米格安航空会社(LCC)のサウスウエスト航空は3月28日、持続可能な航空燃料(SAF)を開発するスタートアップのサファイア・リニューアブルズ(SAFFiRE Renewables)を買収したと発表した(*1)。サファイアが有する技術を活用し、植物由来のSAFの量産を目指す。
サファイアは、米エネルギー省(DOE)の支援を受け、SAFとして利用できるスケーラブルなバイオエタノールを開発する。DOEの国立再生可能エネルギー研究所(NREL)で開発された技術を活用し、米国で広く入手可能な農業残渣原料であるトウモロコシの茎葉をバイオエタノールに転換する。
サウスウエストは、同社の完全子会社であるサウスウエスト航空リニューアブルベンチャーズ(Southwest Airlines Renewable Ventures、SARV)の投資ポートフォリオの一部としてサファイアを買収した。SARVは、SAF投資を管理し、サウスウエストがSAFを入手する機会の創出を図る新子会社である。
サウスウエストは、2022年のパイロットプロジェクトの第1フェーズでサファイアに初めて投資した。今回の買収により、サファイアはカンザス州リベラルにあるエタノール施設でパイロット工場を建設し、プロジェクトの第2フェーズを進める見込みだ。
同工場では当初、NRELと契約したセルロース系エタノールの製造に関する技術の独占ライセンスを利用し、バイオエタノールを生産するために1日あたり10トンのトウモロコシの茎葉を処理する予定である。
サファイアは同技術を活用し、トウモロコシの茎葉をセルロース系エタノールに変換する。その後、再生燃料スタートアップの米ランザジェットの技術を使い、SAFに転換する。サウスウエストは24年2月末、植物由来のSAFの量産を始めるランザジェットにも出資している。
ランザジェットは、主にサウスウエスト向けにSAFを製造するためにエタノールベースのSAF製造施設を建設する予定でもある。同施設は、サファイアのセルロース系エタノールをSAFに転換する機能を備えており、今後サファイアのエタノールからSAFを量産することができる見込みだ。
サウスウエストにとってSAFの追加確保は、同社の「ノンストップ・トゥ・ネット・ゼロ(Nonstop to Net Zero)」計画の重要な柱である。同計画は、50年までに炭素排出量を正味ゼロにするという目標を達成するために、炭素、サーキュラーエコノミー(循環経済)、協働という戦略の柱を通じ、サステナビリティを実現する航空会社のアプローチとなる。
【参照記事】*1 SAFFiRE Renewables「Southwest Airlines Acquires SAFFiRE Renewables and Strengthens Focus on Sustainability」
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