ビットコインの管理方法

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公開鍵と秘密鍵

ビットコイン(BTC)は、「ウォレット」と呼ばれる暗号資産を保管するための専用のソフトウェアで管理されます。ウォレットは、「公開鍵」と「秘密鍵」と呼ばれる2つの鍵によって構成されますが、両者はいずれもは非常に重要です。

ウォレットを使用する上で、公開鍵と秘密鍵の違い理解しておくことはとても重要になるため、ここでは公開鍵と秘密鍵を自宅の住所に置き換えて考えてみましょう。

公開鍵とは

例えば自宅に配達物を届けてもらう際に、送り主にあなたの住所を教える必要があるように、ビットコインなどの暗号資産を受け取る際には、公開鍵を送り主に伝えます。

実際の公開鍵は、人間が理解できないようなコンピューター世界の文字列となっています。それをより短く、わかりやすい英数字の形で表したものが「アドレス」です。ビットコインを送金する際には、送金先のアドレスを指定する必要があります。このアドレスは、26~35文字のランダムな英数字から構成されており、一般的に次のような形で表示されます。

ビットコインアドレスの例:1A1zP1eP5QGefi2DMPTfTL5SLmv7DivfNa

アドレスの文字や数字に誤りがあると取引が正常に行われないため、やり取りの際には文字列に間違いがないかを確認する必要があります。

秘密鍵について

一方、秘密鍵は玄関の鍵のようなものにあたります。他人があなたのデジタルウォレットにアクセスできないようにするために自分だけが持っておくべきもので、他の誰とも共有してはいけません。

秘密鍵を流出・紛失すると、ウォレット内の資金を盗まれたり、ウォレット内のビットコインを取り戻すことができなくなる可能性があるので、管理には十分注意が必要です。

ウォレットの中には、「シードフレーズ」と呼ばれる、秘密鍵を復元するための単語リストを自動生成してくれるものがあります。このフレーズを印刷もしくはメモ帳に残し、安全な場所に保管しておくことで、万が一の際にウォレットへのアクセスを回復することができます。セキュリティ上の理由から、シードフレーズも秘密鍵と同様、スクリーンショットや写真撮影などの方法で保管しないようにしましょう。

ビットコインウォレットの種類

ビットコインを保管するためのウォレットには、いくつかの種類がありそれぞれ長所と短所が存在します。ビットコインウォレットを大きく分けると、「ホットウォレット」と「コールドウォレット」の2種類に分類できます。順番に見ていきましょう。

ホットウォレット

ホットウォレットとは、常にインターネットに接続されている状態のウォレットのことを指します。オンライン状態のパソコンやスマートフォンを通して利用することが可能です。安全性は低いものの、その利便性から暗号資産業界では最もメジャーな管理方法となっています。オンラインで取引が実施されるため、ユーザーは素早くビットコインの送金・受け取りが可能となります。

ホットウォレットには代表的なものが3種類あります。

  1. デスクトップウォレット:パソコンにインストールすることで使用するもの
  2. モバイルウォレット:スマホアプリで提供されているもの
  3. オンラインウォレット:特定のウェブサイトで提供されているもの

コールドウォレット

コールドウォレットとは、インターネットを通してアクセスすることのできない、物理的なデバイスなどのことを指します。インターネットから隔離された状態なので、ハッキングやサイバー攻撃などの心配がなく、ビットコインを保管する上では最も安全な方法と言われています。

代表的なコールドウォレットは以下の2種類です。

  1. ハードウェアウォレット:ウォレットとして使用されるために開発された専用の電子機器
  2. ペーパーウォレット:アドレスと秘密鍵がプリントされた紙媒体のウォレット

もしオンラインがベースのペーパーウォレットジェネレーターを使用する場合は、鍵の生成をウェブサイトに任せることになるため、セキュリティ上のリスクが存在することには注意が必要です。もし利用する場合は、バックドア(ウェブサイトの開発者があなたの鍵を見ることができる方法)がないことを確認しましょう。

暗号資産取引所を利用する際の注意点

暗号資産取引所に登録すると、ビットコインを保管するためのウォレットが自動的に作成されます。この欠点の1つは、自分の秘密鍵が第三者によって保持されることです。

先程の玄関の鍵の例えで言うと、あなたの家の鍵を他の人が持っている状態になります。その気になれば、鍵の持ち主はあなたを家から締め出すことや、逆にあなたの知らないところで他の誰かに侵入を許すことも考えられるでしょう。

実際2019年には、ニュージーランドの取引所「Cryptopia」がハッキングされ、1,700万ドル以上の暗号資産が盗まれた結果、取引所は閉鎖に追い込まれました。このハッキング事件では、同取引所の元従業員がCryptopiaの秘密鍵のコピーを作成してUSBに保存し、17万ドル相当の暗号資産を盗んだとして有罪判決を受けています。

また、2014年に発生した「マウントゴックス事件」も暗号資産業界最大級のビットコイン流失事件として有名です。マウントゴックスは、ビットコイン黎明期において世界最大の取引所として知られていましたが、サーバーへのサイバー攻撃を受け、約4億6,000万ドル(約526億円)相当のビットコインの大規模流出が発生しました。

この事件により、マウントゴックスは債務超過に陥り、事実上経営破綻していました。しかし2021年10月に同社の再生計画案が認可され、当時のユーザーに対してのビットコインの弁済可能性が高まっています。

暗号資産取引所のウォレットは、簡単に登録・使用することが可能です。また、大手取引所の中にはハッキングされた場合にユーザーへ補償する保険制度を設けているところもあります。しかし、セキュリティ面で完璧な対策はありません。

暗号資産取引所のウォレットとは異なり、ほとんどのモバイルウォレットやデスクトップウォレットでは、自分で秘密鍵を管理することが可能です。しかしこちらも、スマートフォンなどがハッキングされた場合、ウォレットとビットコインを盗み出される可能性があるため、厳重なセキュリティ対策が求められます。

ビットコイン投資家の中には、暗号資産の大部分をオフラインのコールドウォレットに保管する一方で、オンラインのホットウォレットに一部の残高を保有する、いわゆるハイブリッド方式を採用している方もいます。

ホットウォレットは、どこにいても暗号資産の取引を手軽に行うことが可能で、無料で利用できるアプリも多くあります。一方で、コールドウォレットは安全性が高く、長期保管に適していると言えます。

本格的に暗号資産を管理するのであれば、取引に使う分だけをホットウォレットで管理し、保有目的の暗号資産はコールドウォレットで管理するなど、リスクを分散させることが有効です。現状、この方式が自分自身のビットコインを安全に管理する最良の方法の一つだといわれています。

まとめ

ビットコインを所有・保管する上では、大きく2つのリスクが存在します。それは、鍵の盗難と紛失です。これまでに紹介したウォレットの種類や、暗号資産取引所の特徴などを踏まえ、リスクを分散させることでビットコインをできるだけ安全に管理するよう心がけましょう。

今後、ソフトウェアウォレットをダウンロードする際は、必ず自分自身でそのウォレットについて調べ、他のユーザーのレビューを読み、秘密鍵の管理には十分注意することが必要です。

監修者: 株式会社techtec リサーチチーム

株式会社techtec「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル) 」を運営。日本発のブロックチェーンリーディングカンパニーとして、世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業も展開している。Twitter:@PoL_techtec

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