観光業界はブロックチェーン技術導入加速の震源地となるか

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今、観光産業でブロックチェーン技術の応用が注目を浴びている。航空会社やホテル業界は仲介者とコスト削減につながる技術導入に前向きだ。仮想通貨とブロックチェーンのニュースメディアCointelegraphが7月1日、伝えている。

地に足の着いたブロックチェーン技術の研究開発が進められている。航空輸送通信情報技術プロバイダーSITAのレポートによると、航空会社の59%が2021年までにブロックチェーンを内部プロセスに統合することを目標に、研究プロジェクトか実証実験を実施している。空港の34%が同様のプロセスに取り組んでいる。また、アクセンチュアが2018年に実施した調査によると、航空宇宙・防衛企業の86%がブロックチェーン技術を3年以内の導入を計画していた。ブロックチェーンの導入のメリットとして、仲介業者や調整コストを削減しコストカットへつながることが注目されている。

航空会社は管理の分業化によって非効率になっており、フライト遅延やオーバーブッキングに迅速に対応できない課題があった。しかし、ブロックチェーンシステム上でピアツーピアのネットワークでチケットの発行、予約、決済を一元化管理することで、調整プロセスは短縮できる。実際にロシアの航空会社 S7航空はイーサリアムのプライベートチェーンを導入することで、航空会社と代理店間の決済時間を14日から23秒に短縮、2019年に月額100万米ドル相当のチケットを販売している。

ExpediaやBooking.com、Airbnbなど、代理店手数料が10~30%かかるホテル予約サービスでも、ブロックチェーン技術の導入が盛んだ。旅行配信プラットフォームWinding Treeは、仲介業者の手数料を負担することなく、トランザクションを実行できるブロックチェーンプラットフォームを構築した。チョイスホテルズ系列でストックホルムのホーボーホテルは、Winding Treeを通じて最初のトランザクションを実行した。ドイツの大手旅行代理店トゥイに至っては、2018年12月にその契約のすべてをブロックチェーンに移した。

フランスの保険会社AXAは2017年、フライトの結構や遅延が原因で影響が生じた乗客に対する補償責任に関するプロセスの自動化に、ブロックチェーンの運輸を始めた。顧客がフライト遅延補償に登録するとスマートコントラクトが作成され、2時間を超える遅延が記録された場合に、補償が自動的に提供される仕組みとなっている。

ブロックチェーンは観光業界にとって非効率な産業構造を改善する重要な可能性を秘めている。しかし、その活用は初期段階であり、実装は限定的だ。今後、個人情報保護など重要な課題に対するリサーチが進められることで、従来のシステムに代わる魅力的なツールとなるだろう。

【参照記事】Destination Blockchain: Shaking Up Travel Industry and Cutting Costs

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高橋奈夕

国際基督教大学4年。NYに支社を置くブロックチェーン専門のベンチャーキャピタルで半年以上インターンとして勤める。バイリンガルを生かして海外の記事を翻訳し、よりよい情報を国内に広めることにコミットしている。