オンライン決済のストライプが、オフテイク・ポートフォリオから特定の炭素除去量を予約注文できる新商品「Climate Orders」を提供すると発表した(*1)。このツールを活用することで、顧客は僅か数クリックで炭素クレジットを購入したり、API(#1)を使って永久的炭素除去を自社の気候変動対策に統合したりすることができるようになる。
顧客企業はストライプが共同設立した炭素除去の事前買取制度(AMC)であるフロンティア(Frontier)を通じてClimate Ordersを活用することにより、特定の炭素除去量(トン)を容易に事前注文できるようになった。Climate Ordersは、フロンティアの中核技術である最も有望な炭素除去企業の発掘、審査、契約に関する専門性を、より幅広い企業に提供するものだ。
Climate Ordersは、炭素除去技術の開発を支援する仕組みであるStripe Climateが提供する製品の一部であり、既に多くの企業で利用されている。例えば、企業向けの気候変動対策プログラムの計画、実施、運営を支援するWatershedは、Climate Ordersを活用して高品質の永久的炭素除去の追加オプションを提供する。炭素クレジットのマーケットプレイスを提供するPatchも、フロンティアの永久的炭素除去へのアクセスを拡大した。
フロンティアを通じてクレジットを購入するための方法としてClimate Ordersに加え、Climate Commitmentsも提供している。
顧客企業はClimate Commitmentsを利用することで、炭素除去の初期段階にある企業が研究室からフィールドに出るのを支援するために、収益の一部を振り向けることができる。既に40か国以上の何万もの企業に利用されており、気候変動目標を達成するために特定の炭素除去量を購入する必要のない企業に最適である。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2050年までに世界は毎年5〜10ギガトン(50億~100億トン)の二酸化炭素(CO2)を大気から除去する必要があると推定している(*2)。この目標達成を可能にするソリューションを加速させるため、2022年4月、ストライプはメタ、アルファベットなどと、30年までに10億ドル(約1,470億円)以上の恒久的な炭素除去を購入するフロンティアを立ち上げた。
フロンティアはAMCを導入し、普及拡大が進んでいない炭素除去技術を開発する企業と事前購入契約やオフテイク契約を締結し、CO2削減量を購入する取り組みを推進している。フロンティアの社内チームは、60人以上の外部の技術レビュアーの支援を受け、最も有望な炭素除去技術を発掘、評価している。
(#1)API…「Application Program Interface(アプリケーション・プログラム・インターフェース)の略称で、システム同士の機能を共有する仕組み。
【参照記事】*1 ストライプ「Stripe launches Climate Orders, enabling businesses to pre-order carbon removal tons」
【参照記事】*2 IPCC「Climate Change 2022: Mitigation of Climate Change」
フォルトゥナ
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