DEXとCEXの違い

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CEXはCentralized Exchangeの略称で、中央集権取引所のことを指します。法人をはじめとする中央組織が管理、運営を行っているもので、BinanceやCoinbaseなど一般的な取引所はこれに含まれます。

一方で、DEXはDecentralized Exchangeの略称で、分散型取引所のことを指します。CEXと違い管理する中央組織はなく、スマートコントラクトと呼ばれるプログラムを使って運用されている取引所です。有名なDEXとしてはUniswapやPancakeSwapなどがあります。

以下では、DEXとCEXの違いについて6つのポイントから説明していきます。

資金管理(カストディ)

CEXで取引を行う際は、利用する取引所に資金を入金し、その資金で取引を行います。CEXに入金した資金は一見、自分のウォレットに入っている(自分で管理している)ように思えるかもしれませんが、実はそうではありません。

秘密鍵や情報を企業に預けることで、CEXに入金した資金は取引所が管理しているのです。よって、自分の資金を管理することが難しく感じるユーザーには、利点があると言えるでしょう。一方で、取引所がハッキングに遭った場合、自分の資金が盗まれてしまう危険もあるので注意が必要です。

それに対して、DEXを利用する際には、資金を全て自分で管理する必要があります。DEXはMetaMaskのような暗号資産ウォレットを接続して利用しますが、DEX自体に資金を入金するわけではなく、秘密鍵などの情報を自分で管理することになります。

取引手数料

CEXは主に取引手数料が事前に決まっているのに対して、DEXは手数料が一律ではありません。CEXでは取引手数料を「取引額の0.1%」などと運営企業が定めています。

一方、DEXでの取引手数料は需給バランスによって決まるため、市場環境によって変化します。例えば、2022年3月時点では、Uniswapの取引手数料は平均21.5ドルで推移しています。

手数料は常に変化するため、取引する際は事前にEtherscanなどのブロックチェーン・エクスプローラーで取引手数料を確認するとよいでしょう。

ガバナンス

DEXはコミュニティが所有するものという考えがあります。DEX内で運営方針の変更など新たな提案が出た場合には、ガバナンストークンを使った投票がなされて決定が下されます。CEXの場合、運営に関わる決定は運営主体が運営方針を決めますが、DEXでは中央集権組織がない代わりにコミュニティが様々な決定を下すのです。

またCEXの場合、取引所を運営する中央集権的な企業がすべての収益を得るのに対し、DEXでは流動性を提供することで、誰でも取引手数料を得ることができます。

流動性

前述の通り、DEXでは誰でも流動性を提供することで、取引手数料を得ることができます。多くのDEXは板取引ではなく、流動性が提供されているものを取引できる仕組みとなっています。流動性の提供されていない暗号資産は取引できません。

ここからわかるように、DEXは流動性の提供が不可欠なため、流動性の提供者にはインセンティブが与えられます。ユーザーは流動性を提供する(持っている暗号資産をDEXに預ける)ことで、そのDEXに貢献している代わりに手数料がもらえるようになっているのです。

従来、CEXはDEXよりも取引量が多いものでした。しかし、2020年頃からDEXが一部のCEXを取引量で上回り始め、Uniswapは2020年頃より1日の取引量が2億ドルをコンスタントに記録するようになっています。

現在、有名なDEXは取引量ではCEXに劣りません。しかし、DEXは流動性の提供が基礎にあるため、通貨によっては流動性が少なく、スリッページ(取引実施時に提示する注文レートと約定レートの間に生じる乖離)が大きくなってしまう場合もあるので注意が必要です。

ユーザー保護

ユーザー保護の観点から見ると、DEXとCEXでは大きく異なります。CEXは顧客サポートを提供し、ユーザーのために資金を預かるサービスを提供しています。さらに、アカウントのパスワード紛失などもKYC(本人確認)を行っていれば解決してくれる場合があるようです。

一方DEXでは、正式な顧客サポートがないことが一般的です。Discordグループを通じてチームにアクセスすることができるという基準ができつつありますが、CEXのような細かいサポートは期待できません。しかし、以前に比べてDeFiの開発チームサポートにアクセスできるようになったことは大きな進歩であるように思います。

コンプライアンス

多くのCEXではアカウントを作成するために、メールでのサインアップとKYCが必要です。ところが、DEXではKYCが必要ありません。暗号資産のウォレットを接続するだけで、すぐに利用することができます。

また、CEXは規制業務となるので、ライセンスの取得が必要となります。当局との調整を徹底的に行い、利用者にとって安全で、安心して使えるサービスを提供する義務を負っています。そのためにはコンプライアンス(法令遵守)、万全なセキュリティ体制、保険制度はもちろん、サービスの使いやすさやサポート対応までが幅広く求められます。

さらに、暗号資産の上場についても違いが見られます。CEXは新規銘柄を上場させるのに審査がありますが、DEXにはありません。DEXでは、プロジェクトチームなどが自由に新規銘柄を上場させることができます。そのため、CEXでは取り扱っていない通貨を取引できる利点があります。

しかし、DEXへの上場は簡単である故に、悪質なプロジェクトには注意が必要です。特に、暗号資産プロジェクトチームなどが密かにDEXプールの流動性を引き抜き、資金を持ち逃げする一種の不正行為「ラグプル(Rug Pull)」には警戒しなければなりません。

プロジェクトのホワイトペーパーやチームメンバーが公開されているのかを確認し、悪質なプロジェクトに投資しないようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の記事ではDEXとCEXの違いは何か、またDEXを利用する上での注意点について解説しました。

DEXとCEXは一概にどちらがよいというわけではなく、自分のニーズにあった形で使いこなすことが一番です。

最近ではDEXは様々な進化を遂げており、暗号資産業界の発展に寄与しているように思えます。DEXを利用する際は注意点にも考慮しつつ、上手にDEXとCEXを使い分けましょう。

監修者: 株式会社techtec リサーチチーム

株式会社techtec「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル) 」を運営。日本発のブロックチェーンリーディングカンパニーとして、世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業も展開している。Twitter:@PoL_techtec

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