアドレスに・どのくらいの量のビットコイン(BTC)を取引したのか」といった情報がブロックチェーンに記録されます。

なお、アドレスは個人ではなくウォレットに紐付くため、個人が所有するウォレットの数だけアドレスがあります。つまり、一人が複数のアドレスを持っている場合もあります。ウォレットはメールアドレスとパスワードだけで作成できるので、基本的に個人情報と直接結びつくものではありません。

②アクティブアドレスとは?

次に、アクティブアドレス(Active Address)について解説します。これは設定期間内にウォレット間の送受信記録があるアドレスを「アクティブ」としてカウントしたものです。

ビットコイン(BTC)を購入してウォレットに保管した、保有していたBTCを売却するために取引所に移した、ウォレット間でBTCを移したウォレットが全てカウントされます。

ビットコインで何らかの現物を購入するような場合にもカウントされます。しかし、現段階ではその割合は低いので、アクティブアドレスの多くは「ビットコインを売買に関連するアドレス数」として認識できます。

③アクティブアドレスとビットコイン価格の関係

次にアクティブアドレスとビットコイン価格の関係について見てみましょう。
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過去10年間のスパンで見ると、ビットコイン価格の上昇に伴って、アクティブアドレス数の規模が増加してきました。

より短期的なスパンでみると、アクティブアドレス数が急増している時期は、ビットコインの「活発な売買がなされている」と考えられます。逆にアクティブアドレスが減少している時期は、ビットコインが「活発に取引きされていない」ことを意味します。

例えば、2021年1月にアクティブアドレス数が過去最高を更新した時、主要な取引所のビットコインの取引量の合計が2017年の過去最高値を超えて10億ドルに到達しました。保有者がビットコインを売却する一方で、新規参入者がビットコインを購入したためアクティブアドレスが増加し、取引量も増加したと推測されます。

反対に2021年5月にビットコイン価格が下落し始めた時期に、ビットコインのアクティブアドレス数は2020年11月以来の低水準となりました。BTC価格の下落局面でのアクティブアドレス数の減少は、ビットコインのさらなる下降を示唆するシグナルと考えられ、2017年と2019年にも同様の傾向が観測されています。

④トレードの環境認識として使う

このように、アクティブアドレスはトレード時の環境認識として使うものとなります。アクティブアドレスに急激な増加が見られたときは、相場も大きく動く可能性が高まります。

しかし、アクティブアドレスが増加したからといってビットコイン価格が上昇するわけであありません。上下どちらに動くかはアクティブアドレスだけでは分からないため、テクニカル分析や他のファンダメンタルズと組み合わせて考えて、推測することになります。

Address関連のオンチェーン分析指標

Address関連のオンチェーン分析データは多種多様です。分析サイトGlassnode で観測できる項目だけでも以下の種類があります。

  • New Addresses(ブロックチェーンに始めて現れた新しいアドレス数)
  • Total Addresses(アドレスの総数)
  • Sending Addresses(送金をしたアドレス数)
  • Receiving Addresses(送金受取をしたアドレス数)
  • Addresses with a Non-Zero Balance(残高がゼロのアドレス数)
  • Addresses with Balance ≥ n(残高がn以上あるアドレス数)
  • Percent of Addresses in Profit/Loss(含み益/損のあるアドレスの割合)
  • Addresses Depositing to Exchanges(取引所に預けたアドレス数)
  • Addresses Withdrawing from Exchanges(取引所から引き出したアドレス数)
  • Accumulation Addresses(蓄積アドレス数)
  • Total Balance in Accumulation Addresses(蓄積アドレスの総残高)

これらの指標を見ると、ビットコインのアドレスから様々なことが把握できることがわかると思います。

⑤まとめ

今回は、ブロックチェーンのアドレスの詳細とアクティブアドレスとプライスの関係をトレードの環境認識に使用する方法について解説しました。

オンチェーン分析に限らずデータを読む原則として、ただ数字の変化を追うのではなくその背景に何があるのかを考えることが重要です。

トレードもチャートという数字で表されたものが相手ですが、値動きの背景に何があるのか考えることが重要となります。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12